Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

Live from CDI, it's Columbus Day!

今日は珍しくオフィスから。

最近このブログの更新率高いでしょ。一般的に、アクセス数が昇れば更新率も高まります。期待に応えて。毎回面白い事書ける自信はないけれど、頑張るよ。

とは言っても今日は疲れてる。今日は朝からホテルで開かれた非対称戦争に関する学会に参加、珍しく無料の昼食食べずに会場を出てそのまま出勤。普段の私はカジュアル系のシャツ着てニヤニヤしながらDC市内を闊歩するのに、最近は悩み事もいくつかあって体にきた。今日は Columbus day という祝日も仕事。プリドクの応募の締め切りも間近。博論も頑張って書いている。少し休みたい寝る

勇気と学問、日米安保絶対論

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私が人間を評価する際に探す価値観はいくつか存在するのだが、その中の一つとして勇気と度胸がある。

これは一般的にそうだが、学者に対しても同じ事である。学問的な問題を引き起こすと分かっている立場を、科学的に証明する必要とその可能性、そして現実性がある場合、あえて危険を冒して難しい主張をし、結果として総合的に良い意味での学問的な物議を醸す効果を起こす。既に一定の意見を主張し学者としての立派な立場を形成している「強者」にとっては、このような弱者的なチャレンジは迷惑なものなのだが、立場の枠組みを超えればこのような競争を経て学問が進歩するのは明らかである。

アメリカの国際関係学では、ここ数ヶ月の間、これに似たような現象が起きている。アメリカの外交政策とイスラエルのロビー活動に関する議論で、簡単に書くと、アメリカの中東政策はワシントンを中心とする親イスラエル派ロビーグループによって強く影響され、それはアメリカの中東政策に関して否定的な影響を及ぼしている、との主張である。もちろんこれは政治学や国際関係学の分野だけでなく一般的な政策論に広がり、一定のサークル内で大きな論争を起こした。

私は特にイスラエル・ロビー論を強く信じるものではないが、その主張には強い説得力があり関心する。また、確かにこの主張をする教授は政治学の中でも既に影響力のある人間なのだが、今まである意味タブーとされてきたロビー論に、危険だと分かりつつも新たな視点を導入し、結果として政治学内で刺激的な議論を起こしたことは賞賛に値する。

私も彼らのスピリットを受け継ぎたいと思う。私は軍事学をできるだけ政治学に導入させようとしている点で既に(日本では特に根強い)一定の学問的枠組みから離れたことをしているのだが、他にも例えば日米安保の件がある。私の過去の政策空間での論文を読めば明らかだが、私の基本的な立場は一般のそれとは違い、非常に懐疑的である。

例:テロリズムと日本の安全保障政策

日本の新聞を読んでいると、中道もしくは右寄りの意見で、日米安保が日本の国益に直接的に結びつくという見方が非常に強い。場合によっては左よりの記事もそのような立場を取る。この一貫性には驚くべきである。911の同時多発テロ後、特に国内での議論を行わずに自衛隊の派兵を行い正当化し、今のアフガニスタンでも大した結果が出ていないのにも関わらず、議論という議論さえ出てこない。イラク戦争がこんなに失敗しているのにも関わらずである。私は特に民主党の小沢氏の外交政策に賛同はしないが(特に彼のISAFへの派兵論)、この日米安保絶対論はそのうち見直されるべき議論だと思う。少なくとも学問の世界では。

このネタに興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

写真:懐かしの去年のスワモス。後ろはジェイソン、ネギーン、案内人のスティーブなど。

日本語で一番好きな曲

佐野元春 - 約束の橋

歌詞、音楽ともに最高!

(今日は柔らかめに)最近思うこと

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私も読者の皆様と同じように、毎日色々なことを考えて生活している。ただ基本的にはここに書けないことの方が多い。それでも書ける事の中からいくつか挙げると、

.新聞読んでるけれど、パキスタンって意外に司法が強いね(ムシャラフ大統領苦戦中)。

.今日はソフトボールのあとはプリドク(博士号を取得する前のフェローシップ)の応募の準備をした。疲れた。最初の応募の締め切りはなんと来週の金曜の12日! 今年度始まったばかりなのに、早いな。

