Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2008年10月

大統領選挙のまとめ

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来週火曜の大統領選挙に関する最近のエントリーをまとめてみた。

1.ペン大学生のオバマ支持率は81%!(10月28日)

特筆事項はなし。特に驚くべき事でもなし。核戦略の専門用語を使うと overkill。

2.大統領選挙、コンタクト、オバマの組閣内容(26日)

今後我々が考えるべき事はどちらが勝つかという問題ではなく、オバマ政権発足時のアメリカ外交政策、対日政策の動向、そして組閣メンバーであると示唆。日本経済はワシントンからのより強い圧力に準備をすべし。日本安保政策はより独立の方向へ向かう事を祈る。これからがチャンスである。

3.パウエル将軍がオバマを承認!(20日)

特に追い風にはならなかった模様だが心理的には重要。

4.決まりつつある大統領選挙(19日)

この日以前のエントリーを載せています。一時はマケイン有利との見方も載せました。

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補足すると、昨夜の野球ワールドシリーズ開始直前に流れたオバマ・キャンペーンのCMについての記事は、読売から。

オバマ氏がNBCなど3局で大型CM、資金力見せつける
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20081030-OYT1T00322.htm

直接CMを観たい方はここから。良かったと思うよ。

http://www.youtube.com/watch?v=2fsLWa9TO9g&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=rSXj18cW1gk&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=Bm1bVZ1DJ9I&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=6so_y4Udxc0

ちなみにこの日本のCMは問題である。人種問題に関して無知な人間による非常に低俗な内容。

http://www.youtube.com/watch?v=hInLo10I72w

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イメージ:https://secure.progressohio.org/page/-/Images/obama_lgbt_ad_2.jpg

フィリーズの優勝と涙…

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前日は午前2時就寝、今朝は6時に起床。紅茶をがぶ飲みして支度して家を出る事7時過ぎ。大学到着後は図書館にて論文を少し進める。9時の授業では先週に続いて戦争ゲーム。今回はアルカイダ・アメリカ・国連の3つのチームに分けて戦略を構築させ生徒の意見を衝突させた。

11時、サウナ。正午、学部に戻って後輩に囲まれ談笑しながら昼食。オフィスで後輩のティムとクリスとくつろいでいると学部長のエイブリーが現れ空母の話に。日本の海上自衛隊の戦闘能力の話になり最後はひゅうが型護衛艦の話で締めくくり。

2時、国際関係学の講義に参加。その後学部に戻って後輩らと談笑。4時半過ぎ、朝日新聞から派遣されている日本人の方にお時間を頂いて喫茶店で談笑。5時半、ペン大の病院でインフルエンザの予防注射。

午後10時過ぎ、我が街フィラデルフィアの野球チームのフィリーズがワールドシリーズを見事に制覇。愛すべき街の快挙に喜ぶのもつかの間、私の住んでいる郊外でも優勝に喜ぶ野球ファンが外に飛び出し路上パーティが勃発(ただ今の気温3℃)。クラクションを大音響で流す車とその騒音に、28年ぶりの優勝という事で私も理解を示しつつもこれで少し眠れなくなってしまった。悲しい めっさ疲れているのに…。

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イメージ:http://mointhe9th.mlblogs.com/my_weblog/images/phillies.jpg

核兵器廃絶の論文@Foreign Affairs

Foreign Affairs の最新号から反核派が好みそうな論文。核兵器の全面廃絶へ向けての運動を唱え、その第一歩としてアメリカが先頭に立って廃絶を進めるべきとの主張。

The Logic of Zero
Toward a World Without Nuclear Weapons

あまりに極端な政策提言であるためよく Foreign Affairs のような高級雑誌に掲載されたと関心する。少なくとも著者の一人であるダールダーはオバマ・キャンペーンに外交面でアドバイスしているが、オバマ自身がこの政策を推し進めない限りあまり現実性のある価値は見えてこない。それでなくても大統領に就任する1月には経済やテロ、イラクなど核廃絶よりも重要な問題が山積みだろうに。

ペン大学生のオバマ支持率は81%!

今日の大学新聞によると、我が大学の学部生のオバマ支持率は81%まで達するという。

Poll: 81 percent of Penn students prefer Obama

このブログには何度も書いているが、極端に南部の大学もしくは宗教色の強い大学を除く大多数のアメリカの高等教育機関がリベラル思想に傾く中、我が大学はその中でも特に顕著に進歩主義を謳歌している。進歩(対:保守)という言葉が意味するとおり、学問においてそれは一般的に批判的であるのと同時に建設的な考えを尊重し、学問の進歩は単純な競争の論理まで短縮する事ができる。

私も授業の中でよく、来週の大統領選挙をネタに出しながら生徒に国際関係学の質問をする。オバマが当選する場合、アメリカの現在の世界覇権はどう変化するのか。マケインが当選する場合、近い将来アメリカと国連の関係にどのような影響があるのか、など興味深い質問事項は多い。

授業での議論が進行するにつれ、保守派のマケインを支持する生徒は数的に押され気味になるが、そんな不利な環境の中でも必死に反論する彼ら彼女らの態度を見ていると同時に応援したくもなり、私も時には devil's advocate よろしく保守派のふりをして議論に参戦する事もある。

私の授業では政治思想や宗教観をほぼ完全に切り離し生徒を採点しており、またそのことを生徒にも一番最初の授業で伝えてもある。私が過去担当した生徒の中でコテコテの保守派で完全なAを取った生徒は当然数的に少なくなるが、同時にそんな頑張った生徒を持ち彼らの努力を reward し続けた自分をある意味誇りに思うこともあるのは否定できない。

怒!

