Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

2009年02月

Tokyo Dance Trooper

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ダホメアン戦争の章を大急ぎで執筆中。来週から始まる10日間の春休み連休で、採点と並行させてほとんど終わらせる予定。4月上旬には学部内での研究論文発表会があり、そこで博士論文を同僚の前で博士論文を発表する予定ため、それまでに大いに進めたい。

先日書いたようにダホメアン戦争の資料は少なく、特にアフリカの資料を用いてアフリカの視点から軍事問題を分析するのは大変な作業である。一方で、フランスの1890年代の植民地政策に関する資料は豊富にあり、残念ながら(現時点では)仏語の資料を避けて英語のみの文献に当たっているのだが、その中で特に頼っているのが以下の数冊。読破。

1. Raymond F. Betts, Assimilation and Association in French Colonial Theory, 1890-1914

2. Charles John Balesi, From Adversaries to Comrades-in-Arms: West Africans and the French Military, 1885-1918

3. Stuart Michael Persell, The French Colonial Lobby, 1889-1938




必見↓
Tokyo Dance Trooper in Shibuya
http://www.youtube.com/watch?v=t7X9MQi7uOU&feature=related

ワシントンでの新しい日系シンクタンク

先日載っていた記事。ワシントンに「日米研究インスティテュート」という名の政策研究機関が設立されるとの事。今後は文化、財政、言語など色々な問題に直面するだろうが、私はこの設立に大賛成である。

東大など5大学、米に政策研究機関…外交・経済などテーマ

話を聞くと様々な問題で少し発足が滞っていたようだが、日本の大学・研究業界にとっては素晴らしい進歩である。国籍の壁を越えて国際交流のできる能力の高い日本人若手研究者が世界で羽ばたく稀な機会であり、そんな彼らには独自の研究テーマを持ち、ワシントンの小さな日本人コミュニティのに出、自己の能力を最大限に発揮できる環境の中で大いに頑張って欲しい。研究内容はもちろん安保・軍事面の進歩に期待をする一方で、ワシントンでしかできない、特に必ずしも日本・日米関係と直結しない内容の課題を、様々な手法を用いて多角的に研究して欲しい。

今年の受験競争率は…

我が政治学部の合格発表が先週あった。今年の競争率はなんと9倍! 私の知る限りで10倍を切るのは今回が初めて。私の入った2003年度は倍近かったはず。一般的に不況の年は受験者の数が増えるため競争率も…、と思いがちだが、うちの学部はフレンドリーだった模様。合格した人おめでとう!

残念ながら日本人の合格者は今年も無し。一人合格に近かった人がいたようで、話を聞く限りは立派な経歴を持っていたようだ。いずれにせよ第一志望の大学に合格した事を祈る。

同時に、我が学部はある程度名がある一方、他の大学と比べて競争率が低い傾向にあるため、日本人にとっては今後も受験校としては真剣に考慮されるべき大学であると思う。少なくとも5年間の奨学金、保険費用、授業料全額免除の他、2年間の夏休み間の給料もしっかり出るためチャレンジする価値は十分あると思う。

ただ一方で悲しい事に、私は来年度で卒業する見込みのためこれで私がいる間に直に邦人の後輩を迎え入れる事ができなくなってしまった。

いずれは後輩に会える日を夢見て…。

日本外交のトンデモ話:ソマリア

来週から数日間ヨーロッパにて短期の休暇。実質は場所を移動させての仕事に変わりはないんだけどね。そして先ほど今夏の帰国用のチケットも購入。日本も楽しみにしてまっせー。

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ところで、昨日以下の記事を読んで少し驚いた。

韓国、海自に給油を打診 ソマリア沖で 日本は拒否

ソマリア沖の海賊対策に海軍艦船派遣を計画している韓国が、日本政府に海上自衛隊から給油を受けられないか打診していたことが分かった。日本側はインド洋での補給活動はテロ対策に限定されているとして拒否。防衛省内には3月初めに国会に提出する海賊対策新法に外国艦船への給油を盛り込む案もあるが、首相官邸は消極的で、実現性は低いとみられる。

11日に行われた日韓外相会談では海賊対策の協力で合意したが、海自の活動の制約もあって、実際に何ができるかは手探り状態が続いている。

韓国政府関係者などによると、韓国側は外相会談前の実務協議で、海軍駆逐艦「文武大王」を近くソマリア周辺に派遣する計画を説明。「最も助かるのは給油支援だ」と日本側に打診した。国際テロ組織「アルカイダ」がソマリアで活動していることから、補給支援特措法を適用できるのでは、との期待もあった。

しかし、日本側は、特措法での給油対象はテロ対策の海上阻止活動に参加している艦船に限定されているため、不可能だと説明した。

防衛省は一方で、各国艦船の給油の需要が多いとして、海賊対策新法に、派遣される海自の任務に給油を加えることを検討。政府関係者によると、13日の官房長官、外相、防衛相の会合で浜田防衛相が提案したが、「海賊対策と直接関係ない」「審議が混乱する」などの理由で受け入れられなかった。

韓国国防省によれば、ソマリア沖で護衛が必要な韓国の関係船舶は年間150?160隻。韓国側が韓国人乗組員のいる日本の関係船舶を護衛する代わりに、海自に韓国船の護衛を期待する声もある。しかし、海自が派遣する護衛艦は2隻で、保護対象に想定している日本関係船舶は少なくとも年間2300隻以上。新法が成立して日本と無関係の外国商船を保護できるようになっても、日本船の護衛で手いっぱいなのが実情だ。

(牧野愛博=ソウル、石松恒)

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情けない限りである。給油の打診に対する日本側の拒否は当然の対応である一方、東アジアを代表する軍事力を誇る日本がこの種のリクエストをされる背景には、その政治意図の欠陥が韓国を含む東アジア諸国に浮き彫りになっている事がないだろうか。そもそも私に言わせれば、この派遣すら特に必要な行動だとも思えない。

いくつか考慮できる点を挙げると、

1.韓国を含む他国へ日本の海自派遣の意図が正確に伝わっていない。伝わっていない分、誤解を招く危険があるのと同時に、その曖昧さが外交上弱みとして使われる危険性をはらむ。

2.ソマリア沖での海賊対策は、実質的には(インド洋などで展開された)テロ対策と限りなく近く、逆に分別する方が難しい。今後この点を踏まえた韓国に再度リクエストされた場合、説得力のある説明が日本側に用意されているか不明。

3.最も大切な日本の政治力。今回の事件は東アフリカ地域における日本の外交・政治力を一時的に定義する効果があり、今後は他国によるより協力な外交圧力がかかる事が予想される。

今夏の予定

今夏は5月半ばから1ヵ月半ほど東京にいる予定です。帰国の時までには博士論文いい感じに進んでいると思う。
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