Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

2008年05月

テロ関連の文献の書評

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ランド研究所の準備のため、アルカイダを中心とするテログループのプロファイルの研究を少しずつ進めている。

とは言っても、ジハード系を中心とする宗教であるイスラム教に関しては非常に限られた理解があるだけで、更にアラビア語にも全く精通しておらず、私にはテロリズムという漠然とした概念を政治学の分野での英語のみでのトレーニングがあるだけで、テログループの文献を読む際に直面する固有名詞への対応に特に苦心している。

それでも今週、興味深い書評をいくつか見つけた。以下の二つは参考になった。興味のある方へ。

Iraq: Will We Ever Get Out?
http://www.nybooks.com/articles/21431

The Rise of the Muslim Terrorists
http://www.nybooks.com/articles/21438

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http://watch.windsofchange.net/pics/mideast_israel_palestinians_akcf101.jpg

『un homme et une femme』 Clementine
http://www.youtube.com/watch?v=GZ5kTWxj-3k&feature=related

感謝のメッセージ

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このブログで短期の休みを頂いているのにも関わらず今まで通りこのサイトを見て下さっている方々、どうもありがとう! 期待に応えられるかは分かりませんができる限り更新し続けたいと思います。また、私は久しぶりの東京で元気にやっております。

1.ヒラリー。選挙からの撤退はもはや時間の問題だが、オバマとマケインを比較して後者でも悪くないと思える事は残念。

2.先週から読んでいた War by Other Means は終了。対反乱軍戦略に関して責め所の少ない良い一冊だった。

3.それから読んでいるのはカリバスの The Logic of Violence in Civil War。内戦で発生する暴力の論理を説明する一冊。彼の「暴力はその地域を制圧するために行われる」という主張は興味深いが政治学会で特に斬新的なものではなく、同時にそれは内戦外の戦争形式(例:国家間戦争や extra-systemic war)でも当てはまり得るため、今後の検証が必要。ただその主張の証明の仕方や多大で詳細な歴史記述の仕方は圧巻。

COIN

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今回は帰国中に読んでいる対反乱軍戦略(COIN = COunterINsurgency)の書物に関して。先週ボスのデイビッドとの会合の際渡された、仕事の準備である。以下のは全てウェブで無料で閲覧・印刷できます。

1. War by Other Means: Building Complete and Balanced Capabilities for Counterinsurgency
http://www.rand.org/pubs/monographs/MG595.2/

非常な良書。今まで抱いていた「対反乱軍戦略の文献に関しては政治学で十分」という考えが一発で覆された。ただその高質は、政治学博士号所持者が中心となって国防総省と絡みながら行われた研究に頼る部分が大きい。

2. Enlisting Madison Avenue: The Marketing Approach to Earning Popular Support in Theaters of Operation
http://rand.org/pubs/monographs/MG607/

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マーケット論を戦場に応用する興味深いモノグラフ。自分の研究でもかなり使えると思う。ただ、最初の議論であるセグメンテーション(相手国の民間人を分割して統治する方法、いわゆる divide and conquor 論の延長)は、反乱軍戦略論で根強く残る、「勝利のためには相手の政治形態を統合する必要がある」という重要な仮定に根本的に対立する。読了。

3. Heads We Win -- The Cognitive Side of Counterinsurgency (COIN)
http://rand.org/pubs/occasional_papers/OP168/

対反乱軍戦略の重要な要素として、単なる物理的な攻撃だけでなく、相手を outsmart する資源と能力が必要と説く、ありきたりだが少しニュアンスの入った主張。日本行きの機内で読了。

ブログに関するお知らせ

さて、今日からしばらく東京に戻りますが、滞在中は研究等に完全に没頭する予定です。皆様ご存知の通り、ブログの更新は私の楽しみの一つでもあるのですが、残念ながら再渡米までの今後数週間は更新の頻度を下げる予定です。また、今年はプライベートの会合に参加する予定はございません(参照:来週からの予定)。

その間、私の近況が気になって仕方がない方、日本滞在中に実は職探しでもしているのではないかと血迷った考えをお持ちの方、「ランドでやるテロの研究の勉強会でも開いてくれよ」と思いの方、そんな奇特な方々がいらっしゃいましたらお気軽にメール下さい。本人喜びます。
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