普段はニコニコ・ニヤニヤしながら歩いている私でも、たまには怒る。本気じゃないけどね。

.冬の帰国時の飛行機の切符、1700?もしよった。じゃあスターアライアンスのマイレージ使ったろかと思ったら、何とサーチャージの700?は別料金と来た。もうチケット買っちまったけど、誰か早くほんとにどこでもドア作ってくれ…。

.バスケで腰痛。思い当たる節も特にないのに。高校生の時に味わったぎっくり腰に近い感じ。ありえん。週3のバスケはしばらく休んでサウナにスイッチ。

.寒い。この時期は一年の中でも最も美しい時期で好きなのだが、自宅にいる時はベッド以外で仕事をするのが難しくなってきた。避寒先は…。

大統領選挙、コンタクト、オバマの組閣内容

金曜はニューヨークタイムズ紙にオバマ支持の社説がようやく掲載され、民主党の大統領選挙勝利の風向きがさらに強まった。今日現在ではフロリダやノースカロライナ州でさえ民主党寄りなのである(参照:http://electoral-vote.com/)。ここまで差が広まるとは思っていなかった。

ただ同時に、アメリカ政治を専門にしている民主党寄りの同僚の大学院生数人に話を聞いても、返ってくる返事は注意を喚起するものである。その通り、「油断」できない理由はいくつもあり、例えば正確な予想の不可能さ、選挙日当日の投票率(turnout)や天気、気温などの要素、そして投票者の抑圧(voter suppression)や偽情報のでっちあげ(disinformation)など共和党の細かい選挙戦術の有無と効果などが挙げられる。

私個人は日に日に楽観的になっているが、実際にはそれが現実となる11月4日までは何が起こるかわからないのである。

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このブログではここ最近大統領選挙のネタが多いせいか、このブログの読者で、選挙に関わる日本の方々からのコンタクトが増えた。仕事を依頼される場合もあり嬉しいのだが、私の職は研究者であり、専門は国際関係学であり選挙政治やアメリカ政治でもないためほとんどの場合は残念ながらお受けできない。

同時に私の選挙に対する関心と専門性に限りがあるのは明らかで、ここで書かれていることをそのまま鵜呑みにすることは著者本人がお勧めしないという事も理解して頂きたい。

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一方で、私がここ数日興味ある問題はオバマ政権の組閣内容である。最も重要な国務、国防、財務などのポストへの候補者の数は多く同時に流動的なため、現時点での想像が非常に難しい。国務長官や国防長官で名が挙がっているのは、

国務:Bill Richardson, Anthony Lake, Richard Holbrooke, Susan Rice(低確率), そして信じがたいが2004年時の大統領候補であった John Kerry。

国防:Robert Gates, Richard Danzig, Sam Nunn, Chuck Hagel らが挙げれている。

グラマン社のポスター

トマス・シェリングの威圧論が海上にお目見え。
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war game

その名の通り戦争ゲーム。

今日の授業では普段のディスカッションにスパイスを加える形で内戦ゲームを展開。クラスを3つのグループ(政府・政府の転覆を望む反乱軍・内戦の拡大化を阻止する国連軍)に分けそれぞれに特別な任務を与えた。トピックももちろん「どうしたら内戦を防げるか」などという陳腐な物ではなく、私の独断で「どうしたら政府を転覆できるか」「どうしたら反乱軍を壊滅できるか」などである。各々のグループの政治目的を達成するための計画、そう戦略の比較のエキササイズである。

普段の私の授業は非常に構造化されているのだが(準備通りに進めること)、今回はシナリオ作りをほぼ生徒全員に与え、属するグループの目的を完遂するための戦略作りをさせてみた結果、予想以上に想像力豊かで、知的な刺激に溢れる素晴らしい議論ができた。どのグループが一つでも問題発言をすると対するグループの反論の猛攻が始まる。今日出た、興味深い意見を並べてみると、

1.国連の介入などあてにならず、特に必要でもない(社会主義系反乱軍の代表意見)。

2.政府に加担する人間は殺害する(基本的な文民に対するテロ行為)。

3.内戦加担者(反乱軍と政府軍)の要請なくとも国連軍は国家主権を無視して介入すべき。

など。

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ニヤリ。

今冬の帰国予定

12月下旬から3週間ほど東京におりますわ。

パウエル将軍がオバマを承認!

ブッシュ政権で国務長官を務めたコリン・パウエル将軍が今朝、民主党大統領候補のオバマをついに承認。ほぼ決まりかけていた民主党の勝利へのドライブもこれでさらに加速するだろう。

パウエルは数多い米軍の将軍の中でも私がその総合的な判断力を信頼する数少ない人間である。この下のインタビューはほんの数時間前に撮られたもので、ただ単に今日のアメリカの政治経済状態をまとめてあるだけでなく、パウエル本人による魂の篭った非常に良いスピーチでもある。

Colin Powell Endorses Barack Obama for President
http://www.youtube.com/watch?v=efv3Vr8T9MA
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