.ただいま自分の英語のウェブサイト構築中。そのうち学部のサイトから入れるようにするよ。

.早くフランス語の勉強再開しないと今月行くパリで大変なことになると思う。

.このブログって、真面目なことを書くとその日のアクセス数が減るのに、くだらんタイトルでくだらんこと書くとアクセス数が上がる。先日書いた「大切な後輩たち」は普段真面目に思っていることを正直に書いたのにほとんど読んでもらえず、「通知表一通10ドル」や昨日の「なんてこった…」はみんな好きだったようだね。このブログは一応フランス語で「国境なき政治学者」って真面目な主旨のものなんだけれど。

.グーグルのような検索サイトを使ってこのブログに入ってくる方がいるんだけれど、昔、「のり アホ ペン」でこのブログを見つけた人がいた。やめてくれよ。

.毎日自炊してる。仕事場には自分で弁当を作って持って行っている。結構上手く作れるのだが、レパートリーが少ないのが悲しい。カレー、照り焼きチキン、うどん、野菜炒め、パスタ…。

.最近、日本の方から感謝状と呼ぼうか、手書きの手紙を頂いた。嬉しいぜ。「**さんのように既成概念にとらわれず、フランクでしかもビッグな人になれるようにこれから励みます…」。悪いことは言わん、ならん方がええよ。苦労するぜあかんべー

なんてこった…

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私が応援しているフィリーズが昨日2連敗したと思ったら、今夜はヤンキースがサヨナラで2連敗。松井カズの満塁打は嬉しかったけれど、メインのチームがこれじゃ凹むわ…。

気を取り直て、明日もブルッキングス特製の(汚ねーなー)ユニフォームを着てソフトボールに励もう。スポーツの秋だ。気温も25度近くまで上がると思う。明日は俺がバットやグローブなどの荷物運びの番。プレイボールは1時半。

ちなみにこのシャツ、4年前にブルッキングスのチームで着ていたもの。ずっとそのまま大切に取ってある。この番号のは世界に一枚しかないはず(ミーハー丸出し)。そしてこの番号でサード守ったら、誰になるか、分かる?

答え

大切な後輩たち

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昨日水曜は5時半起きでフィリーへ向かう。11時過ぎ、懐かしのペンに到着。早速郵便物をチェックし、学部のラウンジに行くと私の後輩たちと再会。みんな笑顔で「最近のり調子どう?」と聞いてくる。今度バスケをしようと約束した。正午に後輩のダレイと数ヶ月ぶりの再会。元気そうだ。

ダレイからは彼の博士論文の内容の相談を受けた。非常に面白いトピックで、東アジアにおいて民主化が国家の外交政策にどう影響を与えるか、というのに興味があるようだ。まだトピックが広いので、それを絞るのに今後少し時間がかかるだろうが、それを助ける意味でも、いくつか博論の進め方をアドバイスし、今後使えそうな質問をいくつかしておいた。喜んでいたので嬉しかった。

思えば私も2年前、博士課程の総合試験(コンプス)に一時失敗し、当時の彼女にこれ以上となく助けられながら、追試の準備をしながらでも少しずつだが博士論文を進めていた。程度の違いはあろうが、苦労するのは一緒である。少しでも助けになりたい。

私ももう学部の中では5年生でベテランである。ダレイやライアンを含む私の後輩は、私にとって貴重な存在である。私には中学の野球部の時以来、博士課程に入るまで後輩はいなかった。高校は少林寺拳法部をすぐに退部したし、大学はアメリカであったが特に学年を超えての活動はなかった。

学部外での話になるが、日本からメールなどを通して進路の相談を受ける事が多くなった。東京で過ごしたこの夏も、私に興味を持った人と数人会った。見知らぬ人が私を見つけ、私の仕事に興味を持ち、ュ治学の研究をしたいと連絡を下さる事が増えた。嬉しいことである。私がアメリカ留学を夢見ていたとき、ワシントンのシンクタンクでの勤務を夢見ていたとき、大学教授を目指し始めたとき、私の望む進路を妨げようとする人間は多かった。4年前のワシントンでは、私を可愛がって下さった先輩の日本人学者が3人いた。後輩は財産である。

安全保障をここまでハードコアに世界レベルで学んでいる先輩の日本人を私は一人も知らない。私には前を仰いで助けを求められる先輩はいない。ただ後ろにはいるし、これからももっと増えよう。政治学の専門家を目指す者にも辛い時はあろう。そんな努力を続ける彼らには、私が苦労して学んだことを少しでも避けて通れるよう、できるだけ助けながら進ませてやりたい。

