Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2013年05月

米国大学院学生会

今日も自宅にて勤務。数日前から日本の安全保障に関する論文を書き始め、日本語の文献にあたる毎日が続いている。来月日本に帰るときは和書の文献を多く探ってみたい。

去年の4月に載せて頂いた米国大学院学生会のニュースレターの次号に、私の小論文が掲載されます。アメリカ留学におけるインターンシップの重要性と役割について書きました。発行され次第、またここに連絡します。また、今夏も日本各地で留学説明会が行われるようなので、興味のある方はぜひご参加下さい。

追記:発行されたようです。

http://gakuiryugaku.net/newsletter_content/2013-05.pdf

シカゴへ

アメリカ政治学会の年次会に参加するためのシカゴ行きの切符を買った。最後に訪れたのは数年前で同じく政治学会に出席するためだった。限られた時間を使って学会会場を回り、シカゴ観光もできるだけしたのを覚えている。

今回は自分の発表の後は数日時間が取れそうなので、少し余裕を持って街を見ることができそうだ。

橋下氏の「米におわびしたい」?

連日報道されている橋下・日本維新の会共同代表の問題発言の一環で、アメリカ側に詫びる事を望んでいるとの記事があった。

これはあくまで私個人の意見だが、アメリカ政府、そして(今回の問題の焦点の一部になっている)米軍で数年働いてきた者として言えるのは、橋下氏のあまりにも大きな問題発言のために既にダメージは永遠に残り、お詫びを通して簡単に解決できるものではないことである。もしも今後本当に日本を代表し日米関係にインパクトを与えるようになるためには、今後数年間アメリカ側と緊密に交流し、過去の失敗を洗い流すような強い信頼関係を築くことである。

アメリカ政府、そして特に軍隊ではこの種の事後的な謝罪など特に重要視はしないはずである。私がこの記事を読んで思ったのは「おわび」という行為はあくまで日本のメディアや日本国民に対するパフォーマンスとしては有効であろうが、特に橋下氏のアメリカとの関係を急に改善するような力は持たないことである。謝罪をすることにより日本のメディアは一時的に満足するかもしれないが、海外のメディア、そしてアメリカ政府に対しては時間をかけて行動でもってその誠意を証明する必要があるだろう。来月予定されているアメリカ訪問に影響がでるのは必然であろうし、謝罪一つで否定的なインパクトを食い止めることもできないだろう。

とは言っても、国政を目指す橋下氏にまず必要なのは、外交問題の専門家を周りに付ける事である。国際感覚優れ、様々な外交問題を理解し、アメリカ政府の機能などを橋下氏にアドバイスできる人間のグループである。アメリカに対して言っていいこと、言って良くないこと等(問題の発端となった、日本の風俗に対する米軍の姿勢を含む)を予めこまめに伝えるエキスパートがいれば、この種の問題など最初から特に表面化することもなかっただろう。

今年度の卒業式を迎えて

昨日は早朝に校長のハンソン少将と会い日本とアメリカの橋渡しのお手伝い。その後は今年度の生徒のトラビスがオフィスを訪れ、3月の海外出張で撮った写真5枚を大きなパネルにしてプレゼントしてくれた。京都の二条城で撮った写真や、軍用機の中で仕事をしている模様のものなど。嬉しかったので早速5枚すべてオフィスの壁に飾った。

その後、同じく一緒に出張をしたマーティが卒業式を前にオフィスに立ち寄ってくれ、そのパネルを見せると驚くのと同時に喜んでいた。出張のハイライトのパネルは贈り物としてもとても良いアイデアだと思う。

翌日の今日は在宅勤務。最近日本の安全保障政策の新しい論文を始めたので、それを自宅の文献を用いて研究中。来月日本で講義する準備にもなるので、その時は自分の中の最新の情報と分析をシェアできると思う。

昨晩ネットで観たのがシリア内戦の最前線のドキュメンタリー。レポーターは相当の危険を犯して撮影している。流血のシーンもあり注意が必要だが、現行の紛争の両側から移した珍しくかつ大切な記録が残されている。興味のある方に。

http://www.pbs.org/wgbh/pages/frontline/syria-behind-the-lines/

アメリカは日本をどう見るか

アメリカは日本をどう見るか。

今夏帰省中に防衛大学校と慶應大学にて講義をするのだが、今回はこの問題に少し焦点を置いて話をしてみたい。日本の新聞やその他媒体を読めば邦訳されているアメリカ人による論文や、アメリカで数年過ごした日本人専門家の意見が書かれているが、ではアメリカ政府や米軍が日本の外交や安全保障政策をどう見ているかについては情報が比較的乏しい。この3年間米軍で教えて経験したことや感じたことを可能な限り伝え、将来の安全保障問題の専門家に役立つ講義をしたい。基本的に安保の面では情けないほどアメリカ側に擦り寄る日本の態度だが、アメリカ側は必ずしも日本をそうは見ておらず、より複雑で力動的な過程が存在する。

