Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

イラク・アフガン戦争のマッチング問題

毎日博士論文を書きながら、金曜日の講義の準備をしている。授業の最初に、生徒の士気を高めるために行うマッチングの問題を先ほど仕上げた。私は普段の授業でもマッチングを行うようにしているが、今回のように初対面の生徒が相手で生徒のノリを上げるためにも必要だと思う。こんな感じ。

1. Petraeus - - Afghanistan
2. Blackwater - - terror threat exaggerated
3. Mueller - - surge
4. War of necessity - - security privatization
5. War of choice - - Iraq

答えは、
1. Petraeus ----- surge
2. Blackwater ----- security privatization
3. Mueller ----- terror threat exaggerated
4. War of necessity ----- Afghanistan
5. War of choice ----- Iraq

講義の準備と生徒への宿題

今週金曜に行うブリガム・ヤング大学の生徒への講義なのだが、久しぶりに教壇に登って授業をするのが楽しみで楽しみで仕方がない(最近それ位しか楽しみがないのである)。何か生徒に宿題を出しても良いと言われたので選んだ小論文はこれ。

Is There Still a Terrorist Threat?: The Myth of the Omnipresent Enemy
By John Mueller
From Foreign Affairs, September/October 2006

この論文の要点は、「テロリストなどアメリカに存在しない」、「一般に恐れられているテロの脅威など神話に過ぎない」など非常に刺激的な内容。この論文をベースに講義と生徒との対話・議論を進めていく予定。

大学講義の準備、ブルッキングスのソフトバール・チーム

今週の金曜日にユタ州にあるモルモン系のブリガム・ヤング大学の生徒のために講義をするのだが、その準備に今日は追われた(イラク・アフガン戦争のブリーフィング)。先ほど担当者の方と電話で話したのだが、コロンビアで博士を取ったある意味私の先輩で、私の学部時代の指導教官だったエンジェル教授の元同僚に当たるということで、少し話が盛り上がった。

そして今週末から、隣の建物のブルッキングス研究所のソフトボールのチームに加入する事になった。実はこのチームには4年前に属していて、今年は毎週土曜の午後に練習試合が行われるという。まさにスポーツの秋である。やっと野球ができる!

フィリーに到着・政治学部のパーティ

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フィリーに到着。もう秋なのか肌寒い。町行く人も長袖を着ている。今日はこれから学部長エイブリーの自宅にて新学期のパーティに参加します。

写真はペンの図書館前にある珍しいボタン

フィリーに一時戻る

金曜は午後から最近友達になったアメリカン大学の博士候補とお茶。6時過ぎからは、国防総省に属するシンクタンクに所属するマイク主催のハッピーアワーに参加。現在はメリーランド大の政策学部で博士候補をしながらも来週からイラクに派遣されるという事で、4年ぶりの再会を兼ねての壮行会(マイクとはコロンビア時代からの友人)。

明日はフィリーに戻り、学部長のエイブリー主催の学部パーティーに参加。2週間ぶりのフィリー。後輩数名との再会と今年の新入生と会って話すのも楽しみだ。ワシントンには日曜日戻ります。

フィリーの家具戻る

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今日木曜日、ようやくフィラデルフィアを去る直前に預けていた家具一式が帰ってきた。3ヶ月振りに開く、思い出のたくさん詰まった荷物を開けるのは多くの意味で大変な作業だ。それでも結局はこの2LDKに今後数ヶ月は住むことになるので、少しずつだが家具の備え付けを進めていこう。

この写真のは部屋に付いているもの。

政策空間への論文「東アジア共同主義」

今月号の「政策空間」に拙論が掲載されたので添付します。下にあるように、この論文は7月7日に行われたライオンズでの発表会での発表資料を基に書かれました。

東アジア共同主義―発展過程における紛争とその対処―

東アジアにおいて地域主義が唱えられて久しい。一般的に地域主義は、多国間の協調を意味しそれゆえに平和的な概念だと捉えられている。本稿では国際関係学の見地から、東アジアの地域主義の深化の過程で実は紛争の可能性が高まる事を指摘する。

地域化の定義は数多く存在するが、本稿では「経済・政治・軍事・文化統合を通じ地域内での秩序構築を呼びかける多国間協調運動」とする。それは同時に従来の国家の政策決定権利を地域の枠組みに委譲する過程、つまり国家の権力を地域のために一時的に弱める事を意味する。そこで興味深いのは、地域化にはNGOや民間、国際機構を含め様々な主体が関わる一方、中心的な推進母体は意外にも各国の外務省などの政府である事である。つまり地域化の特性として「国家主導の段階的な非国家化」というパラドックス的要素を含む。同時に東アジアの地域統合は世界における各地域での多極化を意味する。地域化が進むにつれ、国際政治が地理的に分化されるわけである。

