Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

2012年02月

オススメ映画「The Ides of March」

220px-The_Ides_of_March_Poster週末を使って観た映画は「The Ides of March」。スーパーチューズデー控える今年のアメリカの選挙に合わせたタイミングで観たこの映画は私にとっての傑作に近い素晴らしい出来。今年もほぼ毎週一本のペースで映画を観ているが、今回のは特に印象深かった。

ここではあらすじはもちろん控えるが、内容はアメリカのある州における選挙キャンペーンの内幕とその力学を見事に描いたもの。今まであまり見なかった主役を助演(そして監督)のジョージ・クルーニーが見事に補佐している。撮影過程で前者が後者から学んだことは多かったのではないかと思う。

特に良かったのが最後のシーン。「何か言うんじゃないか?」と思うところで意外のエンディング。最初から最後までしっかり楽しめた良い映画だった。政治・選挙の問題に興味を持つ方には特にお勧め。

最近の軍事状況:シリア、イラン、そしてチーム6

このブログで最近何度もネタにされているシリアとイラン。中東問題は他にもパレスチナ、イエメン、エジプト、イラクなど混迷を極めるが、今冬、今春最もアメリカを含む複数の国家間の戦争に近いのはこの二つなのかもしれない。もちろんこれは私個人の見解で米政府、米空軍の政策、見解ではない。

日本でも有名なマイケル・オハンロンは「What could we do for Syria?」と題された論文の中で、シリアに対する3つの軍事作戦のオプションを述べている。海・空軍力を用いてアサド政権へのクーデターを促すオプション、ボスニア・コソボスタイルの規模の大きな空爆のオプション、そして限定的な空軍力を用いて民間人の安全地帯を作るオプションが挙げられている。プリンストンのスローター教授は「How to Halt the Butchery in Syria」という論文で、「no kill zone」の設定の重要性やトルコやレバノンを含む近隣諸国の軍事的役割を特殊部隊などに焦点を置いて紹介している。チュニスでの会合が外交的な解決の見通しがつかない場合は、次のステップとして多国籍の軍事介入が考えられる。

また、オハンロンは特記していないが、今後のアメリカの軍事作戦の形態を予測させる興味深い視点が存在する。「Navy Seals: Obama's Secret Army」という論文の中では、ここ最近のオバマ政権が特殊部隊をどう使って政治目的を完遂しているかが伺われる。ロシア、ベネズエラなどの少数国家を除く国際社会からの孤立を深めるシリア、アサド政権転覆を図る内戦が悪化するにつれ、アメリカ含む西洋国家との戦争も考えられる。

一方、イランに関して最も難しい問題の一つは、アメリカとイスラエルの脅威の感じ方の温度差が大きいことであろう。ニューヨークタイムズの「In Din over Iran, Rattling Sabers Echo」という論文が明らかにしている。イスラエルとイランの関係は悪化し続け、後者の核施設が強化され核兵器のプログラムが進むにつれ、イスラエルからの独自の先制攻撃の可能性が高くなる。ただ、別のニューヨークタイムズの記事が論じるように「Iran Raid Seen as a Huge Task for Israeli Jets」、イスラエルからイランを攻撃し戦争に勝つのには多くの問題が存在し(ヨルダンとの関係、地理的距離など)、簡単ではない。

揺れ動く中近東情勢、どう傾くか非常に大切な時期である。

統合参謀本部議長の訪問

21日に連絡が流れ、米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長(陸軍大将)が基地を訪れ、我が大学で講演した。セキュリティ上突然の連絡だったがめったにない機会、即決で出席した。

話の内容も多岐に渡り、軍人トップの考え方や現在のアメリカの安全保障政策の一部がどのようなものか理解することができた。

ブルッキングスの日本研究員

ワシントンのブルッキングス研究所が日本に直接関わる上席研究員を探している

当研究所から日本政治・経済の専門家が姿を消して数年経つ。中国、そして韓国にも押されつつあるワシントンの日本の存在感だが、こんなポストを開けてくれて嬉しくも思う。英語日本語の両方でしっかりと情報発信、学者の間でも自信と能力を持って堂々と議論ができ、そして総合的に日米関係の強化に貢献できる人が見つかることを祈っている。

後輩の就職

後輩の一人がボストン大学に就職することがが決まった。フィリーにある私の母校ペンではみんなで喜んでいるようだ。

ペンのプログラムのランキングは一般的に情けなるほど低いのだが捨てたものではない。私のことは別にして、過去5年の卒業生のフルタイムの就職先で有名なのを挙げれば、ボストン大学(2人)、プリンストン、ピッツバーグ、ラトガース、インディアナ、マサチューセッツ(アムハースト)、オクラホマなどがある。苦労している人も多いが、しっかり実績を積んでいる卒業生も多い。

このブログで何度か書いたように日本からペンを受験する人がほとんどいないのは理解ができるが、再考する価値はあると思う。留学生を迎える準備がしっかりできているプログラムでもあるし、日本人でもしっかり卒業してアメリカの大学で就職できるという記録もある。毎年必ず留学生に入学のオファーを出してもいるし、資源が豊富なため入学生への財政援助も整っている。

アメリカの政治学で勝負したい方には是非チャレンジして頂きたい。

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