Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

経歴・学術論文等はこちら:https://researchmap.jp/katagirinoriyuki

ツイッターはこちら @norikatagiri1。

執筆、講演等の仕事の依頼は nori.katagiri@slu.edu までお願いします。

研究者の方々へ、Global Studies Quarterly (https://academic.oup.com/isagsq) への寄稿を是非ご考慮下さい。副編集長として編集作業に携わっております。お気軽にお問い合わせください。日本の多くの大学がそうであるように、JUSTICE (https://contents.nii.ac.jp/justice) 所属大学の方々はオープンアクセス出版料金が免除されます。

2008年08月

ボストン・チャールズ川の写真

604b8560.jpg
ただ今帰ってきました。今回の学会では自分の人生でとても大きな良い経験を得た。ディスカッサントの役割も自分の論文発表も上手く行った。努力も認められた。続きは明日のエントリーにて!

この写真は今回泊まったホテル沿いのチャールズ川。ボストン中心部を眺めて。

ボストンへ

行って来ます。学会頑張って来るぜぃ。ワシントンに戻るのは土曜深夜。

来週からは我が街フィラデルフィアに引っ越します。

テロ研究者としてデビューした月曜日

317ac409.jpg
月曜はランド研究所での発表会。待ちに待った、今夏の集大成の日である。

当日は朝から監督のデイビッドと最終打ち合わせをして発表の内容を確認。開始数十分ほど前からは一人になり、少しずつ緊張が高まり重圧を感じたため昼食も取らずに、精神統一しながら最後の準備を続ける。

2時、発表開始。私のトピックは「アルカイダ戦における戦略対話の役割」。対話というソフトな単語を使うが、発表の中身はテロリストを相手に構想され、情報戦、心理戦、特殊作戦をフルに織り交ぜた戦略・作戦論である。具体的には国内世論の操作方法、偽情報の作成と流布、カウンター偽情報、アルカイダ内発の誘発作戦など。もちろん、単に作戦案として刺激的なだけでなく、その現実性とのギャップから発表参加者(観客)からの反発は簡単に予想できる、非常に物議を醸す内容である。もちろん宣伝効果もあり、発表開始の数分前から会場を満席にした。

準備が功を奏したのか、発表はスムーズに進む。しかしそれも最初の30分のみ、少しずつランド特有の研究者からの介入が始まる。一度入ると止まらず、2人から3人、4人と意見が飛び交う。私が慣れている大学での発表会はより「紳士的であり」、ランドのとは大きく異なる。反対意見も幾つか出、私も応戦。自分の発表のコントロールを少し失いかけながらも、何とか最後まで終わらせる。想像していた形で終わらせる事はできなかったが、また途中で退場者も出たが、自分を信じて行った研究とその主張を最後まで勇気を持って守り抜いた。

終了後、次善のパフォーマンスに少し落胆しながら片付けていると、監督のデイビッドが喜びながら褒めてくれた。私にとっては初めての体験だったのだが、この「ディベート」形式の発表会が実はランドスタイルらしく、今回は上出来で誇りに思ってよいらしい。私にとっては全く意外な反応だったが、その後、他の参加者とも話しをしてみると気に入っていたらしく、サンタモニカ事務所で私の発表を聴いていた、全く知らない方々からも個人的に将来の研究方法についてのアドバイスを頂いた。タフな参加者が多かったが、こんな経験を乗り越えて強くなっていく自分を感じている。大変な試練だが、頑張ってみるもんだ。

また、特に嬉しかったのが、ここ数ヶ月の間お世話になった上級研究員の数名が顔を出してくれた事。月曜日と忙しい中、わざわざ時間を作って来てくれた。思い出のために記録をしておくと、監督のデイビッドはもちろん、9月からオックスフォードで博士号を始める、私の姉のような存在になったナディア、私のもう一人の姉のようになったべス、少数派の意見でも勇気を持って主張するカール、私とは明らかに考えを異にするが応援してくれたビル日本政治にも詳しいトム、鋭い反対意見を発するアンヘル、当日イラクから帰ったばかりのトッド、サンタモニカの事務所からは伝説の経済学者チャールズ・ウルフら数名、ピッツバーグからはロウウェルら数名。そして誰よりも大切な、今夏友人になった同僚のアニット、ステファニー、オリアナ、アーニャ、ネイサン、サラ、フランシスコ、アダム、ベン。他にも名前を知らない人が多く参加してくれた。

