Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

イージス艦「こんごう」ミサイル迎撃に成功

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私が購読している軍事技術系情報サイトの Defense Industry Daily (購読無料、ここから)には、今朝のシリーズで日本のミサイル防衛の記事がトップニュースで伝えられた。

ハワイ沖で米海軍の発射したミサイルを迎撃したのは日本の誇るイージス艦「こんごう」。イージス艦とは一般的に、スパイ・レーダーと呼ばれる数十もの軍事標的を一度にトラックすることのできるシステムを持つ最新鋭の駆逐艦。SM3(スタンダード・ミサイル)を発射し初めての試験で見事に成功。私もミサイル防衛には基本的に賛成するため、今回の成功には嬉しく思う。

ただ問題も残っている。例えば、この防衛システムが対抗すべき軍事脅威の存在が不明確な点、米軍への技術的な依存が強い点(日本独自の技術がどこまで使われているか、今後の日本の技術が使われるための柔軟性がいかなるものか)、日米間のミサイル防衛におけるトップレベルでの危機管理システムの欠如、ミサイル防衛が持つ政治的意味合いに関する議論の欠陥、そして現在の日本の周りの政治状況に対してミサイル防衛に投資する経済的な理由付けがどこまで説得力のあるものか、など。

そしてもちろん、防衛情報流出の問題。

イージス艦情報流出、米次期国防次官補が防止策徹底求める

あと興味深いのは、今の時点で北朝鮮、中国、そしてロシアが何も文句つけていないこと。なんでだろうね。

イメージhttp://www.worldnetdaily.com/images/japankongo2.gif

「チリンチリン」と博士論文

チリンチリンとは言ってもあのチュートリアルの傑作「チリンチリン」(http://www.youtube.com/watch?v=qi_5SATYlck&feature=related)ではなく、英語の chillin' chillin' ね(chill = リラックスする)。音符

というのも、今年のプリドクの応募にようやく一区切りついた。次の応募の締め切りは1月7日。1月と2月には多くの締め切りが重なっているため今の時期から準備はしているけれど、今朝ようやく前半部は全て片付いてリラックスできる。

今回の応募で4人の指導教授からは多大なサポートを頂いた。学部からのノミネートもそうだし、もうすでに何通もの推薦状を書いて頂いた。応募する際に提出する研究提案書にもコメントを頂いて訂正できた。博士論文の大切な部分にもコメントを頂いたうえ口頭でもアドバイスを頂いた。この学期末の忙しいときに私のために時間を割いて下さって感謝の念で一杯である。私に教授であるべき素晴らしい姿と例を見せてくれている。私も教授になったときには教え子に同じようにしたい。

私の人生は「うさぎとかめ」に例えるならば残念ながら「かめ」の類だが、遅い進歩でも人に認められながらの進歩は悪い気がしない。

明日からは仕事場などでの忘年会が3日連続で入ってる。今までに増して笑顔でいられるだろうから楽しみだね。

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PS.政治学者の諸君、来年のアメリカ政治学会の年次会議の論文応募の締め切りは今日です。提出まであと6時間! 遅れることのないようにね。

4つの嬉しいこと

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.ペンに戻る際にいつも楽しみにしているのが自分の元教え子と会うこと。もう卒業している生徒もいるが、当時は新入生などで現在まだ残っている生徒も多い。

そして今回、たまたま政治学部のビルである生徒と再会した。授業ではとても静かな生徒だったが、2年ほど経った今、当時ののりの授業が好きで、良いTAだったよと褒められた。まさかそう思っていてくれてたとは思わなかった。Aの成績を与えた生徒からそう伝えられる場合は驚かないが、そうでなかった生徒からそう言われるとなおさら嬉しい。TA頑張って良かった。こういうのって自信につながる。

.別の元教え子、先月何枚も推薦状を書いていた生徒からメールが入り、有名な奨学金の最終候補者にノミネートされたと連絡を受け、感謝された。嬉しいね。最終審査でも頑張って欲しい。

.今回ペンに戻って、今年新しく学部に入った後輩と話す機会が多くあった。特にエリックとティム。エリックからはコンプスや教授陣との付き合いの相談。ティムからは論文の書き方やらスワモスでの経験など。まだ学部内の政治で分からない部分があるようで相談を受けたのでしっかり答えた。こうして後輩との関係を強化する過程に喜びを感じるよ。

.指導教官のサポートをしっかりと感じながら研究が進められている。先週提出した博士論文のメインの章について、今回はエイブリーとジェニファーと個別に会ってコメントを頂いた。まだまだ直す部分は多いが、しっかりと進歩を認めてくれ、その進歩をプリドクの応募のための推薦状に書いてくれている(と思う)。頑張れば結果は必ず付いてくる。そしてただ単に結果だけでなく、こういう過程も大切にしたい。

写真:我が政治学部の院生ラウンジから外を眺める。この一枚からは分からないが、部屋全体からの景色は最高。特に春になると窓一面にが満開になる。

学部の中でパシャっとな。

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ただ今フィリーから戻ってきました。2週間に一度の訪問から得た収穫は今回も大漁だ! 疲れたけれどプリンストンのプリドクの応募が明日土曜で締め切りだから今夜は徹夜で準備してます。困った

写真:学部のビルにて、今日。顔のすぐ右にあるのが、学部内での紹介用の私の写真。このブログのメイン(左)の写真にも使ってる。分かる?

