Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2010年05月

ブログの停止と今後の予定

このブログを始めて5年半。多くの人に出会い、多くの事を経験し、多くの事を証明したこのブログも、今後はその更新を停止します。今まで付き合って下さった皆様、応援のメッセージを下さった皆様、そして更新停止の再考を勧めて下さった皆様、ありがとうございます。そして日本やアメリカ各地のみでなく、遠く離れたスウェーデン、モロッコ、タイやメキシコを含む全世界より、このブログを応援して下さった方々、どうもありがとうございます。

私は先日無事に手続きを終え、ある機関の正式な一員になり、今秋より助教授として教壇に立つ事が決まりました。後は引越しを済ませ、日本に帰国し、7月からの任務のため休暇に入ります。この数ヶ月の間はここに書くこともあまりありませんでしたが、就職先の上司と交流を深め、新しい事を(既に!)多く学び、今後の任務の重要さに圧巻させられておりました。そして同時に、与えられた任務の素晴らしさに表現できないほど興奮しております。こんな私に、こんな就職状況の中、そんなにやりがいのある職務を与えてくれた就職先には、私が民間人として今まで培ってきた安全保障学ノウハウを還元すると共に、将来の国際安全保障コミュニティにおけるリーダーの育成のために私の全ての力を注ぐよう、最大を尽くして頑張ります。

私がここで最後に書きたい事はいたってシンプルで、それは今まで頑張ってきて本当に良かったという事。間違いも犯し、辛い思いを何度もしてきましたが、最後は自分を信じ、努力を重ねて苦心してきた甲斐がありました。努力や忍耐という言葉が人生において全てではありませんが、ひたすらそれを信じて実践した私の経験は、一方で小さく、どんなに些細なものかもしれませんが、私としては自分の大きな物語の一章としてこのブログに記録でき、嬉しく思います。そして、政治学や安全保障学において世界での活躍を目指す人間として、近い未来の日本人コミュニティの発展に少しでも貢献できる事を祈って、このブログを止めます。

どうもありがとうございました。

PS。ブログの更新は停止しますが、今後もメールでの相談は喜んでお受けしますし、ミクシィやフェイスブックの登録も続けます。興味のある方がいらっしゃれば、お気軽にご連絡下さい。

博士の誕生

graduation photo5月17日月曜、ついに博士号を取得した。夢にまで見た最高学位。嬉しさ極まる日だった。

卒業式の今日は、こんな感じだった。

昼ごろ大学に着くと、そのままレガリア(卒業式の衣装)に着替え学部の中を徘徊。後輩のエリックやクリスと談笑したあと、正午から学部主催の昼食会に参加。指導教官の一人であった、エドや助教授のマイクらとツーショットの写真を撮り満足。ペンに来るまでは雲の上の人だったエドとこんなに近くなるなんて夢にも思っていなかった。

12時半、大学院全体の卒業セレモニーとレセプションに参加するため、34丁目のヒル・スクエアに集合。今回同時に卒業するファリス、ピーター、そしてケレンらと久しぶりに再会し、お互いを讃えながら談笑。

1時、セレモニー会場に入場。指導教授のエイブリーが観客席に座っていて、会場に入るときにオーイと手を振って私の写真を撮ってくれた。そして会場の真ん中に並べてある席に着き、最初の数十分は大学院のディーンらのスピーチを聞いた。その後はメインの博士号授与。一人ずつ名前を呼ばれてステージをの上を歩き、書類を貰う。

名前を呼ばれ、台上を歩いて書類を貰い、数分後には式も解散。その後はすぐ隣のレセプションに参加し、エイブリーや別の教授のアン、そしてこの数年間事務をしてくれているパットらに合流。昼食を取りながら楽しい会話をし、最後はみんなで一緒に写真を撮って、別れた。

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自分の名前が呼ばれるのを待っている間、初めてジーンときた。今まで論文をディフェンスしても、就職が決まっても感動は少なかったのに、今回だけは、教授の話を聞きながら、今までの苦労を思い出し、そして今までの努力が報われた事実を実感し、涙が出てきた。泣く事はなかったし、ほんの数秒の出来事だったが、自分の人生の着実な歩みを実感した、自分にとってはとても大切な時間だった。

そうやって、人生最後の卒業式を終えた。

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読者の皆様、

今日をもって博士課程を無事修了し、このブログの目的を完遂する事ができました。今まで応援して下さった方々、本当にどうもありがとうございました。このブログを通して、普通の日本人であっても、努力を続ける限り国際安全保障の分野でもアメリカの政治学で充分通用するんだという事を証明し、今後世界での活躍を目指す日本の方々に少しでも大きな希望と勇気を与える事ができれば、嬉しく思います。