苦しさとプレッシャーを乗り越えて、また一段と進歩した。ランド研究所の軍事専門家と議論を交わし、部分的にも彼らを印象付ける事ができ、アメリカ最先端の軍事学も少しずつだがやっとつかめて来た。後はここからどう伸びるか。

-----
イメージ: http://www.causes-of-terrorism.net/images/taliban2PT.jpg

プレッシャー

金曜は朝から晩までフィラデルフィアで過ごし、秋からの生活の準備を整える。今後の進路をアドバイザーと少し相談し、その結果軽くだが少し落ち込む。どんなに頑張っていても上手く行かない事はある。博士論文が150?できていても、それが認められない場合もある。ただ教授陣からのサポートは厚く、私のキャリアを真剣に考えていてくれるのはよく分かる。理解すべきなのは私の方なのだろう。

金曜深夜、アムトラックの特急電車で帰宅。疲れ切って半日は余分に休みに充てる。月曜のプレゼンの準備は重い。私の発表を聴くのはランド研究所のワシントン事務所の軍事系研究員のグループだけでなく、カリフォルニアのサンタモニカとペンシルベニア州のピッツバーグの事務所の研究員も(同時ビデオで)含まれる。重圧を感じる。週末はボストンでの会議で、単に自分の論文を発表するだけでなく、今回はディスカッサントという、私にとっては初めてになる重要な役割を担うにあたり、大きなプレッシャーを感じる。

今までコンプスでも、博士論文要綱のディフェンスでも、数々の学会でも似たような状況で、似たようなプレッシャーを跳ね除けてきた。逆境も乗り越えてきた。辛い時も頑張ろう。

ダリル(指導教官)の論説記事@NYT

今朝本人からのメールで知らせを受けた。中東を中心とする石油問題に関して。

All the Oil We Need
By EUGENE GHOLZ and DARYL G. PRESS

MVP & Rookie of the Year の賞品は…。

35bfd8ef.jpg
水曜夜はランドのソフトボールチームの夏休みの打ち上げが開かれた。

最中に開かれたは今年の優秀選手の表彰式。秘密投票が行われた後、毎週の怪我のアピールも手伝ってか、MVP と Rookie of the Year の両方を見事受賞。副賞は何ぞやと思っていたらなんと野球のおもちゃセット! 価値はお金では測れません!

怪我してもうた…。

c85831f2.jpg
月曜午前中は仕事に燃え、午後6時、ソフトボール。今回はランドが属する上院議員リーグで8戦全勝を誇る最強チームと対戦。確かに相手は強かった。個人レベルが特に圧巻で、少なくとも2人はいなくてはゲームが成立しない女性プレイヤーでさえも高レベルの技術を披露していた。

結果は32対16の大敗を喫するも、ほぼ毎回得点を収めた我がチームは十分満足。私は2番打者で4打数4安打、4得点(写真参照)。ショートを守り(SS = Short Stop)、失敗したけどジーターもビックリのダイビングキャッチも披露し、自軍だけでなく相手チームからも歓声を浴びる。走塁でもスラインディングを成功させるがすぐさま左足、左ひじ、腹部から血を流し始める。恥ずかしながらも出血多量で一時ゲームを中断させてしまった。また、先日書いた左手首の捻挫(だろうか)も著しく悪化。痛みをこらえて守備に就く。

それでも試合後、恒例の相手チームとの握手会で、相手メンバーから "Nice fielding(いい守備だった)" との声がかかる。私の背番号は51、当たり前である。

