Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2013年04月

「世界を知る力」を読んで

寺島実郎氏の「世界を知る力」を読んだ。アメリカを通じてしか世界を見るのではなく、世界中に散らばるネットワークの視点から世界を学ぶべきという主旨に強く賛同する。この点はこのブログにも当てはまる。私の大学移行の教育や現在の職場の影響からか、このブログはその多くのエントリーでアメリカ中心の見方をしている部分が多いため、自省すべき点である。

また、寺島氏の豊富な海外経験がとても上手く語られており、読んでいて楽しい。特に我々にとって限られた情報しかない中東での体験談など有益な情報も多い。それらを読んでいて思い出したのが私の高校時代。当時はシドニー・シェルダンの作品に感化され海外渡航を夢見るようになり、和書では柘植久慶氏の作品にも影響を受け、少しずつ国際安全保障問題に目を向けるようになった。特に、「カタンガ」などという言葉を初めて見て驚いたのを覚えている。

ゼロ・ダーク・サーティ

金曜日の夜は自宅で映画鑑賞。今回観たのは前からずっと気になっていた「ゼロ・ダーク・サーティ」。ビンラディン殺害作戦までの成り行きを一人の女性諜報エージェントの視点から捉えた優秀な映画である。興味のある方は是非観て欲しい。

多くの戦争映画では女性からの視点は埋没しがちだが、これはまさにそれを上手く克服し、更にとても良い効果を出していると思え、その点を特に評価する。ここ数年のアフガン戦争やイラク戦争に関して映画化されていない作戦は多い。今後もこの種の映画が増えることを期待する。

来年は台湾と日本!

来年の海外出張の行き先は台湾と日本に内定した。理由は幾つかあるが、アメリカにとっての台湾の大切さと、今後の東シナ海、南シナ海の状況を考えると訪問するにはいい機会になると思う。

それでも授業では朝鮮半島の政治経済には数時間かける予定。

ばうーん。

ヒッカムと横田基地

IMAG0436先月の海外出張で得た新しい経験の一つに、いくつかの米軍基地のホテルに泊まるというのがあった。普段からしていることなのだが、今回は仕事で必要上そうだった。

行きはハワイのヒッカム空軍基地のロッヂ。ホノルル国際空港からバスで5分の場所に位置しとても便利だった。

左の写真にあるように、簡単なスイートになっており、キッチンからソファーのセット、そして別にベッドルームが用意されている。一人では十分過ぎるくらい大きな部屋だった。

ロッヂの前には2台のバンが我々のために用意されており、ワイキキ方面など行く際に自由に使うことができた。

IMAG0478今回は別に東京の横田基地にも宿泊した。

東京港区から高速で1時間ほど。その日は一日中基地内の部隊で色々ブリーフィングを受けたあと、ようやくチェックイン。

ここも素晴らしいサイズのスイートで、キッチン完備、風呂場もしっかりサービスされており、とても満足のゆく経験になった。

また、電気のコンセントは基本的にはそのままアメリカのが使用されている。恐らく日本のも可能ではないかと思う。

ただ一般的に部屋の内装は日本ではなくアメリカ風の造りになっている。

基地の外に出て数分歩くと駅前通があり西友やコンビニ、そして英語で書かれたレストランなどが並んでいる。

アジア政策担当者の入れ替わり

ペンタゴンにおけるアジア政策のトップに大きな変化が。リパート国防次官補(アジア太平洋担当)はヘーゲル国防長官の参謀長に就任し、ピーター・ラボイ国防次官補代理がしばらくの間アジア太平洋問題を担当することになるという。

リパート氏のヘーゲル氏との関係や過去の経験を考えると特に驚くべき変化ではないが、ピボットを売り出している真っ最中のこの時期にこの変化とは少し意外である。政策は今後も継続するであろうが、アジア太平洋諸国の反応を考える場合、そして今後の政策の効果を考慮する場合、少し微妙な人事でもある。

一方で、ラボイ氏の専門性、経験、ネットワークなど多くを考慮する場合、今後の期待を十分持てる人事であるとも言える。ヘーゲル氏がペンタゴン入りして数週間、いずれ変化を起こすなら早いうちが良いという見方も出来る。

東南アジアの講義

今回の講義も上手く行った。前回とは違いソロだったので緊張も増したが、例年に比べ講義の質も向上したのを実感した。

翌日の講義は隣の州のフォート・ベニング基地で司令官をするマクマスター少将。ここ数年は非対称戦争、非通常戦争の分野で名を馳せた有名な陸軍将軍である。話の内容も経験と幅広い知識に基づき素晴らしいものだった。

