国防大学で開かれる会議に出席するためワシントンDCへの出張が決まった。12月の11日から13日まで滞在する予定。久しぶりのワシントンなので予定をできるだけ詰め込みたい。
2012年10月
今週月曜に行われた3度目の大統領選挙ディベート(外交問題が中心)で、「重要な同盟国」であるはずの日本が言及されなかったとの記事を幾つか読んだ。
ディベートを聞いていれば明らかなのだが、日本に関する言及がなかったというのは誤りで、イスラエル防衛と中東問題に関する議論で日本との同盟関係は一瞬だが質問の中に組み込まれていた。
ただそれより重要な問題は、この種のネタが未だに新聞記事になるという事である。アメリカ国内での日本の重要性に関する懸念がメディアの中にいかに浸透しているかが分かる。アメリカ、それも首都のワシントンで数ヶ月過ごした人間なら誰でも理解できようが、アメリカで(親米派の)日本人が望んでいるような話し方を見方をするのは親日タイプの研究者以外にはほぼ皆無であり、広い意味でのアメリカの防衛政策において日本は実はとても小さなアジェンダである事実こそを書くべきだと思う。民主党政権になり早数年、日米関係が自民党時代と比べてどれだけ変化したかはもう明らかな今、対米従属痛々しいレンズで日米関係を見るのはそろそろ止めるべきではないか。
面白いことに、一方で記事になるべき事が記事になっていない。同じ月曜日に野田首相らと会談しているはずのクリントン国務長官のチーム(ナイ、ハドリー、アーミテージ、スタインバーグ氏ら含む)の訪日の記事が、朝鮮日報(尖閣:米元高官団が日中訪問、対立の沈静化図る)とニューヨークタイムズ紙(
重要なのは洗練された見識を用いて何が重要なのかは見極めそれを正確に一般市民に伝えることである。
今週読んだ記事で目に付いたのは、ここ最近イランからのサイバー攻撃が増えてきているとの事。国家機関が直接関与しているかの話はここでは別として、中国、ロシアなどからの攻撃はオープンソースで伝えられている。
もう一つは北極海で展開される安全保障の政治学(In a warming Arctic, U.S. faces new security and safety concerns)。北西航路の開通は国家間、特にロシア、カナダ、アメリカ、中国、そして Arctic Council 参加国にライバル関係が生じるのと同時に、世界流通の促進も促す。
米軍ももちろんこの変化には注目しており、私の授業を含めても幾つかのクラスでこの問題を提起し議論する。また、この記事に書かれている通り海軍戦争大学では戦争ゲームもしているという。空軍も一定の活動をしているようだが、私の大学でも今後この種の研究や授業が増えるかもしれない。
ただ前回に続いてオバマは限られた時間を使い詳細をしっかり話すことにより投票者の注目と理解を得ようとしている兆候が強かったのに対し、ロムニーは一般人が分かりやすい単語を多用し、より大きな態度をディスプレーすることにより彼らの「心と魂」を得ることに尽力していたように思える。前回とは違い、オバマの方はロムニーの意見に直接チャレンジしたり、質問者に近い視点で話しかけるように応えていたが、果たしてそれがどこまで投票者に浸透するかは今後次第だと思う。
ところで今回の選挙のジョークでよく聞かれていた言葉は「47%」であったが、今後数日の間は「binders full of women」になりそう。男女の雇用格差に関する質問に対するロムニー側の失言と取りかねない言葉だが、今後それが大統領選挙にどれだけ「スティック」するかが結果に影響するだろう。
それと同時にゼミの生徒らとミーティングを重ね、来年3月の日本滞在中での訪問先の検討も始めた。東京では防衛・外交関係の官庁を中心になるが、地方では去年とは趣を少し変え、京都や鎌倉、日光を勧めておいた。また、官庁で聞く話に特別な価値があるかは一定の疑問があるため、他にも東京では幾つかの研究機関や別のアレンジメントも推薦しておいた。最終的にどこになるかは生徒や大使館の決定になるが私もできるだけ貢献したい。
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