週末を使って観た映画は「The Ides of March」。スーパーチューズデー控える今年のアメリカの選挙に合わせたタイミングで観たこの映画は私にとっての傑作に近い素晴らしい出来。今年もほぼ毎週一本のペースで映画を観ているが、今回のは特に印象深かった。
ここではあらすじはもちろん控えるが、内容はアメリカのある州における選挙キャンペーンの内幕とその力学を見事に描いたもの。今まであまり見なかった主役を助演(そして監督)のジョージ・クルーニーが見事に補佐している。撮影過程で前者が後者から学んだことは多かったのではないかと思う。
特に良かったのが最後のシーン。「何か言うんじゃないか?」と思うところで意外のエンディング。最初から最後までしっかり楽しめた良い映画だった。政治・選挙の問題に興味を持つ方には特にお勧め。
2012年02月
日本でも有名なマイケル・オハンロンは「What could we do for Syria?」と題された論文の中で、シリアに対する3つの軍事作戦のオプションを述べている。海・空軍力を用いてアサド政権へのクーデターを促すオプション、ボスニア・コソボスタイルの規模の大きな空爆のオプション、そして限定的な空軍力を用いて民間人の安全地帯を作るオプションが挙げられている。プリンストンのスローター教授は「How to Halt the Butchery in Syria」という論文で、「no kill zone」の設定の重要性やトルコやレバノンを含む近隣諸国の軍事的役割を特殊部隊などに焦点を置いて紹介している。チュニスでの会合が外交的な解決の見通しがつかない場合は、次のステップとして多国籍の軍事介入が考えられる。
また、オハンロンは特記していないが、今後のアメリカの軍事作戦の形態を予測させる興味深い視点が存在する。「Navy Seals: Obama's Secret Army」という論文の中では、ここ最近のオバマ政権が特殊部隊をどう使って政治目的を完遂しているかが伺われる。ロシア、ベネズエラなどの少数国家を除く国際社会からの孤立を深めるシリア、アサド政権転覆を図る内戦が悪化するにつれ、アメリカ含む西洋国家との戦争も考えられる。
一方、イランに関して最も難しい問題の一つは、アメリカとイスラエルの脅威の感じ方の温度差が大きいことであろう。ニューヨークタイムズの「In Din over Iran, Rattling Sabers Echo」という論文が明らかにしている。イスラエルとイランの関係は悪化し続け、後者の核施設が強化され核兵器のプログラムが進むにつれ、イスラエルからの独自の先制攻撃の可能性が高くなる。ただ、別のニューヨークタイムズの記事が論じるように「Iran Raid Seen as a Huge Task for Israeli Jets」、イスラエルからイランを攻撃し戦争に勝つのには多くの問題が存在し(ヨルダンとの関係、地理的距離など)、簡単ではない。
揺れ動く中近東情勢、どう傾くか非常に大切な時期である。
当研究所から日本政治・経済の専門家が姿を消して数年経つ。中国、そして韓国にも押されつつあるワシントンの日本の存在感だが、こんなポストを開けてくれて嬉しくも思う。英語日本語の両方でしっかりと情報発信、学者の間でも自信と能力を持って堂々と議論ができ、そして総合的に日米関係の強化に貢献できる人が見つかることを祈っている。
後輩の一人がボストン大学に就職することがが決まった。フィリーにある私の母校ペンではみんなで喜んでいるようだ。
ペンのプログラムのランキングは一般的に情けなるほど低いのだが捨てたものではない。私のことは別にして、過去5年の卒業生のフルタイムの就職先で有名なのを挙げれば、ボストン大学(2人)、プリンストン、ピッツバーグ、ラトガース、インディアナ、マサチューセッツ(アムハースト)、オクラホマなどがある。苦労している人も多いが、しっかり実績を積んでいる卒業生も多い。
このブログで何度か書いたように日本からペンを受験する人がほとんどいないのは理解ができるが、再考する価値はあると思う。留学生を迎える準備がしっかりできているプログラムでもあるし、日本人でもしっかり卒業してアメリカの大学で就職できるという記録もある。毎年必ず留学生に入学のオファーを出してもいるし、資源が豊富なため入学生への財政援助も整っている。
アメリカの政治学で勝負したい方には是非チャレンジして頂きたい。
おそらく小学校以来の2度目だったと思う。内容はほとんど覚えていなかったが、踊る人たちの顔の表情や動きが豊かで簡単に理解して楽しむことができた。
今回はダウンタウンにあるホテルに隣接する会場で開かれた(写真は開演数十分前に撮影)。モンゴメリー・バレー団主催。
先日、下に書いた発表会を率いた同僚のデイブに聞いたところ、予想通り発表会は成功だったらしい。会場となったジョージ・ワシントン大学の教授陣や学生に加えて、何でもペンタゴン、国務省、そして議会含む政府関係者、更に軍事系では将校数名含むアメリカの大戦略に関わる人間が多く集まり、総勢100人以上の観客の前で発表したという。素晴らしい事である。
もう一つ嬉しいことがあった。上司の部屋で話をしていたら、うちの大学の上の人たちが、アメリカ空軍内の重要なポストに私を推薦してくれたらしい。ここではまだ書けないが、今後の空軍の方向に一定の影響を与える大切な役割である。今まで日本人がやった事のない、そんな大役に私を選んでもらってとても嬉しかったので、その場でもちろん快諾した。できれば詳細は近いうちに!