は患部の出血と痛みが続いてよく眠れず。翌日の火曜日、職場で足を引きずって歩いていると、同僚数名が心配そうに駆けつけてきて、数人がかりで手当てを受ける。9時、上級研究員と1時間談笑。日本政治とも関係のある政治学者。私の将来の相談にも乗って頂く。ランドでも厚遇されているが、やはり私は教職に就きたいと再認識している今日この頃。夢は諦めず、夢は見るものではなくかなえるもの。

昇進

昇進。

泊まる予定のホテルのね。来週末学会で行くボストンで一泊する際に泊まるホテルをハイアットにしたのよ。今までは研究でも学会でも、シカゴでもロンドンでもパリでもサンフランシスコでも、一つ星どころか星一個もつかねんじゃねーかっていうレベル(マジ)の所で寝てたから今回は嬉しい。大学に感謝感謝ラブ

:一泊だけだからね、メッチャ満足したるわ。

今週後半の記録・ソフトボール・ポーランドのミサイル

37dd8550.jpg
水曜午後1時からプロジェクト・ミーティング。2時間ぶっ通しでアルカイダに関する情報交換。参加メンバーはランドにいるスター政治学者が勢ぞろいで、会議室に入った瞬間私は背筋に少し電気が走った。会議中、アメリカの対テロ政策で議論が勃発、私はカールの意見に賛成しているので徹底的に後押し。議論は平行線に終わるも今後の方向性はより鮮明に。

3時半、同僚のピーターの発表会は、ポーランド陸軍の近代化に関する研究の一環。ロシアからのミサイルの脅威に対してポーランドにパトリオット・ミサイル防衛システムを配備する際の費用便益問題について。ピーターは配備に反対の姿勢を持ち、我々ももちろん反対。しかし皮肉にも、翌日の新聞記事では米ポの間で合意がなされたとの事(例:ポーランドへの米ミサイル防衛配備計画、両国が大筋合意)。ここ数年の防衛庁でさえ日本の配備に諦めを見せているのに、わざわざ東欧でよくやるよ…。

6時、ソフトボール。半分以上のメンバーが大男で構成される米陸軍工兵隊のチームを相手に23対9の大敗を喫す。ただ、相手チームの女性メンバー不足(少なくとも3人の女性がプレーしなくてはならない)で正式には我々の勝利。私は今回は不調に苦しみ、3打数2安打、得点1、守ったショートでエラーを多発させ少し落ち込む。守備の間に左手首をひねり前回と同じく負傷。珍しく凹んで帰宅。

木曜正午にコーネル大で政治学の博士を取ったばかりの友人アンドリューと再会。今年からワシントンのカトリック大で教鞭を取る彼に卒業のお祝いを兼ねてご馳走した。ユニオン駅近くのレストラン Capital City Brewing Company で昼食を取り談笑。お互いの今後の研究の方向性の情報交換に近況のキャッチアップ。

金曜正午より同僚のダフナのプレゼン。リビアの大量破壊兵器撤廃の政策の背景を非常にエレガントに説明した。5時半、同僚が集まって先週と同じ Chevy's にてお疲れ会。テキーラだマルガリータだで大合唱、大宴会、大爆笑。1時間後の今、酔いで頭が回ったまま一人職場に戻り仕事再開。泣く アルコールのお陰で当然博論もよく進む。

-----
イメージ:http://www.boeing.com/defense-space/space/pac3/images/pac-3_DVD-1073-3_300x375.jpg

ダイナマイト

私のアメリカ人の知り合いに、会話の途中で相槌として「ダイナマイト!」と叫ぶ奴がいる。「凄ぇー!」って意味なんだろうが、こう繰り返す奴は正直あまりいない。こちらがギャグを言うと必ず「ダイナマイト」と返す。面白いギャグでも「ダイナマイト」、つまらんネタでも「ダイナマイト」。

空港では絶対一緒にいたくない奴だな。逮捕されてまうよ。

面白かった?


-----
夜10時過ぎ、職場での仕事は終わり。やっと帰れるぜー。
月別アーカイブ