Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

2008年04月

最新国際安保情勢:シリア、ぺトレイアスの昇進、ペンタゴンのメディア戦略

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1.昨秋から不思議に思っていたイスラエルのシリアへの先制攻撃、昨日ようやく答えが出た(参照:戦争を起こ「さない」イスラエルの先制攻撃)。

ヘイデン中央情報局長によると、シリアは去年から北朝鮮から技術者を直接迎え入れ、寧辺(ヨンビョン)に酷似した核施設を建設していたのだが(左イメージ)、米国にその途中で気付かれ、結果としてイスラエル空軍の爆撃機が攻撃しその撤去に見事成功したとの事。詳細はまだだが、とりあえずニューヨークタイムズから、

Video Links North Koreans to Reactor, U.S. Says
http://www.nytimes.com/2008/04/24/world/asia/24korea.html?ref=world

A. Q. Khan は北にも居たり!

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オルマート首相(イスラエル)曰く:極秘の作戦だったのに…。
アサド大統領(シリア)曰く:ばれちゃしょうがねー、国内世論のためにもイスラエル攻撃を…。
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2.ぺトラエウス・イラク司令官が、米中央軍司令官に昇進する模様。そしてイラクでの直属の部下であるオディエルノ中将は大将に昇進し、ぺトラエウスの後を継ぐ予定。

Bush Nominates Petraeus To Lead Central Command
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/04/23/AR2008042301249.html

前任者のファロン海軍大将はブッシュ政権のイラン政策に反論し更迭されている。対照的にぺトラエウスは現政権にとって軍事問題の専門家だけでなく、一般世論に直接影響を与えられる政治力を持つ人間として見られている。

ぺトラエウスの昇進は少なくとも2つの事を意味する。まず、現存の対反乱戦略(counterinsurgency strategy)の継続。そして第二にアフガニスタンでの軍事作戦の継続。最近イラク撤退の動きを止めたぺトラエウス、アフガンでも似たような政策が予想され、より多くの米軍兵士が戦場に送られるのと同時に、国際社会からの貢献も強く求められるだろう。

3.おまけ。一般的にテレビで解説する「軍事専門家」「軍事分析者」がいかに金銭的もしくはキャリア面での厚遇を受けることによって国防総省に有利な解説を一般視聴者にしているか、を説明する素晴らしい記事。専門家の意見も注意して聞くべし。

Behind TV Analysts, Pentagon’s Hidden Hand
http://www.nytimes.com/2008/04/20/washington/20generals.html?sq=pentagon%20military%20analysts&st=nyt&adxnnl=1&scp=1&adxnnlx=1209027770-U5gsK3Mvp8y+l5n4Zh9KJA

自宅付近の桜の写真・ペンシルベニア州予備選

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昨日のペンシルベニアの予備選、ヒラリーの10%の差での勝利には正直驚いたが、同時に嬉しく思った。やっぱりいい州だペンシルベニアは。

フィラデルフィアへの日帰り

5日ぶりのフィリー。来週の帰国までにするべき事が山済みなので。最近睡眠不足で時間の感覚が鈍ってきている。

学部に到着するや否や学部長のエイブリーのオフィスへ。誕生日のお祝いの言葉を言いながら、書類にサインしてもらう。午後からは院生部長のアイアンと数分話し、今後の予定を相談する。ランドの事に関して喜んでいた。その後は同僚数人と再会。特に弟分のティムは今夏国防総省ペンタゴンの政策課での勤務が決まったとの事。ただ所属する部署が「戦争抑留者課」で彼の専門(軍事兵器)とはかなり異なるため嘆いていた。「抑留者課」とは例えばグアンタナモなど政治色の濃い問題などを扱う。それもいい経験にはなるだろうが。

ワシントンへは今夜戻ります。

来週からの予定

最近、ストレスが最高潮に達する日々が続く。ここ2・3日で、短期間の自分の人生を大きく左右する大きな決定を幾つもせねばならず、睡眠時間もろくに取れずに少しずつパズルを当てはめながら今後の予定を立てている。あまりのストレスのために、このような場合において多くの人間が煙草や酒に走る理由もよく分かる。必ずしも酒煙草とストレスに因果関係は無いが。

来週、帰国を予定している。数名の方々から在京中の会合の打診をお受けしてとても嬉しく思いますが、残念ながら今年はキャリア面での重要案件以外は全てメールのみの交流に制限させて頂きます。皆様の大切なお時間の浪費を避けるためにも、ご理解宜しくお願い致します。

ランドの研究開始・ジェーンズ

今週、ランド研究所からのオファーに応じる事にしたため、少しずつランドの研究の準備を始めた(参照:嬉しいご報告!…)。ランドが焦点を置くテロ問題の中でも、特に力を入れているアルカイダ含むジハード系グループを研究する部署に配属されたため、こちらも大いに気合が入っている。そして私の研究が、スポンサーである空軍の特殊作戦部隊が興味あるネタであることも十分認識している。40年前のチャールズ・ウルフではないが、学会で発表する論文のタイトルが「Winning Hearts and Minds to Lose the War?」なものであったら興味を引くもの当然だろう(とてつもなく自信過剰、SFへ参照)。

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研究の準備のネタはとりあえず Jane's から集めている。我が大学でようやく最近購読し始めたこの雑誌は特にその値段が高い分、質も最高級の出来である。なにせ毎年発刊する数々の軍事図鑑が一冊数十万円もするのである。ランドではおそらく他にも研究マテリアルが多く存在するだろうが、とりあえず始めはジェーンズで十分。すでに幾つか読んだがテログループの情報量は凄まじい。
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