Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

2007年09月

IED(簡易爆発物)の特別レポート

2cda95a2.jpg
ここ数年イラク戦争の背景で話題になっている IED (Improvised Explosive Device の略、簡易爆発物)の特別レポートが、今日のワシントンポスト誌に載っています。簡単に書くと、IED とはベトナム戦争時に多用されたブービー・トラップの現代版の様なものである。興味のある方はこちらから。

先日書いた友人のマイクは、国防総省下のシンクタンクの仕事と彼自身の博士論文でIEDを研究するためにイラクに飛び立った。アメリカの政治学でもありえないトピックの博論である(ただし非常に重要)。

写真:http://www.defense-update.com/images_new/ied_sim.jpg

珍しく

金曜夜は数年来の良き友人と再会を果たし、久しぶりのキャッチアップ。リラックスして話せる珍しい相手だけに夕食も美味しく、これからもっと楽しくなるだろう。場所は初めて訪れたアレクサンドリア市の中心部オールドタウン。

遅めのコーヒーが効いたのか、眠れぬ夜を過ごす。時間潰しに博士論文に目をやると一番重要なセオリーの部分の進歩に気がつく。もうあと数週間で安保系のジャーナルに投稿できる出来である。来週はいよいよ事例の一章を自分の博論委員会に提出する。過去に数回ドラフトを見せてコメントを頂いているので相手の考え方は分かるため上手くいくだろう。

お気に入りのエンヤ:
http://www.youtube.com/watch?v=0dI_HyRnN8c
http://www.youtube.com/watch?v=Ae68NB-mOe4

久しぶりの推薦状

昨日は過去の自分の生徒と久しぶりに会い、昼食を取った。場所はワシントン中心部のマレーシア・レストラン Malaysia Kopitiam

この生徒は現在様々な奨学金に応募をしていて来年からイギリスの大学院で国際関係の修士課程に入りたいという。私がペンで受け持った生徒の中でもトップレベルの生徒で、珍しく努力家で、成績も抜群、学部生が応募可能な奨学金をほぼ総なめして卒業し、現在はワシントンにある米海軍の諜報機関で働くTS(トップ・シークレット)のクリアランス保持者である(つまり私の米政府内のエージェントあかんべー)。

昼食を前に約束していた、その生徒の奨学金応募に必要な推薦状を渡した。私もTAとして教壇を降りて一年以上経ち、元生徒からの連絡や推薦状のリクエストは特別に嬉しい物である。そして私はどの生徒にも、できるだけその生徒の要望に答え、その生徒の夢に一歩でも近づけるようアドバイスをしながら、少し誇張して推薦状を書き上げる。今回もそうし、この生徒の成功を祈っている。狙うはフルブライトでオックスフォードである。

コロンビア大での興味深いイラン議論

9caa6d50.jpg
今週始めにイランのアハマディネジャド大統領(写真右)がコロンビア大でから招待され講義を行った。その招待に関しては、ニューヨークのイスラエル系ロビイスト、反イラン政治活動家を中心に徹底的な抗議が繰り広げられた。日本語での記事は例えば、

米コロンビア大でイラン大統領講演、賛否巻き起こす

そしてその大統領のスピーチとその反響に関する興味深いブログを読んだ。全て英語だが、興味のある方はこちらから。

Bollinger's Belligerence: SIPA Students Respond to Ahmadinejad Talk

まず大きな問題として、表現の自由が挙げられる。私は大学に所属する身という事もあり、そして日米などでは憲法で認められている通り、思想の自由、表現の自由を支持している。もちろんそれらには制限があり、残念ながら時には政治的に利用される事もわきまえている。コロンビア大学総長が、賛否両論の様々な政治圧力を受け今回のイラン大統領の招待に踏み切ったのも、そして世界が注目するメディアを目の前にしてその大統領を個人的にも政策的にも批判する際に外部からの政治圧力の役割があったという議論も、当然理解できる。

ただ招待を許したコロンビア総長がどう批判されようが、そこに政治的計算があったのは恐らく事実だろうし、それを多角的に客観的に証明するのは至難の業だろう。いずれにしても、物議を醸すイラン大統領をキャンパスに招待し、自分自身もフリー・スピーチのスピリットで彼を批判したコロンビア総長の行為は評価する。

同時に思うのは、イラン大統領の批判がここアメリカであまりに過熱している事である。イランは核疑惑があるものの、それを阻止しようと徹底的に抑圧するアメリカから見れば弱国に値する。イラン側から見てもそうであろう。イランへの批判に関しては、反イラン派にも当然表現の自由はあるのだが、それが過度に相手国を刺激する性質であれば、両国の外交問題にも発展しかねない。本来なら避けられるべきイランとの間の政治危機、そして戦争の可能性さえも不必要に高めてしまうかもしれない。

私は弱国と強国の軍事関係を研究している事もあり、一般的な戦争の原因を追究する事も仕事のひとつである。ここ200年あまりの戦争の歴史を振り返ってみても、過度の外交的な抑圧と挑発が、結果として不必要な戦争を起こしてきた例はいくつもある。そして前世紀に入り、核開発などを通して一般的な軍事能力が膨れ上がり、人類の安全を脅かす危険性が高まるときは、抑圧の使用は可能な限り制限されなくてはならない。イラクやアフガニスタンでの派兵が続いている現在なら当然の話である。思想や表現の自由というのはこのような状況では特に政治的に利用されがちでその危険性が高く、従って非常に敏感に扱われなくてはならないのである。

写真:http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/photo/2005/06/26/PH2005062601297.jpg

ブリガム・ヤング大学での講義の感謝のメール

週が明け、金曜日に行ったブリガム・ヤング大学での講義の感謝のメールと感想が担当者のエリック(教授)から送られてきた。部分的に転送すると、

Nori, Thank you for taking time to come and talk to my students. Your presentation was informative and you have a very engaging style that the students liked very much...

こういうのって嬉しいね。にっこり

今日の音楽http://www.youtube.com/watch?v=Whw08RmUFNg
月別アーカイブ