軍事系政治学者が勢ぞろい!

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来年8月にボストンで開かれるアメリカ政治学会の計画が少しずつ進んでいる。

私は政治学会の軍事系の分科会であるCAMOS(ケイモス、直訳:軍事作戦と戦略の分析委員会)というグループに所属しているのだが、今内部の話で、来年の学会で軍事系の著名な政治学者を集めてパネルを構成しようとしている。パネルのトピックは非通常紛争について。私も今年から委員の一人として(とりあえずウェブマスターとして)、パネリストの選出に関わっているのだが、今回のパネルのメンツはこんなのになりそう。

1.バリー・ポーゼン(MIT、ウェブ
2.ジョン・ギャディス(エール大歴史学教授、ウェブ
3.スティーブ・ビドル(外交評議会、ウェブ
4.ジョン・ナーグル(米陸軍、ウェブ
5.そしてモデレーターとしてアメリカ陸軍士官学校の教授でケイモス代表のアイク

すんごいスーパースターの集まり。特に4のナーグルは、去年の年末に陸軍と海兵隊から出版された対反乱軍戦略のマニュアルを作成したメンバーの一人で、米陸軍内ではライジングスターと見れらている人物(オックスフォード博士号)。

このようにケイモスの先輩学者らと同じグループで事務をしながら学ぶことは多い。それに来年の学会も楽しみにしている。

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こないだCSPANでイラク戦争のぺトレイアス報告書について語るスティーブを観ていたのだが、なぜ彼はこんなに頭のいいことを連続して言えるのか本当に不思議に思う。全て英語のトークだが、興味のある方はここから。特に最初のクリップは最強(2007年9月)。スワモスの期間でも彼の講義は冗談抜きで凄かった。

お薦めの国際安保情報サイト

国際安保問題に興味がある方へ。

カナダのサイモン・フレイザー大のプロジェクトの一つである人間の安全保障のニュースレターがお薦め。基本的には各国の新聞記事を編集したものなのだが、ニューヨークタイムズやワシントンポストなどでは中々得られないアフリカ諸国や南欧の軍事問題を毎日集めて無料で送ってくれる。サイトは、

http://www.hsrgroup.org/

で、ニュースレターの購読の仕方は、

http://www.hsrgroup.org/index.php?option=com_newsletter

で、必要なのはメルアドと国名のみ。

ありえん英語シリーズ・パート2

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前回に続いて(ありえん画像)、ありえない英語表記シリーズの第2弾。

この右の写真、言おうとしていることはなんとなく分かるけどね。もうすぐ雪の季節だから準備をしろと。そんでこの店では雪を溶かすための道具を売っていると。それでも凄い英語や。

.Get ready にしてくれ!

.Comin' なんていう名詞は数えられるんか(なぜ a が付く?)!

そんでなそんでな。

.なぜ ice melt の後にアポストロフィーが付いてんだ?

ありえんやろ。爆笑したよ。

写真:私の通勤路にて。12月10日朝。

これを聴け!

私がエンヤのファンだということはここに何度か書いたが、この歌は知らなかった。鳥肌が立ったよ。拍手

http://www.youtube.com/watch?v=t4Old6BfmIE&NR=1

ミーハーのためのラテン語

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普段英語を読んでいると、英語以外の単語が外来語として文章中に混ぜられ自然に使われていることがある。特に固有名詞に限られる事ではない。例えば日本語の tsunami やら、ロシア語のツァー、フランス語のアバンギャルドなど。日本語で使うカタカナと基本的には同じである。

最近の「のりブーム」はラテン語。事実、ゲルマン系の英語とラテン系の言語には共通単語は多く、英語圏ではより広く受けいれられている。大学の紋章にも自然に使われている。うちの大学で言えば

Leges sine moribus vanae

意味は「倫理のない法律に使い道はない」。

私も自他共に認めるミーハーとして、自分が英語で書く論文では可能な限り多くのラテン語を用いる。例えば、ceteris paribus、mea culpa、ad hoc なんてあるのだが、少しややこしいのがそれの活用形。たまに「卒業生」という意味で alum を使うが、女性単数(alumna)、男性単数(alumnus)、女性複数(alumnae)、男性複数(alumni)に活用し、なかなか覚えられない。私が昔勉強したフランス語やロシア語とも活用方法が違うのである。シブくラテン語を使っても間違うと逆に恥ずかしいので、さっき私がやったことはウィキで使用法をしっかりチェック。あかんべー

イメージhttp://www.parisdjs.com/images/covers/Ivan_Tchijevsky-More_Latin_Than_Soviet_b.jpg

PS.しかもこんな内容のエントリーを「博士論文」のカテゴリーに入れている。

ついに論文投稿

昨夜は夜遅くまで粘って論文を一つ終わらせ、ある政治学のジャーナルに投稿した。この論文は自分の博士論文がベースになった物。良い結果が出るよう祈っておこう。

現行の博士論文から別に派生した論文がもう一つあるので、この冬の間にそれを終わらせて別のジャーナルに投稿しようと思っている。博士論文はそれと一緒に同時進行。プリドクの応募もまだ残っているのでこれからが大変だ。

いやー今年の冬は色んな意味で寒いねー。去年の今頃は俺プエルトリコ行ってたんよ。
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