Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

2010年02月

ありえん都市の名前シリーズ

アメリカにある、ありえん都市の名前シリーズ

Truth or Consequences

知ってた? 日本語訳すると「真実もしくは結果」。

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先日、映画 Lost in Translation を観た。予想以上に良い作品。内容はどこにでもある年齢差のある淡い恋愛なのだが、ロケの場所が東京であることに結構救われたと思った。

「トラ・トラ・トラ」も観た。日米開戦までの政治を明確に描く名画。観てよかった。

政治学部の合格者情報

さて、今年の我が学部での入試状況の様子が入ってきた。受験者は350人超、合格者は15人で倍率は23倍。私の時もこんな感じだった。そしてまた昔と同じように今年も、経済状態が不安定でその分受験者の数も増える一方、合格者の数は抑えられた感じがする。特にうちの学部は去年の入学者の数が多かったのもあると思う。

そして今年も日本人の合格者はいなかった。私のいた7年間、結局誰一人入らなかった。かすりもしなかった。悲し。

アフガン情勢

短期間においても重要な変革を遂げるアフガン情勢。

意外にもとんとん拍子で進んでいる、タリバンとアフガン政権の対話。本来なら敵対関係にあるはずの単純な図式が実は、お互いの権益が複雑に絡み合う現実が浮き彫りになりつつある。テロ活動を抑える最も有益な方法の一つだと考えられる「対話」は、個人の研究者で言えばオードリー・クローニンやランド研究所などからもその重要性が認識されている。モルジブで開かれ、国連を交えているとされるこの対話の驚くべき点は、タリバン側がその情報の公開を黙認している事。テロ組織内にとってはある種ギャンブルであるはずのこの手段が今後タリバンやアルカイダにとってどのような影響を与えるかはまだ不明。

ここ数日の間、急激にメディアの注目を得ているのが、アフガニスタン南東部に位置する「マリャ(Marjah)」での戦闘模様。建物や民家の影に隠れて機関銃やロケット砲を撃ち続けるタリバン勢力とそれに対抗するNATO軍とアフガン軍の戦い、数年前のイラクでの「ファルージャの戦い」にはその過激さが劣ろうが、ここ数ヶ月の間のアフガニスタンでは特に顕著な戦闘例として伺える。コンバットの側面で特に重要な点は、NATO軍とアフガン軍による地上軍と空軍を、一般人の犠牲者を最小にとどめる努力をしながら、どう混ぜ合わせ最大の効果を出すかである。この戦いの結末が今後の軍事バランス、そして上記の外交的対話にどのような影響を与えるかもまだまだ不明。

同時に注目すべきは、ここ数日の間に重要メンバーを失いつつある「パキスタン側」のタリバン。トップ軍事アドバイザーを無人戦闘機に殺害され、第2コマンダーは先日パキスタンとアメリカの情報網に捕獲された。タリバン内の指揮交代は組織的な安定性に影響を与え、それは今後の作戦の内容にも変化を与える。「アフガン側」タリバンとの関係やバランスも重要な研究要素になると思う。

読んだ論文を幾つか

今日は腰痛で職場のオフィスアワーをキャンセルし、自宅休養。気分転換に寄ったスタバで読んだ論文はこんな感じ。

1.昨年の Political Science Quarterly にて発表された、Juan Cole 教授の Pakistan and Afghanistan: Beyond the Taliban。パキスタンの政情とその歴史が批判的なレンズを通してよく分かる、良い資料。

2.International Security 最新号に掲載された、ビクター・チャ教授の Powerplay: Origins of the U.S. Alliance System in Asia。日米関係が平等なものだと勘違いし続ける研究者は特に必読の論文。

3.最後は同号の Jonathan Caverley 教授による The Myth of Military Myopia。非対称戦争や特殊な形の紛争においてなぜ民主主義は「正しい」戦争の仕方を学ばないのか、という面白いパズルを解く、素晴らしい論文。私の博士論文にも直接影響を与える。見つけてよかった。

ブログ停止のご連絡

皆様こんにちは。博士論文のディフェンスを終えて約1週間、多くの方々からお祝いのメッセージを頂いており、とても嬉しく感じております。重ね重ね、どうもありがとうございます。ただ今日は、重要なお知らせがございます。

5年半に渡って続けてきたこのブログ、その更新を停止しようと考えております。

もちろん理由は複数あるのですが、その中でも特筆すべきなのが、このブログの本来の目的である、アメリカ政治学の大学院での苦闘(と成功)を、私の経験を通して伝えるという事の達成が、少しずつ近付いてきている事です。

あともう一つの大きな理由が、今後の私のキャリアの方向が、あくまでこのブログの更新に適していない環境にあるかもしれないという可能性が、高まってきた事にもあります。この点については今後再び言及することがあるとは思いますが、現時点では詳細は完全に控えさせて頂きます。また、ブログとキャリアは必ずしも反する関係にはございませんが、その関係にある場合は、私は迷わず後者を選択するつもりでございます。

更新を停止する場合は、今後4ヶ月以内に実行します。このブログを毎日のように、とても長い間見てくださっている皆様には感謝の気持ちが絶えません。もしも何かコメントを残すことを希望される場合は、お気軽にメール下さい(yaponorry@hotmail.com)。キャリア面での詳細は完全に伏せさせて頂きますが、皆様との交流は喜んでお受け致します。

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