Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2008年04月

来年の国際関係学会とランドのソフトボール

1.国際関係学者の皆様、来年の国際関係学会はニューヨークで2月に開かれます。プロポーザル提出は例年より少し早い5月30日。お忘れなく!

2.早速ランドのソフトボール・チーム入りが決まった。ブルッキングスのチームは先週で最後のようなので。私を入れてくれたリーダーのエリンには深く感謝。

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昨日のエントリーに加筆しました。

ランド研究所を初訪問

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月曜は午前中にランド研究所を目指しペンタゴン・シティへ。約束まで少し時間があったのでモール街を少し歩き帰国用のお土産のチョコレートを購入。11時半、研究所に赴きボスのデイビッドと初対面。

早速彼のオフィスに案内され研究プロジェクトのブリーフィングとプレゼンテーションを受け、私の役割の説明をして頂いた。研究はアルカイダを中心とするジハード系テログループに対する米空軍の戦略。内容はそこまでしか書けないが、初っ端からハードコアである。ただ同時に、話す内容から十分やっていけそうが気がした。

デイビッドは私より10数年年上だが非常に低姿勢かつオープンな人柄を持ちすぐに仲良くなる事ができた。そして明瞭な性格をしている。話の最中には私の日本滞在中用の数百ページに及ぶ研究課題を渡された。

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その後は研究所内を案内され図書室に赴き友人のアリソンに再会。少し談笑した後、上級研究員のアリャ・オリカーに紹介される。数年前、指導教官のダリルの「軍事分析」の授業で私が書いた論文では彼女のチェチェンの市街戦の論文が非常に役に立った旨を話したら喜んでいた。

その後はデイビッドと外出し Lebanese Taverna で昼食。生まれて初めてのレバノン料理を堪能した後は重い書類を引きずって現在の仕事場へ。6月から楽しみになってきた。

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写真:研究所のウェブサイトから。

時の流れ

土曜は毎週恒例のソフトボール。真夏日の快晴の下行われたゲーム、十分に楽しんだ。ホームランは3本くらい打った。ただ、来週からは夏のソフトボールのリーグ戦が始まるのと同時に、私は今週から日本に戻るので、今回がこのチームでプレーする最終日。リーダーのエリンを含め、スポーツを通して友人ができて嬉しい。また戻ってきてやりたいね。

午後8時過ぎからは国務省で働く友人のジェフ宅のパーティに参加。大学同僚のウェンディ、職場同僚のジェシカやデイビッドら友人数名と合流し、新しく人にも会えて嬉しかったが、ビール片手に騒ぐ形式の飲み会にはそろそろ合わなくなってきた。より静かでシックな雰囲気の会合に参加する以外は家でゆっくりする方が自分に合ってきていると思うこの頃。

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6月から始まるランドでの仕事、その進め方に不安な点が幾つかあったので、大学の同僚で過去ランドに勤務していたラハマンに質問をしたら長い返事を頂いた。問題点が解消されたので嬉しかった。

エンヤの曲

エンヤは基本的に何でも好きだが、これは一発で気に入った。

Enya - The Magic Of The Night
http://www.youtube.com/watch?v=uv2ZiKYgge0&NR=1

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今から毎週末恒例のソフトボールに行ってきます!

金曜午後のランダム・ノート

1.最近出回ったプーチンとカバエバの噂、ハッタリです。ただ、プーチン婦人のリュドミラとの間の噂は結構本当。昨日信頼できるロシア筋に確認しました。

2.来週月曜、ランドでのボスと昼食会。少しは緊張するが向こうは両手を広げて歓迎してくれているので楽しみ。研究所内の案内をしてもらい、日本滞在中にできる研究内容を話す予定。ちなみに、歳は離れているが、ボスはコロンビアの私の先輩に当たる。

3.8月に開かれるアメリカ政治学会の参加のための出張費が下りた。行ったるでボストン。

4.昨日、ワシントンにある航空会社の事務所に赴くとカザフ人の女性と話す機会があった。早速伝家の宝刀ロシア語を披露。あまりにも発音が良かったのか、相手からの返事は「あなたモンゴリアン?*」。

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*モンゴルではロシア語が話されます。

最新国際安保情勢:シリア、ぺトレイアスの昇進、ペンタゴンのメディア戦略

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1.昨秋から不思議に思っていたイスラエルのシリアへの先制攻撃、昨日ようやく答えが出た(参照:戦争を起こ「さない」イスラエルの先制攻撃)。

ヘイデン中央情報局長によると、シリアは去年から北朝鮮から技術者を直接迎え入れ、寧辺(ヨンビョン)に酷似した核施設を建設していたのだが(左イメージ)、米国にその途中で気付かれ、結果としてイスラエル空軍の爆撃機が攻撃しその撤去に見事成功したとの事。詳細はまだだが、とりあえずニューヨークタイムズから、

