Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2012年06月

アメリカ政治学留学に関して

アメリカ政治学への留学に関する素晴らしいブログのエントリーがあった。2010年のアメリカ政治学会@ワシントンDCで知り合った千葉君のブログ。私のブログが言及されているが、されていなかったとしても同様に有益で、今後アメリカ留学を考えている方は必ず読むべき大切なエントリーだという事を冒頭で強調しておく。

彼のエントリーからは政治学会の現状、この業界の人間関係の大切さ、彼個人の日本の学会やアメリカでの就職状況に関する考え方、そして直接言及されてはいないが努力と忍耐の重要性もしっかり伝わってくる。私も彼の意見の多くに賛成するし、私のブログでカバーされてない情報もタイムリーで記されている。特に海外の多くのポストに応募した点や、アメリカの博士課程に進学する日本人生徒へのアメリカ側からの期待など、しっかり後輩に伝えられるべき点も多い。

読んでいて特に新鮮(そして大切)だと感じたのは、途中にある「翌々日に電話でオファーをもらう。電話を受けた時、大英博物館の目の前のスタバの地下にいた。嬉しくなって外に飛び出し、にやにやしながら周辺を歩きまわる。」という部分。

この嬉しさは強く共感する。私の場合は、大学のジムで友人たちとバスケをしていたランチタイム、相手先の当時の学部長が携帯にメッセージを残していた。そのメッセージには、学部長の「携帯」電話に連絡をするように指示されていた。それを聞いた時点である程度の喜びを感じ、本人と話して実際にオファーを頂いた。電話を切ってから、あまりに嬉しくてどう動いたらいいか分からず、大急ぎでシャワーを浴びて着替えてジムを飛び出し早歩きで学部ビルに向かいながらエイブリーやダリルやジェニファーら教員陣の携帯に片っ端に電話をした。学部に到着するとすでに教授陣の間で話が伝わっており、何人かの先生に暖かい声をかけてもらったのをよく覚えている。

この喜びを今後もできるだけ多くの日本人の方に味わってもらえるように…。我々卒業生はとても良い情報源とアドバイザーになり得るので、留学目指している方はこれらのリソースを大切に使って頂きたい。

この州には日本人が4000人も!

先ほど見つけたレポートには、2年前の時点では私の住んでいる州に日本人が4000人以上も住んでいたと記録されている。

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驚いた。2年後の今とは言え、州都に住んでいても日本人と分かる人と会うのは珍しいことなのに。

米中関係

最近凄い勢いで進めているのが米中関係に関する論文。普段はオフィスで出張の準備など他の仕事に埋没しがちなのであまり時間が取れないが、9月のアメリカ政治学会で発表するまでに時間が限られているので今のうちに執筆を進めている。

驚くべきことではないのだが、米中関係の文献は「驚くほど」多く、またアメリカのグランド・ストラテジーを見直しても多くの資料が存在し、文献レビューの部分でも多大な時間と集中力を要する。また、軍事、政治、経済を多角的に分析するのは面白いが複雑な作業である。その分やりがいはあるので執筆が進めば様々な学会で研究成果をぜひ発表したいと思う。

来年の海外出張は日本と韓国!

来年の海外出張の訪問先が内定した。過去2年は東南アジアのフィリピン、マレーシア、そしてタイだったが、来年はなんと日本と韓国の担当になった。アメリカ空軍の現地でのカウンターパートと一緒に仕事をするのがとても楽しみだ。

2011年3月のマニラ・ホテルにて
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マレーシアのポート・ディクソンにて
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2012年3月、タイはバンコクのタイ空軍本部にて。3a2b555b-s


それに伴い、来年の私の授業にも変化がある。地域学の授業では東南アジアではなく北東アジアにシフトすることになった。もちろん今までの担当者としっかりコーディネートしながら授業を組み立てることになる。

新しい研究トピック

大学も本格的に夏休みに入り、リラックスした状態での仕事が続いている。この時期に合わせて中長期の休暇を取る同僚も多い。また、生徒の卒業に合わせて軍隊から引退する教員もいる。私は今週は新しいオフィスへの引越しも済ませ、少しずつ掃除と片付けをしながら仕事をしている。

金曜日の今日は時間もあったので気分転換も含めて町のダウンタウンの The Deli まで車を飛ばしてランチ。ここでのお気に入りはキューバン・パニニ。コールスローに合わせて多めの肉のサンドイッチがわずか7ドル。また、こうやって街中をドライブするとローザ・パークス氏関連の建物など、アメリカ南部の歴史的な建物を所々に目にして楽しむことができる。

一方で、9月上旬に開かれるアメリカ政治学会で発表する研究論文も本格的に執筆を開始した。内容は中国の民主化と経済発展を踏まえての米中関係と世界政治の行方。今までの私の研究は西洋国家と途上国間の戦争における軍事戦略などが主だったため、今回のようなグランド・ストラテジーのレベルの研究は新鮮で楽しい。これからも楽しみながら研究を続けていきたい。
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