いつになるかは分かりませんが、次回のエントリーで、このブログも卒業します。

最後のIR会議と夕食会

木曜、5時間ほどの睡眠の後、8時ごろからセンターシティ(フィリー中心部)に繰り出しDMVへ。自動車免許の更新をしてから大学のあるウェストフィリーに戻り、ゆっくりと職場に顔出し。午前中は学部の中をぶらぶらしながら昼食後、研究。
 
2時半、国際関係学科の年度末会議に出席し、来年度のイベントの予定を立てる。私にはもう関係のない事になってしまうが会議中は関連ある部分で幾つかコメントをした。
 
4時、会議が終了。30分ほど私はオフィスで仕事をしたが、4時半過ぎからは30丁目のバーを貸しきって行われた、国際関係学科主催の年度末パーティに参加。学科主催とはいっても学部全体が招待されており、特にここ1・2年の新入生の参加が顕著だった。私の同期で参加したのはマットとエリックのみで、我々が最年長。年代交代の空気を感じた。ただ親しい友人のエリックとほぼ半年振りに再会し、話が盛り上がる。
 
飲み会の席では指導教官の一人であったエドと久しぶりにサシで話す機会もあった。新しい職場の話をしながら、彼に幾つかのアドバイスを受けた。今思い出してみると、ペンに来てから最初の学期で彼の授業を取ってから7年、国際政治経済に強い興味を示さない私によく付き合っていてくれた。私の研究をしっかりサポートしてくれたし、政治経済とは無関係の博士論文を指導してくれたし、推薦状を書いてくれもした。
 
今までの感謝の気持ちを伝えた後、パーティに別れを告げ、センターシティに向かい6時から、ペンでアジア学を専攻する博士候補10名とその家族の夕食会に参加。今回はシュとジャエホがABDに合格したのと、ジャンミュンと再びシュが奨学金に合格したのを祝う会だったが、遅れて到着した私にも皆が暖かく祝ってくれた。ここ数年で良き友人となったネイサンの隣で2時間楽しんだ後、トレーダージョーズに寄って買い物してから帰途に着いた。

フィラデルフィア美術館と就職面接の練習日

ここ最近は研究を進めながらも基本的にはゆっくり過ごし、週末にはフィラデルフィア美術館に行ってきた。毎月最初の日曜日には客が好きな額の入場料を払えるというサービスを利用して。当日、館内は混んでいたが2時間ほどで充分回れた。

世界各地の美術品が贅沢に並べられていた。アジア館では日本庭園と茶屋までもが本格的に展示されており、多くの客が写真を撮っていた。そして特に充実していたのが近現代ヨーロッパ美術で、圧巻なのはやはりゴッホの「ひまわり」とセザンヌの「大水浴」。ただそれにも劣らず私の注目を引いたのは、題名は忘れたがリバプールのドックでの景色。かなり昔の作品だったが写真のように精密に描かれていて観ていて興奮した。


今月後半にはニューヨークのメトロポリタン美術館に行ってこようと計画中。
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そういえば数ヶ月前の出来事。詳しくは書かないが記録に残しておきたい。

ある大学から就職面接のオファーを頂いた数日後。その日は朝8時ごろ学部に到着。学部ビルのホールを借りきって一人でひたすらプレゼンの練習。数十分間の発表の内容をパワーポイントを使って全て暗記し完全なものとする。予想される質問にも予め自分で答えを用意し、後はクラウゼウィッツのいう「摩擦」に対する動揺を最小限に食い止めるよう、心理的に備える。

午前10時、学部ビルのフォーラムにて、学部の同僚を招待しての予行練習。数年前に私に質的政治学を教えてくれたロジャースが顔を出す。アメリカ政治が専門の彼は私の博士論文委員ではなかったが、彼の授業を取ってから良い関係を維持してきていたし、一般的に彼の意見は突出して素晴らしいため、数日前にオフィスに顔を出して個人的に頼んでいた。他にも指導教授のエイブリー、国際関係学科助教授のアレックス、マイク、そしてジェシカ、同期のデイビッド(ファリス)、デイビッド(スタインバーグ)、後輩のライアン、バーバラ、ロゼラ、グラント、ハオチアン、ステファン、エミリーの合計14人が来て応援してくれた。将来の記録のため、ここに書いておきたかった。

約20分のプレゼンの後は、質疑応答。もうすでに何度も助けてもらっていた後輩の多くから、そしてより鋭い視点と経験を持つ教授陣からも、質の高い質問とアドバイスを受けた。全体的に肯定的なコメントが多く、ここ数ヶ月の間の進歩を感じた。もう既に何度も私のプレゼンを聞いてコメントしている後輩のライアンからは今までで最高の出来だと評価され、また、期待していたロジャースからの第一声が「エクセレント」であり、発表後のエイブリーからの「大丈夫だろ」という言葉で自分に確信を持った。それらを通して、数日後に迫る本番のジョブトークでの最大限を努力を自分に約束した。

終わり

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