高3の冬。クラスメートが皆大学受験をしている時、私はバイトで貯めた資金を使って一人でスコットランドを旅していた。時は2月、とある日曜日。場所は人口約1万人の港町、ストランラー。グラスゴーからの長距離バスを経て、フェリーに乗ってアイルランドに向かっていた。
夕方発のフェリーは数時間かけてノース海峡を渡る。目的地のベルファストに着いたのは夜の10時過ぎ。これから予め調べておいたユースホステルに向かわなければならないのだが、地図を持っていない。
ベルファストの港に着くと乗客は次々と闇夜に消え、中心街に向かって歩く人間は私だけになってしまった。15分ほど、早足で光が固まっている方向に歩き続ける。ふと、市内バスのターミナルらしき場所に着き、バスの運転手にホステルの方向を聞いてみる。中年の男性がゲーリック訛りの強い英語で、言葉じゃ分かりにくいだろうからと私のために、なんとその日は最終で終えた、あの赤いダブルデッカーバスを出し、私を乗せてホステルまで連れて行ってくれた。優しさに心を打たれる18歳。
そしてそこには当時の政情に全く無知の私がいた。
それもそのはず、北アイルランドの独立を目指すアイルランド共和軍はその数日前に停戦協定を破棄し、ベルファストは事実上テロ攻撃が行われている真っ最中だった。そしてその4ヵ月後、イギリスはマンチェスターで大規模のテロ攻撃が仕掛けられていた。
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そりゃ大学入ったら、政治系統の勉強しだしますがな。
夕方発のフェリーは数時間かけてノース海峡を渡る。目的地のベルファストに着いたのは夜の10時過ぎ。これから予め調べておいたユースホステルに向かわなければならないのだが、地図を持っていない。
ベルファストの港に着くと乗客は次々と闇夜に消え、中心街に向かって歩く人間は私だけになってしまった。15分ほど、早足で光が固まっている方向に歩き続ける。ふと、市内バスのターミナルらしき場所に着き、バスの運転手にホステルの方向を聞いてみる。中年の男性がゲーリック訛りの強い英語で、言葉じゃ分かりにくいだろうからと私のために、なんとその日は最終で終えた、あの赤いダブルデッカーバスを出し、私を乗せてホステルまで連れて行ってくれた。優しさに心を打たれる18歳。
そしてそこには当時の政情に全く無知の私がいた。
それもそのはず、北アイルランドの独立を目指すアイルランド共和軍はその数日前に停戦協定を破棄し、ベルファストは事実上テロ攻撃が行われている真っ最中だった。そしてその4ヵ月後、イギリスはマンチェスターで大規模のテロ攻撃が仕掛けられていた。
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そりゃ大学入ったら、政治系統の勉強しだしますがな。