Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

経歴・学術論文等はこちら:https://researchmap.jp/katagirinoriyuki

ツイッターはこちら @norikatagiri1。

執筆、講演等の仕事の依頼は nori.katagiri@slu.edu までお願いします。

研究者の方々へ、Global Studies Quarterly (https://academic.oup.com/isagsq) への寄稿を是非ご考慮下さい。副編集長として編集作業に携わっております。お気軽にお問い合わせください。日本の多くの大学がそうであるように、JUSTICE (https://contents.nii.ac.jp/justice) 所属大学の方々はオープンアクセス出版料金が免除されます。

2010年01月

過激派のラーニング

グローバル化を止めない、アフガニスタンやパキスタンで暗躍するタリバン。今日入った興味深い報告では、ドイツ語を話すタリバン勢力が、イエメンに存在する「兄弟」や「姉妹」との共闘を謡い、様々な形でのサポートを広く呼びかけている。ドイツ語があるなら次はどの言語だろうか。これはもちろん、テロ問題を解決する上で英語での対処の限界を表し、テロ問題への対応の国際的な解決の重要性、そしてはやり多言語を同時に使い計画を練ることの重要性を強調する役割を果たしている。

一方で、イスラム系過激派も、多くを学び国際社会からの反応に対してできるだけ早く順応しようとしている。別の報告ではこんなことが書かれている。アル・ファルージャと呼ばれるオンライン・フォーラムでは、アメリカのFBIなどの警察・諜報機関による反乱軍内部の貫通が増え始めてきたことに対し、いわゆる外国からのスパイと本当の過激派の区別をどうつけるべきか、議論が高まっている。ここ数ヶ月の間、「聖戦」を戦うとの目的でイエメンに向かう若者が多いらしく、そこで本物の戦闘員と外部の人間を分ける必要が大きくなっているのが背景のようである。

先日ここでも書いたトリプル・エージェントの問題はアメリカやヨルダン側だけの事ではない。国際的な活動を続ける、一般的な「テロリスト」に対しても大きな影響を与えている。

来月の学会の予定は…。

このブログでも数回登場している悪友のジャン・マルク。月曜午後、突然スイスから電話をしてきて、近況のネタで盛り上がる。来月の国際関係学会がニューオーリンズで開かれるので、合流する事を約束。去年この学会がニューヨークで開かれた時は真冬の中オールで踊った。その前の年は確かサンフランシスコ

今日はその後、先日指導教官のエイブリーに指摘されていた問題点を直し、博士論文の最終集を再提出。口答試験までついにあと2週間。夢にまで見たドクターの称号がもうすぐ私の元に!

今日の凹み具合とソマリア・イエメン

金曜日の午後、今、結構凹んでます。人生なかなか上手くいかないね。今年に入ってもう結構挫折味わってるよ。早く春が来ないかね。

国際安保で最近注目しているのが、イエメン、ソマリア、そして両国の強化しつつある関係。イエメンは先日書いたテロリストの訓練基地が置いてある場所で、政府の力が弱く、法的秩序もままならない、いわゆる政治暴力の温床国家。

一方でソマリアでは国家の崩壊が叫ばれてから早20年。北部のソマリランドやプントランドでは政治経済的な安定が保たれている一方、南部地域とは格差が激しい。その格差のおかげで北部では政治的な独立運動さえ起こっている。国家自体が事実上の分裂状態に陥っている。

先日ここに書いた、もうすぐ出版されるソマリアの論文の中で書いたことは、ソマリア南部、特に首都のモガディシュを中心とする都会地域では紛争が激しく、時間と共に激化している。暗躍する反乱軍部隊の戦闘能力は少しずつだが着実に向上し、一般市民を巻き込んだ多数の犠牲者を増やしているだけでなく、ソマリアをコントロールしていると思われている政治母体の存続さえ危ぶませている。

その二つの国家の危険性をさらに増幅させる要因はその両国の近付きつつある関係にあり、特にアルカイダを含むテロ・グループの活躍が最近目立ち始めている。テロリストの訓練、軍事資金の調達、ロンダリング、そして分配、武器の備蓄や交換など、現在では主に東アフリカ地域でのみの複雑な政治問題が、少しずつ地域の枠組みで、影響力を持ち始めている。

過去数ヶ月の間、特に日本のメディアで指摘されてきた海賊の問題も、この地域である。日本は派兵をすることにより国際懸念の一環に協力したとの姿勢を取っているが、一つ注目して頂きたいことがある。ソマリア含む「アフリカの角」と呼ばれる地域での問題の根本は、実は海上ではなくあ陸上にある一方、派兵を通した軍事活動のみにあるのではなく、国際対話や政策決定の重要な機関を通しての政治的努力にあると思う。

