Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。

最近気になる世界の国々

60a86692.jpg
1.ケニア

アフリカ大陸でも珍しく政治・経済両面で安定していたこの元英国植民地も(1998年のテロ事件はさておき)、先週の大統領選挙後は文字通り一晩にして東アフリカでも最も不安定な国の一つに急降下。選挙で負けたとされるオディンガ氏、正統的な国内政治手段で再選挙を訴えない選択は正しいと思うが(勝ち目は薄い)、だからと言って路上で過激なデモを起こし内戦を始めたその判断力を私は疑う。今後仮に大統領に選ばれたとしてもこのような強行手段に訴える人物にどこまで期待できるか不安。

イメージwww.nytimes.com/slideshow/2008/01/01/world/20080101KENYA_5.html

2.キューバ

今年こそはカストロも引退か? と思い始めてもう半世紀近くが経過。弟ラウルのデビューはいつの日か。

3.パキスタン

先月のブット元首相の暗殺、パキスタン政府は直接関与を否定し同国ワジリスタン地方に暗躍するタリバンの責任を訴えた。ただそれにはアメリカも疑問視。長期に渡ってブットの政敵だったムシャラフ、そして政治的にやや独立した諜報機関のISIが疑われるのは当然。一方で、後継には息子が決まったそうだが(暫定的に夫が党首に就任)、彼はオックスフォード大在学中の19歳。

20cad529.jpg
4.ウクライナ

先日このブログで著者の独断と大偏見により The Most Beautiful Female Politician of the Year に選ばれたティモシェンカ氏(世界で一番の美人の女性有力政治家はこの人)。先月の投票でウクライナの首相に返り咲き。オレンジ革命の継続、そしてウクライナの西洋路線の再出発なるか。

彼女のブログ(http://www.tymoshenko.com.ua/eng/)、英語版まで用意して…。とくとご覧あれ!

5.ソマリア

93年の「モガディシオの戦い」「ブラック・ホーク・ダウン」で一躍有名になった「アフリカの角」ことソマリア。06年の夏から始まったイスラム法廷会議の反乱劇は、隣国エチオピアの陸軍を巻き込んで(というか後者が侵攻した)私の研究テーマである extra-systemic conflict に発展。2000年代前半は「失敗国家」の古典的な例として研究されていたこの国は今年も紛争で始まり紛争で終わりそう。

フィリーとサンディエゴ

新しい年が明けた。休み明けの明日水曜からは怒涛の数ヶ月が始まる。

今週は金曜に、ペンの先輩の一人から直指名でフィリーに呼ばれた。就活中である彼は今月半ばにある有名大学での就職の面接と論文の発表が控えていて、それの準備練習に付き合えとの事。こうなったらとことん付き合おう。

今週末にはプリドクの応募を3つほど済ませ、来週は3日間カリフォルニアのサンディエゴへ(地図)。先日書いたように今月は準備に追われていて、本来なら休暇の時期ではないのだが何せチケットが安かったのと、海があるのと、暖かいのと(メキシコ国境近く)、今月中旬から始まるプリドク応募の嵐の前に気分転換が必要。初めての西海岸、うひょーい!

今年の国際安全保障を振り返って

所属しているライオンズのプロジェクトの一つで、2007年の国際安全保障問題の総括をしている。いずれ最終版をこのブログに載せる事になるが、今回は今年最後のエントリーということもあり、ここに短くまとめる。私の主張は以下の3点。

.世界政治の最重要問題は国際テロである。そしてそれが最も強く影響する地域は中東、南アジア、そして北アフリカの一部であり、今後研究を通してそれらの地域の見識の拡大を図る必要がある。

.その主な理由は、地域の枠組みを越えた暴力、金、人、そして技術の拡散が他地域を侵し連鎖反応を生み出すことである。また、地球化現象(グローバリゼーション)は一般的に市場経済に頼る自由主義国家に経済利益をもたらし平和を促進する一方、発展途上国には過激で暴力的なイデオロギーを生みつけ通常兵器の輸出入を通し、これらの地域を中心とする第三世界の内部に不安定なサイクルを作り出す。

.日本のインド洋からの撤退は正しい政策だが(by default ね)、イラク戦争への加担は間違っている。アルカイダもイラクの過激派反乱軍も日本の軍事脅威ではない。世界はすでにイラク戦争に反対し、イギリス(バスラから)、スペイン、イタリア、ポーランド、ウクライナなどは撤退している。「国際社会の一部としてのイラク戦争への派兵」という考え方自体が実は日本の世界からの孤立を促している。

それでは皆様良いお年を。

Class and Standard

昔も書いたように、このブログのタイトル(国境なき政治学者)の代わりを探しているのだが、なかなかいいのが見つからない。昨日、テレビを観ていて思い付いたのが Class and Standard(「気品と規範」という意)。このエリーティズム溢れるシブいフレーズに一瞬シビれたのだが、このブログにはそんな要素がどこにもないことに気づいたので却下。「ソフィーの世界」よろしく、自分探しの旅はまだ続く…。