http://www.elliottschool.org/events/calendar.cfm?fuseaction=ViewMonthDetail&yr=2012&mon=2#1733
Hap Arnold Lecture Series on Grand Strategy
Wednesday, February 15, 2012
2:00 PM - 3:30 PM
Lindner Family Commons, Room 602
1957 E Street NW
Colonel Andre J. Briere, U.S. Air Force
Lieutenant Colonel Shaun R. Stuger, U.S. Air Force
Lieutenant Colonel Jack L. Sine, U.S. Air Force
Three military officers present differing perspectives of national security strategy:
1) An assertive grand strategy
2) A liberal internationalist grand strategy
3) A grand strategy of restraint
Andre J. Briere is a U.S. Air Force command pilot. He graduated from the U.S. Air Force Academy, and earned Master of Science degrees from the National Intelligence University and the Air Command and Staff College. Briere has flown over 2,500 hours in a variety of aircraft, to include C-5 A/B/C, KC-135 R/T, and TG-7A. He has flown numerous combat missions in every major U.S. operation since 1993. He has also served as an Iran/Middle East policy analyst for the Chairman of the Joint Chiefs of Staff and the Chief of Staff of the Air Force.
Lt. Col. Stuger holds a bachelor's degree in computer science from Boston University and a Master's Degree in Technology Management from Pepperdine University. He recently served as a Space Operations Squadron Commander and has spent 18 years in a variety of space staff, operations, and acquisition assignments. During Operation Enduring Freedom he served as an acquisition mentor to the Afghan Ministry of Defense on Afghan National Army procurement matters. His awards and decorations include the Defense Meritorious Service Medal, Meritorious Service Medal, Air Force Commendation Medal, and Joint Service Achievement Medal.
Lt. Col. Sine earned his bachelor's of electrical engineering from the University of Dayton and a master's degree in military studies from the American Military University and a master's degree in Security Studies from the Naval Post Graduate School. Lt. Col. Sine served as an electronic combat systems engineer, a staff officer working weapons requirements, a Congressional liaison for the Air Staff, and an F-16 pilot. He is a command pilot with over 2,000 hours, of which 285 are combat hours. Lt. Col. Sine most recently flew as commander of the 80th Fighter Squadron, Kunsan AB, ROK.
For more information, visit: http://www.au.af.mil/au/awc/outreach-program/index.htm
Sponsored by the Institute for the Security and Conflict Studies and the Air Force Air War College
March 23-24: US-Japan Security Seminar (San Francisco)
MoFA-sponsored, JIIA co-hosted seminar brings together top-level scholars and officials from the US and Japan to discuss bilateral issues of concern.
今の大学では日米同盟に関わる政治・経済問題を教えることもあるのだが、そもそも私の専門分野ではなく、結果として同盟問題に対しての私個人の exposure は極めて低い。2007年にお世話になった平和安全保障研究所が共催した日加関係のシンポジウムでお手伝いさせて頂いたのが一番近い。さらに研究の視点から見る日米同盟は私にとっての emerging project であるため、当日は幾つかしっかりした準備が必要になると思う。
また、このブログの読者の方で、同セミナーに参加予定の方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡を下さい(yaponorry@hotmail.com)。当日は私の知り合いが少なそうで、少し心細くも思います。喜んで返信いたします。
参照:http://dalje.com/en/foto.php?id=19&rbr=20277&idrf=848460