私が書いた論文では、それを見逃しつつある国際社会に警笛を鳴らし、ソマリアの反乱軍がいかにしてより強い戦闘分子に変身しつつあるのか、という問題に焦点を定めている。

論文・書評出版のお知らせ

博士論文の口答試験まで残りちょうど3週間。準備は良好です。

この週末は、来月ニューオーリンズで開かれる国際関係学会で発表する論文を進めた。この論文は Suicidal Armies との名で発表予定で、去年6月に防衛大学でのゼミでその一部分を使わせて頂いたもの。あの時の大学院生からのコメントにはとても助けられた(防衛大での講義から学んだ事)。そんな機会を下さった高校の先輩には深く感謝。

論文や書評がもうすぐ幾つか出版されます。興味のある方へ。

"Containing the Somali Insurgency: Learning from British Experiences in Somaliland," African Security Review, Vol. 19, No. 1 (2010).

Book review on David Ucko, The New Counterinsurgency Era: Transforming the U.S. Military for Modern Wars (Washington, D.C.: Georgetown University Press, 2009), Terrorism and Political Violence, Vol. 22, No. 2 (2010).

Book review on Audrey Kurth Cronin, How Terrorism Ends: Understanding the Decline and Demise of Terrorist Campaigns (Princeton: Princeton University Press, 2009), forthcoming in Terrorism and Political Violence.

ヨルダンのトリプル・エージェント

今週末、ワシントンポストでも特集されていた、先月アフガニスタンで自爆してCIA職員7人を殺害したトリプル・エージェントのバラウィ。珍しく一般紙から諜報活動について多く学べた(In Afghanistan attack, CIA fell victim to series of miscalculations about informant)。普段なら公開されることのない諜報職員の情報も別のルートから流出している。

ダブル・エージェントでもそうなのに、ヨルダン、アメリカ、アルカイダの3つのエージェントをこなすのは大変なことである。そして短期間のうちにCIAの信頼を勝ち取り内部に侵入するのは珍しい。CIAの苦悩が現実的に書かれているし、今後のスパイ活動に大きな影響を与えるだろう。

ただもっと知りたいのは、バラウィとアフガニスタン状況の関連の詳細。タリバン、ハカニ・グループ、アルカイダなどとどう交信し自爆の計画を立てていたのか。真実が表に出る事があるのなら時間がかかるだろう。

バニラ・アイスw

水曜昼、今年初の学部の生徒会が開かれた。いつも通りの正午に開かれる会議なのだが、今回しみじみ思ったのが、月日が経つにつれて生徒会も変遷を遂げてきたっていうこと。

私が入学したてのころは、会議は厳密なルールに沿って進行していた。当時はプログラム自体が小さかったため、参加者数も10人ほどと少なかった。生徒会長が2人、アジェンダを完全に仕切り、発言には挙手が必ず求められ、言葉遣いも皆丁寧だった。

そんな生徒会もここ数年で大きく変わった。今は毎回20人ほどの院生が集まり、議事はリラックス・モードで進められ、挙手の必要もなく、ある意味おしゃべりの延長である。

生徒会長の権威が弱まったのは、私がやってた時くらいからかね。

-----
vanilla-ice1日本とアメリカのユーモアには大きな違いが幾つかある。

その中の一つを挙げると、日本のダウンタウンの松っちゃんらが得意とする、「類似」を元にするジョーク。こないだも東京で飲んでいたとき、その店のウェイターがやたら竹之内豊に似ていたので、それを指摘しながら彼に絡んで楽しんでいた。

その種のギャグは日本では爆発的に受けるが、一般的にアメリカでは通用しない。

生徒会の最中、後輩のムラドが髪の毛を切って参加していた。その新しい髪形、ムラド本人にはメッチャ似合っていたのだが、同時に歌手のバニラ・アイス(写真右)に似ていたので、「おめー、バニラ・アイスやん!」って、会議の真っ最中に言ったったらみんな爆笑していた。調子に乗って、あの名曲 Ice Ice Baby のサビの部分をハモってみると、みんな大爆笑。

