Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

経歴・学術論文等はこちら:https://researchmap.jp/katagirinoriyuki

ツイッターはこちら @norikatagiri1。

執筆、講演等の仕事の依頼は nori.katagiri@slu.edu までお願いします。

研究者の方々へ、Global Studies Quarterly (https://academic.oup.com/isagsq) への寄稿を是非ご考慮下さい。副編集長として編集作業に携わっております。お気軽にお問い合わせください。日本の多くの大学がそうであるように、JUSTICE (https://contents.nii.ac.jp/justice) 所属大学の方々はオープンアクセス出版料金が免除されます。

2008年07月

国務省役人によるイラク戦争の失言

9ce7ace3.png
現在のアメリカのイラクでの対反乱軍戦略の立案者の一人としてこのブログでも何度か名前を挙げられているデイビッド・キルカレン。今回は不意の失言で記事にされた模様。昨日の London Daily Telegraph から。

War In Iraq Was 'Stupid', Says US Military Adviser

A senior military adviser to Condoleezza Rice has described the decision to invade Iraq as "------- stupid".

Lt Col David Kilcullen, an Australian who advises the US Secretary of State, made the remarks in an interview about a new handbook he has written on counter-insurgency ...

He told the Washington Independent website: "The biggest stupid idea was to invade Iraq in the first place." He then added the expletive for emphasis.

...

:日本のイラク・アフガン派遣に関して深い疑問を持つ東京の外交官・防衛庁勤務者の本音が遅くならずとも反映される事を祈る。日本が議論もせずに恥じるべき派兵を決めたイラク戦争に関して、アメリカでは上記のような国務省上級役人のみならず国防総省、中央情報局やもちろんランド研究所などでも多くの反対意見を聞く事ができる。

-----
写真:http://www.firstdefence.org/images/Kilcullen.png

ペンタゴン部長と対テロ戦争の議論

ea6af8d3.jpg
月曜午前4時起床。午前中は仕事を進ませ、午後2時、ボスのデイビッドと会合。2時間半ぶっ通しで現在の研究プロジェクトの議論。スポンサーである米空軍特殊作戦部隊の好みそうな結論が少しずつ出来上がってきた。

6時半ソフトボールの試合。相手チームはモンタナ州選出のバーカス上院議員とテスター上院議員の混合チーム。私はショートを守り3番打者、5打数5安打でサイクルヒット達成。結果は28対12の大勝利。

火曜午前6時起床。10時、国防総省の対テロ戦争に関わる部長とバージニア州にて接触。アフガン地域と当地域のテログループに関する豊富な知識と経験を持つ手強い相手(元軍人)。私のような非専門家には適うわけもなく、こちらの抽象的な質問には簡単には答えてくれない。情報が情報だけに、幾つかの突っ込んだ質問への返答も拒否されたがそれでも濃密な議論を交わす事ができた。後半、私が今ランド内で推し進めている対テロ戦争の戦略の一つを提案すると面白そうに食いついて来、本来なら30分の約束が大幅に延長され最終的に1時間強話した。名刺交換させて頂いたが、このオッサン本当は名刺なんか持っていちゃいけない立場の人間である。

正午近くに研究所に顔を出すと、ピッツバーグで対反乱軍戦争の研究を進めている同僚のコリンから明日予定しているプレゼンのプレビューを頼まれたため、彼のブリーフィングに目を通す。午後5時、彼に電話でコメントを伝え、翌日のプレゼンの健闘を祈る。6時半、2日連続でソフトボールの試合。今回はミシシッピ州選出の上院議員のチームが相手。前日よりも手強かったがそれでも25対18の大勝。私は前日と同じ3番ショートで、4打数3安打。写真はゲーム中の模様。ランドのユニフォームが手前の紫。私の背番号はもちろん51。

先週後半の社交記録

木曜、同僚のナディアに誘われ別の同僚数名と共にロシア・ハウスのパーティに参加。ワシントンで活躍する多国籍の弁護士、デザイナー、新聞記者らに紹介を受けグルジアのワインを飲みながら会話を進める。私の場合、社交は一般的に好きだし新しい人との交流も適当に楽しむが、組織性と目的意識の欠ける飲み会は最近時間の無駄に感じる。また、自分の専門外の人と飲む場合は共通の話題を見つけるために頑張ってしまうので結果として人一倍気を使って疲れてしまう。

土曜午後1時から毎週恒例のソフトボール。友人のエリン、サリム、ライアン、ジョン、ケイティらと久しぶりに会いプレー中に和やかに談笑。試合終わって帰宅は5時、疲れきって招待されていたアニットのホーム・パーティに参加できず。後ほど謝罪の電話を入れ、聞けば参加者20人ほとんどがアメリカの防衛関係者だったと。行けば良かったぜ…。

翌日日曜、同僚のオリアナが共催するブランチに参加するため駐イエメン米大使宅へ。弁護士、医師、議会勤務者含む計30名と共に大量の朝食を消化しつつ数時間交流。オリアナの紹介により、恐らく近い将来日米問題の研究者として名を馳せるだろうダニエル・クリマン@プリンストンの知己を得る。既に共通の友人が数名いるため会話もスムーズに進んだ。

ランキングへ。

ビドル博士のイラク談、カルザイ・アフガン大統領の腐敗

今週コーネル大で開かれたスワモスでの、スティーブ・ビドル博士のイラクに関するスピーチ。興味のある方へ。

http://sunburntsky.blogspot.com/2008/07/stephen-biddle-on-iraq-cu-swamos.html

-----
今週、読んでいてドキドキする新聞記事に久しぶりに遭遇した。アフガニスタンのカルザイ政権、そしてカルザイ本人の腐敗ぶりを明確にする素晴らしき暴露精神。本来なら今週末印刷の予定だったがニューヨークタイムズ紙もそれまで待てなかったようだ。

Is Afghanistan a Narco-State?
http://www.nytimes.com/2008/07/27/magazine/27AFGHAN-t.html?_r=1&partner=rssnyt&emc=rss&oref=slogin

少し抜粋すると…。

"The attorney general, who was just fired, told me he had a list of 20 corrupt officials who he was not allowed to prosecute."