戦後欧州での例から明らかな様に、一般的に国境を越えての経済・政治・軍事統合は平和を促進すると考えられる。ただしそこで地域化が非国家化と地球の細分化を同時に意味する時、その過程は流動的で必ずしも平和的ではないかもしれない。なぜなら地域主義の秩序構築という目的とは裏腹に、地域化という過程においては不安定要素が地域内部と外部に存在するからである。

考えうる内的要因は4つある。第一に、地域化によって利権が失われる個人や団体などからの反対運動が過激化しやすくなる(例:農業)。第二に、経済統合に伴う国家間の経済力格差の変動は必要以上にライバル意識を高めてしまう。第三に、現在の日中関係に見られるように、一国の軍事力の増加は地域内で軍事競争を起こしやすい。そして最後に、地域国家内で生じる紛争は地域内での結びつきが強まるにつれ対立軸がより明確になり、その紛争が二極化し激化しやすくなる。

外的要因は3つある。第一に、地域化に加わらない東アジア国家(例:ロシア、インド)とのライバル関係の上昇の可能性がある。第二に、東アジアの向上は他地域との競争が進みやすい(例:冷戦中の欧州とソ連の対立)。最後に、地域化を推進する国による外部での戦争(例:イラク戦争)への引きずり込みとそれによる政策の不一致による地域の分裂の可能性がある。

要は、地域主義の理想論を信じ込み地域化を盲目的に推し進める前に、その過程をいかに安定的に進めるかである。そして安定化のための地域化の順序をより明確にするべきである。その背景で、日本の外交政策に関しては、東アジアの地域化を以下の3つの条件で進めるべきである。まず、地域化に伴う国力の急激な低下を防ぐために従来の漸進主義を維持する。次に、地域内での唯一のリーダーシップを担い安定化に努める。そして最後に、多極化する国際政治の中で他地域との競争に生き残るため、東アジア地域の能力の向上を率先する。これらの条件を満たしつつ日本の国益の最大化を求めるべきである。

本稿は7月7日にヤングライオンズの勉強会にて発表された資料と参加者の皆様からのご感想を基に作成された。

ハドソン研究所、イラク・アフガン戦争のブリーフィング

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今日火曜は正午からハドソン研究所にて武器輸出のパネルに参加。無料で出たサンドイッチを頬張って話を聞くこと30分。そして午後3時ごろ、知り合いの日本人教授に仕事場のビルでバッタリ再会し、スタバに寄って1時間ほどお話を聞かせて頂く。この方は私の博論の内容に近い研究をされている日本では珍しい方で(良い意味で)、去年のスワモスでもご一緒させて頂いたため共通の話題が多い。

仕事場内で今日依頼が来たのだが、ワシントンでインターンシップをしているユタ州の大学生40人ほどのグループに対し、今度イラク戦争とアフガニスタンでの戦争についてのブリーフィング(発表)を行う事になった。ペンでもあまりない機会なので、とても楽しみにしている。このような外部へのアウトリーチは大好きなので、早速準備を開始した。まだ二十歳前後の大学生に多くを学んでもらえるよう頑張ろう。

南部バージニア、学部の同僚の変化

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新居が決まったので、近所をもっと知ろうとオリエンテーションに出かけた。近くにある普通のスーパーに入って気付いた事は、周りの人々が話す英語の南部訛り。そう、ここバージニア州は立派な Old South と呼ばれる歴史的な南部地域の一部を成す。今までのペンシルベニアとは違い、政治的にも思想的にも赤い共和党の州なのである(参照:Red states and blue states)。早速数年前まで住んでいたサウスカロライナを思い出した。ここバージニアはSC同様、サザンホスピタリティと呼ばれるように、気候だけでなく人々の態度も温かい事で有名なのである(参照:Southern hospitality)。

地図:http://wwp.greenwichmeantime.com/images/usa/virginia.jpg

話は変わるが、私の同僚の中で小さな変化があった。私と同じ学年で専攻が同じの友人が、博士論文の執筆を中止し就職したという。その人間は学年で最も賢く成績も良く、私が博士課程の試験に一度失敗した時もやさしく手を差し伸べ助けてくれた人だった。最近は連絡を取っていなかったが、非常に論文に燃えている人間だったので、私にとってもある意味驚きである。やはり博士課程と成績の優秀さに直接的な因果関係はない。前にも書いたが、政治学部の博士課程終了率は、入学者の50%に過ぎない。博士課程に必要な時間と経済的な費用を考える場合過酷な職業である。そしてまた、人間も変わるものである。

アレクサンドリアにて

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自宅の写真。家具が揃っていて暖炉付き。日当たり良好。
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