Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2012年01月

揺れ動く世界情勢・東アジアへの戦略的ピボット

揺れ動く世界情勢。米軍は中東・南アジアから東アジアへ戦略的「ピボット」の一環としてオーストラリアのダーウィンに海兵隊2500名を置き、新たにフィリピンへの展開を模索している。現在フィリピンには米軍からジョイント特殊作戦タスク・フォース600名ほどが置かれており、私が研究するエリアで様々な活動に加わっているが、それに加えて海軍のバックアップが増える見通しである。最近大きな変化を見せつつあるミャンマーの情勢、アフガニスタン・イラクからの米軍(そして早期のフランス軍の)撤退、北朝鮮の不安定情勢、そして南シナ海の情勢を考えれば理解できることである。日本にとっては日米同盟の強化の可能性が高まり、その同盟を日本の防衛の要だと考える方にとってはある意味理想的な展開である。

ただ一方で、そのピボットが実に概念的な段階で終わってしまう可能性もある。私が何度か仕事を一緒にしたことのある、マットの Foreign Affairs での「イランを攻撃する時」と題された論文は、一部の学者から爆発的な反発を受けている(先週ニューヨークタイムズから出た「Will Israel Attack Iran?」という記事もお勧め。イスラエルの政治リーダーがいかに分割されているかが分かる)。パキスタンの情勢もままならず、数週間前には軍部によるクーデターの噂が流れそれが撤回されたかと思えば、今度は逮捕を恐れてムシャラフが帰国を延長させている。シリアの情勢はここ数日で一気に悪化し、ホムを含む都市の幾つかがほぼ完全な内戦状態で多くの死傷者を出している。更に、エジプト、イラク、イエメンの内政も米軍の撤退に合わせて悪化。正直私は「ピボット」を懐疑的に思っている。

今年はアメリカは大統領選挙の年である。現段階では議論の多くが国内と経済問題に集中する一方、国際問題は一般的に、多くの意味においてラフに扱われる可能性がある。私は北朝鮮よりもイラン、南シナ海よりもホルムズ海峡、そして東アジア全般よりも中東・南アジアに今後もアメリカの注目が置かれ続ける事になると思っている。沖縄の状況は今後も複雑なインパクトを日米同盟に与え続けるだろうし、今年一年は必ずしも日本への注目が高まるとも思えない。

りゅ

今後の出張の予定

米国南部らしさを見せてくれている。今週中盤の最高気温は24度まで上がった。気分が良かったのでジャージに着替えて大学目の前のゴルフ・コースでジョギングをした。写真はジョギング・コースからゴルフ場を越えて見た大学の建物。

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春学期の出張予定が決まりつつある。2月のハワイ行きは逃してしまったが(残念!)、3月は東南アジアの出張に加えてサンフランシスコでの日米学会。4月前半はシンガポールでの学会に出席の可能性が。そして夏はスペイン。本や論文、そして授業の準備に時間がかかるが、これらの学会の準備にも力を注ぎたい。

良い週末を!

パリのアルバム2

少し時間が経ってしまったが、これが今回のパリ旅行のアルバムの後半。

セーヌ川には時間があれば何度も訪れて、川沿いを歩いた。曇りの日でも十分絵になる。
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ノートル・ダム寺院は内部も凄かった。
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モンマルトルのサクレ・クール。簡単にだったが内部を見学したあとは、隣のテルトル広場まで歩いて、クレープを食べたり絵描きの作品を見たりした。パリ2日目の訪問。
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セーヌ川の橋からのオルセー美術館。午後遅く行き、中に入るまで50分ほど要したがその価値は十分ある。
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今回は予定していなかったが、オルセーを訪れたのがたまたま木曜日。なんと毎週木曜日は美術館のレストランで7時から夕食をサーブしていた。驚くことにこの写真は美術館の作品ではなく、そのレストランの内装。この部屋で夕食を楽しんだ。
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12月31日に訪れた、ルーブル美術館。朝9時入場のため、朝8時過ぎに並び始めたのはいい思い出。おかげでモナリザやミロのビーナスも空いている時間に見ることができた。
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ルーブル館内。途中のカフェでの休憩を挟んで、結局7時間ほど過ごした。
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Galerie Lafayette というショッピングモール。今回はクリスマスツリーが飾ってあった。ここでお土産を幾つか購入。
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そして〆は夜のエッフェル塔。年末のカウントダウンの時に取ったもの。
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行ってくるぜスペイン

上司からスペイン出張の許可が下りた。去年のエントリーに書いた学会で研究を発表するためにマドリッドに行ってくる。

先日政治学の専門誌に寄稿した非国家主体の軍事戦略について発表する。

予定は7月上旬に1週間ほど。観光などするつもりも時間もないが、初めてのスペインを楽しんでこようと思う。

PS。米軍の専門誌で論文が2本ほど出版される方向で話が進んでいる。一つは去年のフィリピンと日本での客員研究員として得たことなど。日本人として米軍に勤め、フィリピンなどで研究しているのが珍しく興味を引いたようだ。しっかり期待に応えたい。

授業と研究

年も明けて数週間経ち、仕事も落ち着いてきた。授業もすでに数回こなし、生徒との交流も深まってきた。生徒同士何度も議論を重ねてゆくうちにお互いの考えがより浸透し、少し強めの議論も勃発しやすくなる。生徒間の感情の起伏を抑えながら議論をナビゲートするのは大変な仕事だが、やりがいはある。また、たまにゼミの中佐が意見の違いで大佐に噛み付くこともあるのだが、その仕方が丁寧かつ真剣で、さらにそれを優しく諭すように接する大佐の議論を見ると、その過程でのプロフェッショナリズムと独特の面白さを見つけ、つい微笑んでしまう。これはここに書くだけでは表現しずらいものがあるので、興味ある方に対してはいずれは話で伝えてみたい。