明日は自宅にて仕事。ここ最近暖かくなってきたので、数日後にはフロリダの海軍基地で休暇を取る予定。

明日の講義と防衛大での講義

ボストンでの混乱が続く中、明日の講義の準備は進む。今回はトルコ空軍の戦争大学の校長含む将校数名が、我が大学のハンソン少将と共に私の講義を聴きに来るというから準備も念入りになる。内容は東南アジアの政治経済と軍事問題。

6月の帰国時に防衛大学にて講義を機会を頂けそうだ。将来の日本を護る若者に少しでも良い影響を与えられればと思う。

仕事の合間に…

引越しの片付けもようやく収まってきたこの頃。金曜日は比較的楽な仕事の日で、午前中に仕事を大体終わらせ午後は第42航空団に赴き事務を片付ける。

土曜日はバーミンガムへ1時間のドライブ。軽くショッピングをしてからお気に入りのスタバでしばし休憩。ここは景色がとても良く、コーヒー一杯でゆっくりするのが最適の場所。その後は近くの日本食材店で買い物をしてから帰宅。

海外出張のまとめ(韓国・日本)

0V4E0519忘れる前に今回の海外出張のことを書き留めたいと思う。適当に写真を貼るのでそれに説明をする形で。

この写真は今回使った軍用機の内部。我々を運ぶため、わざわざカリフォルニアの基地から飛んできた。写真は新聞を読んで時間をつぶしている様子。

勤務地の基地からハワイまでは8時間ほど。ハワイから韓国の鳥山空軍基地までは更に9時間。数名のクルーが交代で任務にあたっていた。1日だけだったが我々もハワイで一泊できて良かった。

韓国に到着すると翌日の日曜日は予定の軽い日だった。韓国の戦争博物館に赴いてからはソウル中心部の神社内を探索。午後は自由時間で、去年訪れた明洞のビビンバの専門店で夕食を取った。

0V4E1237週末明けの月曜日からは多忙の毎日。国防省でブリーフィングを受けてそのままアメリカ大使館で大使と懇談し、地元の専門家を招聘してブリーフィングを受ける。

右の写真はDMZから見る北朝鮮。

別の機会にはソウル中心部の米軍基地にて米空軍、そして米陸軍の司令部から別々にブリーフィングを受ける。我々のためにわざわざ将校が時間を割いてくださった。

0V4E1500更に去年訪れた韓国政府の防衛研究機関、KIDAに赴き相手方の研究員数名と懇談(写真)。去年お会いした方と再会ができて嬉しかった。

韓国滞在中には去年訪れた別のレストランで食事を取ったり、頼まれていた買い物をしたり、自分で新しいレストランを開拓する時間もあった。

そしてソウルから東京へ飛び立つ。

東京でも大忙しの毎日だった。先日書いたとおり、滞在中は大使館から防衛省、外務省、航空自衛隊などを回り相手方の代表数名と懇談した。夜は大使館の駐在武官のホームパーティに招待され、寿司職人を呼び寄せ、日本の防衛関係の専門家の方々数名も招待し、生徒らと共に食事と夜景を楽しんだ。東京で滞在したホテルは東京高級地のど真ん中の米軍施設。

0V4E2128週末は日本の文化的側面を生徒に経験させるために新幹線に乗って京都へ。

京都風の料理屋で懐石料理を食べさせると興味深く味を楽しんでいた(写真)。料理屋内には別に日本庭園もあり、短い間だったが生徒達が楽しんでいた。

京都内でも過密のスケジュールだったため、バスの移動も慌しかったが最終的には上手く行った。普段の準備はほぼ全て生徒によるものだったが、京都の予定はほぼ全て私がした。

0V4E2310最後の写真は金閣寺にて。お寺の煙を頭につけるようジェスチャーをし、生徒に見せているところ。

日本の講義

昨日は毎年恒例の大講堂における講義を行った。内容は北東アジアの中の日本。同時に北朝鮮問題もついでに論じたので20分ほどしか日本のことについて話せなかったが、しっかり準備した結果自分では満足のゆく内容だった。

今回は私にとっては初めてのパネルとしての講義で、北朝鮮問題に関しては同僚のグリンター教授が行った。今年度で引退をする彼にとってはこの講義が最後の予定なので、今回は特別に academic dean からの紹介を受け、講義と質疑応答の後には大学校長自ら壇上に赴き彼に贈り物を渡すという、小さなおまけもついた。とても良かった。

来週の東南アジアの講義も私が担当している。次回は一人の講義なので念入りな準備が必要だ。
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