Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

2010年01月

過激派のラーニング

グローバル化を止めない、アフガニスタンやパキスタンで暗躍するタリバン。今日入った興味深い報告では、ドイツ語を話すタリバン勢力が、イエメンに存在する「兄弟」や「姉妹」との共闘を謡い、様々な形でのサポートを広く呼びかけている。ドイツ語があるなら次はどの言語だろうか。これはもちろん、テロ問題を解決する上で英語での対処の限界を表し、テロ問題への対応の国際的な解決の重要性、そしてはやり多言語を同時に使い計画を練ることの重要性を強調する役割を果たしている。

一方で、イスラム系過激派も、多くを学び国際社会からの反応に対してできるだけ早く順応しようとしている。別の報告ではこんなことが書かれている。アル・ファルージャと呼ばれるオンライン・フォーラムでは、アメリカのFBIなどの警察・諜報機関による反乱軍内部の貫通が増え始めてきたことに対し、いわゆる外国からのスパイと本当の過激派の区別をどうつけるべきか、議論が高まっている。ここ数ヶ月の間、「聖戦」を戦うとの目的でイエメンに向かう若者が多いらしく、そこで本物の戦闘員と外部の人間を分ける必要が大きくなっているのが背景のようである。

先日ここでも書いたトリプル・エージェントの問題はアメリカやヨルダン側だけの事ではない。国際的な活動を続ける、一般的な「テロリスト」に対しても大きな影響を与えている。

来月の学会の予定は…。

このブログでも数回登場している悪友のジャン・マルク。月曜午後、突然スイスから電話をしてきて、近況のネタで盛り上がる。来月の国際関係学会がニューオーリンズで開かれるので、合流する事を約束。去年この学会がニューヨークで開かれた時は真冬の中オールで踊った。その前の年は確かサンフランシスコ

今日はその後、先日指導教官のエイブリーに指摘されていた問題点を直し、博士論文の最終集を再提出。口答試験までついにあと2週間。夢にまで見たドクターの称号がもうすぐ私の元に!

今日の凹み具合とソマリア・イエメン

金曜日の午後、今、結構凹んでます。人生なかなか上手くいかないね。今年に入ってもう結構挫折味わってるよ。早く春が来ないかね。

国際安保で最近注目しているのが、イエメン、ソマリア、そして両国の強化しつつある関係。イエメンは先日書いたテロリストの訓練基地が置いてある場所で、政府の力が弱く、法的秩序もままならない、いわゆる政治暴力の温床国家。

一方でソマリアでは国家の崩壊が叫ばれてから早20年。北部のソマリランドやプントランドでは政治経済的な安定が保たれている一方、南部地域とは格差が激しい。その格差のおかげで北部では政治的な独立運動さえ起こっている。国家自体が事実上の分裂状態に陥っている。

先日ここに書いた、もうすぐ出版されるソマリアの論文の中で書いたことは、ソマリア南部、特に首都のモガディシュを中心とする都会地域では紛争が激しく、時間と共に激化している。暗躍する反乱軍部隊の戦闘能力は少しずつだが着実に向上し、一般市民を巻き込んだ多数の犠牲者を増やしているだけでなく、ソマリアをコントロールしていると思われている政治母体の存続さえ危ぶませている。

その二つの国家の危険性をさらに増幅させる要因はその両国の近付きつつある関係にあり、特にアルカイダを含むテロ・グループの活躍が最近目立ち始めている。テロリストの訓練、軍事資金の調達、ロンダリング、そして分配、武器の備蓄や交換など、現在では主に東アフリカ地域でのみの複雑な政治問題が、少しずつ地域の枠組みで、影響力を持ち始めている。

過去数ヶ月の間、特に日本のメディアで指摘されてきた海賊の問題も、この地域である。日本は派兵をすることにより国際懸念の一環に協力したとの姿勢を取っているが、一つ注目して頂きたいことがある。ソマリア含む「アフリカの角」と呼ばれる地域での問題の根本は、実は海上ではなくあ陸上にある一方、派兵を通した軍事活動のみにあるのではなく、国際対話や政策決定の重要な機関を通しての政治的努力にあると思う。

私が書いた論文では、それを見逃しつつある国際社会に警笛を鳴らし、ソマリアの反乱軍がいかにしてより強い戦闘分子に変身しつつあるのか、という問題に焦点を定めている。

論文・書評出版のお知らせ

博士論文の口答試験まで残りちょうど3週間。準備は良好です。

この週末は、来月ニューオーリンズで開かれる国際関係学会で発表する論文を進めた。この論文は Suicidal Armies との名で発表予定で、去年6月に防衛大学でのゼミでその一部分を使わせて頂いたもの。あの時の大学院生からのコメントにはとても助けられた(防衛大での講義から学んだ事)。そんな機会を下さった高校の先輩には深く感謝。

論文や書評がもうすぐ幾つか出版されます。興味のある方へ。

"Containing the Somali Insurgency: Learning from British Experiences in Somaliland," African Security Review, Vol. 19, No. 1 (2010).

Book review on David Ucko, The New Counterinsurgency Era: Transforming the U.S. Military for Modern Wars (Washington, D.C.: Georgetown University Press, 2009), Terrorism and Political Violence, Vol. 22, No. 2 (2010).

Book review on Audrey Kurth Cronin, How Terrorism Ends: Understanding the Decline and Demise of Terrorist Campaigns (Princeton: Princeton University Press, 2009), forthcoming in Terrorism and Political Violence.

ヨルダンのトリプル・エージェント

今週末、ワシントンポストでも特集されていた、先月アフガニスタンで自爆してCIA職員7人を殺害したトリプル・エージェントのバラウィ。珍しく一般紙から諜報活動について多く学べた(In Afghanistan attack, CIA fell victim to series of miscalculations about informant)。普段なら公開されることのない諜報職員の情報も別のルートから流出している。

ダブル・エージェントでもそうなのに、ヨルダン、アメリカ、アルカイダの3つのエージェントをこなすのは大変なことである。そして短期間のうちにCIAの信頼を勝ち取り内部に侵入するのは珍しい。CIAの苦悩が現実的に書かれているし、今後のスパイ活動に大きな影響を与えるだろう。

ただもっと知りたいのは、バラウィとアフガニスタン状況の関連の詳細。タリバン、ハカニ・グループ、アルカイダなどとどう交信し自爆の計画を立てていたのか。真実が表に出る事があるのなら時間がかかるだろう。

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