Gymnopedies
http://www.youtube.com/watch?v=DwSyhymTSN8&feature=related

ありえねー話・ティファニー

読んでて開いた口が塞がらなかった。俺の世界とかなり違うぞ! 英語だけれど訳す気にもならん。しかもこんな時間に俺何読んでんだか(夜3時半)。ありえねーくだらねー。

http://today.msnbc.msn.com/id/22330315/?GT1=10645

気分直しにティファニー。もう20年近く前の曲。当時はかなり影響された。

Tiffany - New Inside in Chile
http://www.youtube.com/watch?v=188QPgJxejw

大学院の受験を思い出す

f82f2f7a.jpg
今冬は博士論文の研究とプリドク(博士課程の最終年のための奨学金)の応募に明け暮れているのだが、前者だけでなく後者も大変な作業である。

今月までに4つほどのプログラムへの応募を完了させたが、まだ残っているだけでも数えて13もの準備が待っている。今までのと合わせて最終的には合計で20通もの応募をすることになる。正直ここまで多くのプリドクのプログラムがあったとは驚いたが(同時に喜んでいる)、ただ応募の締め切りが1月前半から2月前半の間と集中しているため、幾つもの願書を混乱せずにほぼ同時に仕上げる必要がある。そして競争率が高いため(世界中の政治学者が応募する)、一通一通洗練された提案書を何度も書き直しながら用意している。

こうして仕事をしていると、5年前の大学院受験を思い出す。当時も何度も何度も願書を書き直しながら、最終的に13のトップレベル校のみ受験した。その受験校の数の多さで、当時の私の自信の無さと不安が良く分かると思うが、果たして結果も散々だった。ただしアメリカの私立の大学院は入試の倍率が10倍から40倍まで上るから多くを受験して正解だった。今回は20通。どこかに当たるかね。

Support our troops.

32f5e1b6.jpg
この寒い冬の時期、今年も国に仕えた無数の人間に感謝したい。その中でも特に海外に派遣されている自衛隊員に感謝したい。彼らの多くは国のために文字通り最前線で命をかけて働いている。外国の言葉を分かるわけでもない、いざとなったら己以外に救いを求める者はいない、少なくとも概念的には最も危険な職種である。

海外派遣の政策に問題は多い。日本での派兵のイメージは国際レベルのそれと大きなズレがあり、官僚でさえ気付いていない。そして私は日米同盟の維持という理由での日本のイラクやアフガニスタンへの派兵にも特に賛成はしない。敵国でもない国家に侵攻して逆に敵を作ることに矛盾を感じるべきである。戦争の目的は同盟関係の維持にあるべきでない。

ただしそれは自衛隊員の介入しない政治的な問題である。我々は、どんなに間違った政策に仕えていても、イラクでも、ネパールでも、ゴラン高原でも与えられた任務の達成のために多くを犠牲にする彼らに感謝するべきである。少なくとも私は彼らの味方である。

-----
そしてこの種のメッセージが右翼と勘違いされない社会になりますように。

イメージhttp://www.thetrumpet.com/cache/000701_id701.0w360h240.jpg

仕事の仲間とパシャっとな2・推薦状

2a621fad.jpg
最近また元生徒に推薦状を頼まれたのでそれを書いている。今回は5通必要とのこと。一般的に推薦状の書き方にはいくつかのスタイルがある。自分の教授や周りの同僚のを見ていると基本的には短くまとめたものを一枚書き上げるのだが、私の場合は複数のページにまたがりシングルスペースでその生徒の詳細と推薦する理由を細かく書き上げる。この生徒には3枚書いた。

ページ数が多いと最後まで読んでもらえない確立が高まるが、私の場合は最初の段落でズパッと推薦の理由を主張するし、同時に、仮に読んでもらえない場合でもページ数の多さで(表面的な)説得力が高まる。少なくとも私が審査員だったらそう感じるだろう。

それもこれも全て生徒の将来のためである。私も自分がお世話になった多くの方々にあらゆる場面で多くの推薦状を書いて頂いたので、それに加える形で次の代に回してゆく。

いやー頑張って欲しいねー。

写真先日のエントリーと同じときに撮ったもの。良き思い出に。

神:シカゴのジョーダン像

780312c8.jpg
今年の8月に初めてシカゴを訪れた際に、学会をサボってまでしてわざわざ見に行った。ユナイテッド・センター前にて。忘れる前に載せておこう。

この像を見て思い出したのがネッツのビンス・カーターの人超えダンク@シドニー。ありえん技。

http://www.youtube.com/watch?v=_kPdliloorQ

ロシア・プーチン外交政策の魅力

最近見ていて興味のある国はロシア。プーチンの国家指導者としての魅力はロシア人でない私でも理解できる。

最近のメドベージェフ氏の大統領後継指名にしても(そしてプーチン本人は首相後継)、

国連やアメリカの意図に反してイランに核物資を売ることも、

ウクライナなどの西洋寄り元共産国家に対しての威圧政策も、

親露のベラルーシを半強制的にロシアに合体させようとしていることも(これはルカシェンコ大統領個人の意図とも重なる)、

日本に対して北方領土を返還する意図を全く示さないことも(私の意見では日本の政策に問題がある)、

欧州連合や国連など、西洋国家が支持しているコソボのセルビアからの独立に対しても真っ向から反対するその姿勢(コソボはアルバニア系、セルビアはロシアと同じスラブ系)。

冷戦後、ロシアの政治力の衰退を予想する者は多かったが、未だに核を持ち、未だに世界中の隅々にまでその影響力を出す国は珍しい。その原動力はプーチンの外交政策に大きく依存していると思う。そして最近のロシアの経済力の上昇(主に天然ガスや石油などのエネルギー資源の高騰によるもの)もそれを助長している。

日本はどこへ行った本当に?
月別アーカイブ