私は先輩に気に入られて過ごす人生よりも、後輩に尊敬されて生きる方がいい。先輩にいじめられて過ごす毎日よりも、後輩に愛想をつかれて避けられる毎日のほうが辛い。私が今まで毎日毎日の努力で重ねて作り上げた人生を、少しでも彼らの糧にしてもらえればありがたい。

努力を続ける後輩には、できる限りのサポートをしている。進路の相談にものり、推薦状も(誇張して)書き、まだ何も知らないため私の研究を徹底的に批判しようとしてくる可愛い博士課程の新入生にも、笑顔で応対している。そのうち彼らもこの笑顔の意味が分かるだろう。そんな苦しい時も、私は彼らの見方である。

後輩は私の数少ない宝の一つである。逆もそうであって欲しいと思う。

通知表一通10ドル

今、プリドク(博士号を取得する前のフェローシップ)の応募の準備をしているのだが、受験に必要な書類のうち大学院時代の通知表がある。コロンビアは何枚オーダーしても送料込みで無料なのに、我が大学は一通10ドルもする。更に送料15ドル追加っておもろすぎるわ!

フィリーへの日帰り・アドバイス

明日水曜はフィリーに日帰りで行ってきます。目的は後輩のダレイの博士論文の相談に乗ることと、学部に届いている自分の郵便物を取りに行くこと。ワシントンとフィリー両方の中華街を結ぶバスで片道3時間、往復28ドル。往路のバスは午前8時発なので、明日は気合いで朝5時起き。帰宅時間は恐らく10時ごろ。

昨日書いた日露戦争の情報募集のエントリーに、現在は大学助手をしいる高校時代からの友人から助けの返事があった。早速ライアンに伝えておいた。どうもありがとう。

日露戦争の英語文献の情報募集

我が学部後輩のライアンから連絡があり、博士論文のプロジェクトで1904年の日露戦争を実例として研究するかもしれないとの事。そこで日露戦争の英語での良い文献をたずねられた。正直有名な文献を知らないので、現在調査中。このブログを読んでいる方で良い文献をご存知の方はぜひともメールでご連絡下さい(yaponorry@hotmail.com)。お願いします。

今日の音楽
Bryan Adams Summer Of 69 live
http://www.youtube.com/watch?v=2dBnCF8yf4I

New Kids On The Block - Step by step
http://www.youtube.com/watch?v=GQ5eZSa7URA&mode=related&search=

New Kids On the Block - Tonight
http://www.youtube.com/watch?v=OdKgfYl3RAg

Ice Ice Baby
http://www.youtube.com/watch?v=Vp-is6S_b_g

サンフランシスコの学会とそのプログラム

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来年3月にサンフランシスコで開かれる国際関係学会から、論文発表の合格の知らせが今日正式に届いた。

一緒に届いたオンラインの学会プログラムによると、私のパネルは以下の通り。

SB30 Saturday 10:30 AM - 12:15 PM
Winning Hearts and Minds?: Political-Military Tradeoffs in Counterinsurgency Strategy

Chair
Goucher College
Ariel I. Roth

Counter-Terrorism as Weak State Management? Comparing Waziristan and Post-Saddam Iraq
Jason E. Strakes
Claremont Graduate University

Enablers, Disablers and Drivers: Understanding Incentives and Disincentives to Use Force in the Mission des Nations Unies en République Démocratique du Congo (MONUC)
C. Elisabeth St. Jean
Norman Paterson School of International Affairs

Hard Hearts and Open Minds: Identity, Governance, and Counterinsurgency Strategy
Michael Fitzsimmons
University of Maryland

Winning Hearts and Minds to Lose the War: Lessons from Counterinsurgency in Malaya
Nori Katagiri
University of Pennsylvania


Discussant
Robert W. Rauchhaus
University of California, Santa Barbara

確か数ヶ月前のエントリーに書いたと思うが、同じパネリストのジェイソンとマイクは私の友人でもある。ジェイソンとは去年夏のスワモス夏季軍事講座で3週間一緒にコーネル大で過ごした仲だし、マイクはコロンビア時代からの友人で、先日のエントリーでも書いたように先月からイラクで爆弾の研究に勤しんでいる。今回私が発表を予定している論文は現行の博士論文ではなく、別に進めているもので優先順位は高くないが、3月までにはしっかりしたのを書き上げたい。

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