"He [Mr Karzai] perceives that there are certain people he cannot crack down on and that it is better to tolerate a certain level of corruption than to take an aggressive stand and lose power."

↑よく分かるよ。

Mr Karzai was manipulating his Western allies and "playing us like a fiddle."

まとめ↓

"The US would spend billions of dollars on infrastructure development; the US and its allies would fight the Taliban; Karzai's friends could get richer off the drug trade; he could blame the West for his problems; and in 2009 he would be elected to a new term."

あまりの余裕に…

1f382b11.jpg
あまりの余裕にランキング再挑戦。

いったれ首位奪回

ありえん名前シリーズ@ニュージーランド

日本では数年前、「悪魔」という名の命名が許されなかったが、今日のニュージーランドからの報告によると、それよりも遥かに奇抜な名前が法的に認められたという。

幾つか例を挙げると、

許される名前

Number 16 Bus Shelter (「バス待合所16号」、生みの親がここで会ったとか?)

Midnight Chardonnay (「真夜中のシャルドネ」、将来酒飲みの子供に育ちそう)

不可の名前

Yeah Detroit (なんでやねん)

Keenan Got Lucy (このブログには適さない翻訳になってしまう)

Sex Fruit (そのまんまやんけ)

Cinderella Beauty Blossom (悪くないとは思うが)

Fish and Chips (これは双子用、兄弟間で名前交換の喧嘩おきるだろうな)

-----
の:記事読んでて驚いたわ。正直「悪魔」が可愛くも思える。

抜粋元:http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/asia-pacific/7522952.stm

「のり、これらの問題は機密事項が多すぎてあまり話せないのよ」

12df7b4a.jpg
火曜日は何を血迷ったか午前1時に起床。そのまま博士論文の研究を進める。職場に赴き9時、ランド研究所の所長と会談。その後は研究所の幹部の方々と数分間グループで談笑。

12時前述の対反乱軍戦略の発表会に参加するため同僚数名とダウンタウンへ。今回はナーグルやキルカレンなどの大物が登場したが、結局話の内容は戦場地域の警察能力を高める必要性やら「学ぶ」軍隊の必要性など、ここ数年既に議論に出尽くされたものが中心。既存の古い議論にイラクやアフガニスタンでの各々の戦場体験談を混ぜて話し観客を魅了する典型的な方法だが、私にとってはこの種の old wine in a new bottle は退屈に過ぎない。しかもナーグルの場合は一般の観客から高い期待を受けていたにも関わらず、発表時には単に自分の担当論文を読んでいた。キルカレンにも少し期待してはいたが、あまりの怠惰に彼の番が来る前に私は同僚と途中退場、帰社。ところで、このように重要な発表会に日本人研究者・外交官が皆無なのを不思議に思う。

1時半過ぎ、研究所に戻り仕事を進める。3時、ボスのデイビッドと会議。彼は多忙のスケジュールなのにも関わらず私にはとても多くの時間を割いてくれる。私にとっては理想の上司で、今回恵まれたとつくづく思う。4時過ぎ、職場のアナンが医科大学校に入学するための離職・お別れパーティに参加。

疲れが溜まっているため定時で帰宅。夕食も取らずにそのままベッドに倒れこみ、午後10時過ぎ起床午前一時過ぎ、再び就寝。

水曜日、職場には午前7時過ぎに参上。9時、ペンタゴンの戦略課から中東専門家を招きサシで会合。アフガニスタン・パキスタンでの対テロ活動の一環としての戦略作成過程のブリーフィングを受ける。冒頭、「のり、これらの問題は機密事項が多すぎてあまり話せないのよ」と言ってはいたが、話が進むにつれ結構なネタも疲労してくれたのには嬉しい意味で驚いた。相手はエール大博士号所持者の将来有望な若手役人だった。

-----
写真:ホワイトハウスにて。

飲む小田原

4c648be8.jpg
小田原。

フルーツドリンクです。

近くのスーパーにて。

対反乱軍戦略の発表会

22日木曜日正午、ワシントンにいる方で対反乱軍問題の同業者はこちらを注目。ナーグルにキルカレンなど、アメリカの counterinsurgency 戦略立案の大物が参加予定。

http://www.cna.org/NATIONALSECURITY/css/csd/announcements.aspx

ジョギング@ホワイトハウス

f1b35cb2.jpg
月曜は午前5時起床。博士論文を少し進ませ朝食を取って職場に赴く。9時、ボスのデイビッドと会合。研究のアップデートが話題。10時、ランドのイラン政治の専門家のオフィスに赴き自己紹介し談笑。30分後、友人の中東政治専門家のオフィスで談笑・恋愛相談(私のではない)。

正午には同僚のアニット、ステファニー、カーターと4人でタイ料理を食べに近所の Thaiphoon へ。インドのカースト制度の話、ランドのゴシップなどが話のネタ。午後は日本語を操るアダムに紹介され、アニットのオフィスで談笑、明日で退職するアナンに挨拶をする。その後は上記の中東政治専門の友人と落ち合いコーヒーを一杯。

今日は珍しく定時に研究所を出て帰宅。すぐさま着替えてホワイトハウスに向かってジョギング。ホワイトハウスをバックに興味深い写真が一枚撮れた。「爆弾と生きれば爆弾で死ぬ」が妥当な要約か。
月別アーカイブ