Video Links North Koreans to Reactor, U.S. Says
http://www.nytimes.com/2008/04/24/world/asia/24korea.html?ref=world

A. Q. Khan は北にも居たり!

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オルマート首相(イスラエル)曰く:極秘の作戦だったのに…。
アサド大統領(シリア)曰く:ばれちゃしょうがねー、国内世論のためにもイスラエル攻撃を…。
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2.ぺトラエウス・イラク司令官が、米中央軍司令官に昇進する模様。そしてイラクでの直属の部下であるオディエルノ中将は大将に昇進し、ぺトラエウスの後を継ぐ予定。

Bush Nominates Petraeus To Lead Central Command
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/04/23/AR2008042301249.html

前任者のファロン海軍大将はブッシュ政権のイラン政策に反論し更迭されている。対照的にぺトラエウスは現政権にとって軍事問題の専門家だけでなく、一般世論に直接影響を与えられる政治力を持つ人間として見られている。

ぺトラエウスの昇進は少なくとも2つの事を意味する。まず、現存の対反乱戦略(counterinsurgency strategy)の継続。そして第二にアフガニスタンでの軍事作戦の継続。最近イラク撤退の動きを止めたぺトラエウス、アフガンでも似たような政策が予想され、より多くの米軍兵士が戦場に送られるのと同時に、国際社会からの貢献も強く求められるだろう。

3.おまけ。一般的にテレビで解説する「軍事専門家」「軍事分析者」がいかに金銭的もしくはキャリア面での厚遇を受けることによって国防総省に有利な解説を一般視聴者にしているか、を説明する素晴らしい記事。専門家の意見も注意して聞くべし。

Behind TV Analysts, Pentagon’s Hidden Hand
http://www.nytimes.com/2008/04/20/washington/20generals.html?sq=pentagon%20military%20analysts&st=nyt&adxnnl=1&scp=1&adxnnlx=1209027770-U5gsK3Mvp8y+l5n4Zh9KJA

自宅付近の桜の写真・ペンシルベニア州予備選

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昨日のペンシルベニアの予備選、ヒラリーの10%の差での勝利には正直驚いたが、同時に嬉しく思った。やっぱりいい州だペンシルベニアは。

フィラデルフィアへの日帰り

5日ぶりのフィリー。来週の帰国までにするべき事が山済みなので。最近睡眠不足で時間の感覚が鈍ってきている。

学部に到着するや否や学部長のエイブリーのオフィスへ。誕生日のお祝いの言葉を言いながら、書類にサインしてもらう。午後からは院生部長のアイアンと数分話し、今後の予定を相談する。ランドの事に関して喜んでいた。その後は同僚数人と再会。特に弟分のティムは今夏国防総省ペンタゴンの政策課での勤務が決まったとの事。ただ所属する部署が「戦争抑留者課」で彼の専門(軍事兵器)とはかなり異なるため嘆いていた。「抑留者課」とは例えばグアンタナモなど政治色の濃い問題などを扱う。それもいい経験にはなるだろうが。

ワシントンへは今夜戻ります。

来週からの予定

最近、ストレスが最高潮に達する日々が続く。ここ2・3日で、短期間の自分の人生を大きく左右する大きな決定を幾つもせねばならず、睡眠時間もろくに取れずに少しずつパズルを当てはめながら今後の予定を立てている。あまりのストレスのために、このような場合において多くの人間が煙草や酒に走る理由もよく分かる。必ずしも酒煙草とストレスに因果関係は無いが。

来週、帰国を予定している。数名の方々から在京中の会合の打診をお受けしてとても嬉しく思いますが、残念ながら今年はキャリア面での重要案件以外は全てメールのみの交流に制限させて頂きます。皆様の大切なお時間の浪費を避けるためにも、ご理解宜しくお願い致します。

ランドの研究開始・ジェーンズ

今週、ランド研究所からのオファーに応じる事にしたため、少しずつランドの研究の準備を始めた(参照:嬉しいご報告!…)。ランドが焦点を置くテロ問題の中でも、特に力を入れているアルカイダ含むジハード系グループを研究する部署に配属されたため、こちらも大いに気合が入っている。そして私の研究が、スポンサーである空軍の特殊作戦部隊が興味あるネタであることも十分認識している。40年前のチャールズ・ウルフではないが、学会で発表する論文のタイトルが「Winning Hearts and Minds to Lose the War?」なものであったら興味を引くもの当然だろう(とてつもなく自信過剰、SFへ参照)。

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研究の準備のネタはとりあえず Jane's から集めている。我が大学でようやく最近購読し始めたこの雑誌は特にその値段が高い分、質も最高級の出来である。なにせ毎年発刊する数々の軍事図鑑が一冊数十万円もするのである。ランドではおそらく他にも研究マテリアルが多く存在するだろうが、とりあえず始めはジェーンズで十分。すでに幾つか読んだがテログループの情報量は凄まじい。
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