ここには書かなかったが、数日前は大学校長のハンソン少将の家に招待され楽しい時間を過ごした。

一方で本の執筆も進んでいる。先日は学部のクリスにも詳細のコメントをもらって感激。そして空軍の外になるが、かねてからの知り合いで、私の分野に精通している民間大学の教授にも原稿を読んでもらっている。この業界では本当に信頼できる人を見つけるのはとても大変な作業なのだが、こうやってサポートしてくれる人を見つけるととても嬉しくなる。

ミアシャイマー教授の記事

久しぶりに国際関係学ネタ。アトランティックの今月号に掲載されていた。特に学問的な点は多くは無いが、興味のある方に。

http://www.theatlantic.com/magazine/archive/2012/01/why-john-j-mearsheimer-is-right-about-some-things/8839/

基地近くのレストランにて

今日は朝7時間から学部の教授会。基地前の Wagon Wheel というレストランで食べたのはアメリカ南部特有のグリッツ含むヘビーな朝食。おかわり自由のコーヒー含めて合計で7ドル35セント。質を考慮すると高いのか安いのか…。

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思えば私の空軍との始まりもこのレストランだった。面接の朝にここに連れて来られて今の同僚と一緒に楽しい時間を過ごしたのをよく覚えている。

パリのアルバム1

年末から今年頭にかけて行ってきたパリのアルバム。

まずはクリスマス・イブのセーヌ川。気温は5℃ほど。寒すぎることもなく、むしろ歩いていると快適だとも思える。遠くに見えるのがエッフェル塔。私はセーヌ川のこの角度が好きだ。
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今冬のパリは霧の日が多かった。エッフェル塔が見える良いホテルの部屋を取ったが、夜になるとこのように霧がかったエッフェル塔を見ることもできる。
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パリに行くまであまり知らなかった、上品なパン屋さん。
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今回の旅行で楽しみにしていた、モンサンミシェル。パリからは電車と上手く接続するバスを合わせて、片道4時間ほどで到着。朝早くの特急TGVに乗り、午前11時半頃、現地到着。現地では3時間あればじっくり全て見ることができる。
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その荘厳な造りに圧巻。
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修道院からの帰り道の景色も素晴らしい。
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帰りに乗ったTGVにて。パリには午後8時過ぎには戻ってきた。
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そしてセーヌ川を歩く男。誰だこれ?
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ズームしてみると…。
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パリに来てまで新聞読んでる!
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続く。

休暇が明けて

正月を迎え無事にアメリカに戻ってきた。今週から仕事が始まり、授業も始まった。

春の学期は私が独自に担当する東南アジアの授業である。最初の授業は教員(私)と生徒16名の自己紹介から始まり、授業の説明をし、すぐに東南アジアの政治問題に突入した。去年の同じ時期に私が担当した生徒たちよりも中佐の数が多く、大佐は2人だけである。従って比較的生徒たちのエネルギーがあり、それを授業中に真剣にぶつけてくる。また、このゼミで行く3月の海外出張の準備も進んでいる。

同時に本の執筆も進んでいる。今週前半には友人で同僚のザックと会い、予め渡していた原稿のコメントを頂いた。ただ単にコメントを書いてもらっただけでなく、その後1時間ほど彼のオフィスで口頭でアドバイスを受けた。今まで自分が考えもしなかった論点を明解にしてもらい感激。私も今後はぜひこのような態度で望みたい。

そして最近はクリスマス・パーティにも招待してもらった、友人のデイブが働く Air Force Negotiation Center of Excellence に赴き、久しぶりの会話を楽しんだ。

パリでの年越し

ここ数日のパリでの生活。 

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先週後半のある日、エッフェル塔をゆっくり見た後は、徒歩でオルセー美術館へ向かった。途中にある陸軍士官学校や Les Invalides をすり抜け、市内至る所にあるカフェでしばらく休憩。年末ということもあり、オルセーに赴くと多くの人で溢れかえり入場の列ができていたが、50分ほど待った後入館。 館内は写真撮影は禁止されているため今回は残念ながら記憶に頼ること以外できないが、素晴らしいディスプレーが満載だった。夕食は館内にある、木曜日の夜のみ開いているレストランで美味しいステーキを堪能。それだけでなく、レストラン内のインテリアはあまりに美しく、写真を何度も撮ってしまうほど。この美術館はそのコレクションだけでなく、雰囲気やエネルギーもしっかり感じ取るべき、大切な場所だと思う。

ルーブル美術館を訪れたのは大晦日。オルセーでの経験から早めに並ばないといけない事を悟ったため、入館開始時間の1時間前の8時から列を作った。そのおかげで楽しみにしていたモナリザの画は比較的空いている時間に見ることができた。他にもミロのビーナスからナポレオン3世の部屋など傑作の多くを楽しんだ。そういえばルーブルのカフェで休憩している時に、日本のモデル女性一行に遭遇もした。また、時間ができた時に、東京で言う銀座のような場所の Galeries Lafayette などでお土産を買ったりした。

そして次は初めてのパリでの年越し。エッフェル塔のカウントダウンは多少期待外れだったが、真夜中に集まった何千人の観客の中に入って新年の始まりを祝うのは楽しい思い出になった。翌日の正月はどこの店も閉まっていると思いきや、開いている店が多かった。ゆっくり起床して昼ごろから地下鉄でシテ島に赴き、セーヌ川沿いを歩く。畔のカフェにて今年初のエスカルゴ、ホットワイン、エスプレッソにオレンジ・クレープを楽しみ、パリ大学ソルボンヌ校のキャンパスを歩き、今年新年の幕開けを迎えた。
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