そこで読んでいるのが、Jeffrey Bader 氏の Obama and China's Rise。2011年まで2年間に渡りオバマ政権のアジア政策を担ってきた人物であり、政権を離れてから比較的早くこの本を出版している。タイトルから分かる通りこの本は日米関係を中心とするものではなく、著者本人も日本ではなくどちらかというと中国、米中関係の実務家である。従って日米関係に関する記述は比較的薄く、2章ほどしか直接割り当てられていないのだが、読む価値はある。

日米関係において日本が形式と建前にこだわる傾向があること、政権交代のあとはできるだけ早くアメリカを訪問し、その種の態度をアメリカ側にも期待することなど、一定の文化的側面の理解も伺える。他の章もしっかり読んで来年度の授業で使えるか考えてみたい。

グリンター教授の退官式

戦争ゲームの終わりに伴い行われたのが、国際安全保障学部教授で私の同僚、グリンター教授の退官式だった。43年にも渡る federal service、そして20年以上も私の大学で教鞭を取った。退官式はマックスウェル・クラブ(昔の Officers Club)で昼食会として開催され、60名ほどの関連者が参加した。

式は終始和やかな雰囲気で行われ、学部長のクリスがMCとして進めた。私はローレンスと共に学部のアジア問題を担当したのもあり、また彼から多くのことを学んだこともあり、式の途中で3分ほどスピーチをさせて頂いた。初めて会ったのが私の就職面接であったこと、そこの個別面接で励まされたこと、この3年間授業を共にやってきたこと、先日も National Security Forum で同じパネリストとしてアジア回帰の問題について講義をしたことなどを話し、最後は感謝の言葉で締めくくった。式の後には彼からも感謝され嬉しかった。

ローレンスの退官に伴い、今後は私の学部のアジア問題を担当するのは私のみになる。隣の戦略学部の連中と調和を合わせてこれからの戦争大学の成功を導きたい。

戦争ゲーム

今週は5日間全部使っての戦争ゲーム。特に機密事項を扱うというわけでもないのだが、会場は普段の大学校舎ではなく、米空軍戦争ゲーム研究所である。ここで朝早くからシナリオのブリーフィングが行われ、生徒達の益さサイズが数時間行われる。

今回はシナリオ作りにも直接関わり東アジア情勢に僅かながらも自分の考察を貢献することができた。より現実的なシナリオになったと思う。

毎日の終わりには生徒からの発表があるのだが、その発表とその後の質疑応答のやり取りから学ぶことは多い。そして世界における日本の役割や、日本に対する見方というのが直接的、間接的にも伝わってくる。この種の意見交換は日本のメディアでも取り扱われることがほとんどなく、貴重な情報である。将来の日本の安全保障や日米同盟の方向性には極めて有益な指針を示している。

戦争ゲーム、研究、そして芝植え

今年度の授業は終わり、残るは毎年この時期恒例の戦争ゲーム。去年と比べて今年はゲームのシナリオ作りの過程で幾つかアイデアを出し貢献することができた。

授業の準備がなくなった分、自分の研究に時間が割ける。と思っていたが今週末は天気に恵まれたのもあり、庭の手入れに数時間費やした。庭全体に芝を植える作業なのだが、これがこんなに大変なことだとは思いもしなかった。

ペンサコラの海軍航空隊基地にて

先週末はフロリダで休暇を過ごしてきた。目的地はペンサコラの海軍航空隊基地。去年の夏休みにもバケーションで訪れて気にいっていた。

3時間ほどのドライブをして基地に入り、前回と同じホテルにチェックイン。今回は海岸が見える素晴らしい部屋をもらった。夕方には部屋からこんな景色が見えた。

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今回は少し気温が低かったので今年初の海水浴は控えめにした。ただ先週で授業も終わり少しリラックスしたかったので基本的に部屋とビーチで過ごした。気分転換には持って来いの週末だった。

バトゥ洞窟にて

前回に続いて2年前の出張の模様。マレーシアの文化的側面の理解を促進するための一環として訪れたのがクアラルンプールから車で30分ほどのバトゥ洞窟。ヒンズー教を祭る洞窟である。

2009年にマレーシアを訪れた際、首都から車で3時間ほど離れた北部の町イポーに赴いた。そこで極楽洞と呼ばれる洞窟を訪れたのだが、その洞窟はヒンズー教ではなく、中華系であった。

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金色に輝く大きなヒンズー教の建物が我々を迎えてくれる。写真にある長い階段を上ってたどり着くのが洞窟の内部。その奥にはヒンズー教の寺院があり、ヒンズー教徒ではない人間もお祈りに参加することが可能になっている。下の写真の右側の男が私。この写真は2枚とも生徒が撮ってくれたもの。

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