Vanilla Ice - Ice Ice Baby
http://www.youtube.com/watch?v=rog8ou-ZepE

珍しい事も起きるもんだね。

笑顔の源w

79867298Bこないだ可愛い可愛い姪と遊んでいて、

「ラーメン つけ麺 俺イケメン」

って言いながら笑ってあげたら、メッチャ喜んでいた。その笑顔にたくさんのエネルギーをもらったのりっぺです。

注:本文と写真は関係ございませんw。

大学のアルバム

久しぶりに大学に戻ってきた。金曜日は朝から雪。

大学のメイン通り。地下鉄を降り、ここを通れば学部に着く。
IMG_0224

大学の学部長の建物。前の銅像は初代学長のベン・フランクリン。
IMG_0225

フィリー名物の Love。これはうちの大学バージョン。
IMG_0226

学部のビルにて。ここは大学院生用のラウンジ。毎月院生会議がここで開かれるほか、毎日生徒で溢れる楽しい場所。
IMG_0227

大切なこと

木曜、朝早く起きて朝食を取り、電車で一路故郷の越谷へ。墓参りを済ませ、自分が卒業した小学校の周りを一人で歩く。ここに来ると楽しい思い出が回想され、楽しかった記憶が甦り、安心する。先日書いたとおり、私がどこにいようが、ここが私の故郷なのである。

昼食は錦糸町で友人と好物のハンバーグ。忙しいスケジュールの中、時間を作ってくれて嬉しかったし、予め色々調べてくれた。話の内容は少し悲しい部分もあったが後半は楽しい会話ができて楽しかったし、料理も美味しかった。また、錦糸町であんな場所があったなんてもっと早く知っておくべきだった。

午後、銀行で用を済ませた後、自転車で浅草を回り、近くにある、ある事で有名な神社に寄った。自分ひとりの力ではあまりにも弱すぎる、大切な事をお願いしたかった。現実の辛さと、自分の努力の限界を悟り、そこで生まれて初めて、神様に祈った。この祈りは届かないかも知れない。あとでまた悲しくなるのかもしれない。ただ何が起きようが、今後の私の運命、全てをしっかりと、正直に受け止めたいとは思う。

そして最後になるが、もう一つ考えていた、とても大切なこと。私は今まで、自分の留学の決意を後悔したことは一度もなかった。高校を卒業してから、自分の幸せを掴むために、今までずっとずっと頑張って努力してきた。ただここ数日の間に痛感したことは、幸せを掴むためにしてきた今までの努力が実はその幸せを遠ざけてしまっていたかも知れない事。今まで自分が正しいと思い、苦悩も経験しそれにも負けずに耐え続けていた事が実は、自分の人生の大切な部分で、思ってもいなかった形で破壊的な効果があったのかもしれない。自分が今まで幸せの源だと信じていたことに、まさか不幸を呼び起こす力があったなんて、あまりに皮肉で、あまりに非合理で、あまりに悲しい。

ここの読者の方々はご存知の通り、このブログの主旨は努力を続ける限り夢に必ず近づけると、不可能と思われることさえも可能にできる、肯定的で、野心的で、そして楽観的なものだった。私は今でも、そして今後もその可能性を信じ、努力を続けたい。今は受け入れるのが難しい、大変な事実でさえも、近いうちにできる限り、将来の自分の楽しみ、そして幸せの基礎に変えていきたいと思う。

良き人々との再会数々

日曜日は午後4時ごろから、ここ数年の間お世話になっている新聞記者の方のお誘いを受け、浅草へ。2年以上お会いしていなかった方なので楽しみにしていた。前回ご一緒された経済学者の方とも再会し、3人で有名な駒形どぜうに赴き、慣れない畳に座って格闘しながら、数時間の間ドジョウと鯨を堪能。その後は3人で浅草を歩き回り、小さな屋外居酒屋で乾杯。3軒目は浅草寺近くのうなぎやにて乾杯。午後10時ごろ帰宅。

月曜、午前中は散髪、正午から友人と表参道で落ち合い昼食。久しぶりに会えて楽しい時間を過ごせた。また、表参道のあの華やかさに驚きながら、シッブイ雰囲気出しながらも実はミーハー丸出しで表参道ヒルズなどを一人で探索。その後は近くのスタバで数時間仕事。抹茶のフラプチーノを初めて飲んだが予想以上にいけた。

午後5時、丸の内に赴き、コロンビア大学院時代の同窓会。前からの友人数名がイタリアンのパリアッチョに集結。卒業して早7年、参加者全員の近況から始まり個々の価値観の話など、今までとはさらに奥深い、楽しい会話が数時間続いた。大切な時間を過ごすことができて、そしてそんな時間を共有できる友人がいて、本当に嬉しく思う。終電に間に合い、帰宅は午前1時過ぎ。
月別アーカイブ