Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2013年06月

防衛大学校での講義

IMAG05296月21日は防衛大学校にて講義を敢行。朝は5時に起床し30分後、家を出て電車に乗る。午前7時半過ぎに最寄の駅に到着。送迎車に乗り込み大学キャンパスに到着し、今回お世話になった方の教官室を訪問。準備はできていた。

8時半、講義を開始。内容はアメリカのアジア回帰とそれが日本に及ぼす意味合いだった。準備はしっかりしていたのもあり、また、過去に数回ここで講義をしていたこともあり、自信を持っていけた。学生は疲れや(外部からの若い講師を呼ぶにあたり)少しの安心感もあるのだろう、中々講義に集中し続けるのは大変だったろうが頑張って聴いてくれた。特に質疑応答の部分ではしっかりした質問が多くなされた。

その後はキャンパス内を簡単にツアーして頂き、左にある大学校のロゴを撮影した。「真勇」や「廉恥」は一般的かもしれないが、「礼節」がキーワードの一つであるのはある意味日本独特のものかもしれない。

IMAG0533その後は今回招待して下さった将校の方の執務室で歓談。昼食は大学から車で15分ほどのイタリア料理店、アクアマーレにて。美味しいシーフード・パスタを頂いた。

大学校に戻ると即2回目の講義を開始。講堂に向かって歩く際、昼の行進をしている学生グループを見かけたので撮影(右の写真)。授業では金曜日の午後とあり疲れているのだろう、頑張る学生に心から応援してしまう。予め用意していたスライドを使い1時間半で終了。質疑応答の時間でも良い反応をいくつも頂いた。

その後は前よりお世話になっている先生のゼミに赴き、今度は(実質的な)大学院のゼミで1時間半、最後の講義を行った。学生たちも自衛隊に入隊して数年の経験を持つ方々で、国際関係の理解も深く、彼らのレベルに合わせて授業を行うことができた。時間の配分は最初の30分でスライドを使って講義をし、残りの1時間を使って議論をするもので、内容の質が高く私の方も多くの事を学んだ。

IMAG0559その後は先生と一緒に早めの夕食を大学校内で取り、校内の売店でお土産を購入。買ったのは防衛大学校のトートバッグと写真にあるイチゴチョコレート。後日美味しく頂いた。その後帰宅。

体力的には多くを消耗したが、日本の防衛機関に直接貢献が出来て、また、将来の日本を護るべく大きな犠牲を払い自衛隊に尽くす、勇敢なリーダーらと共に学べ嬉しいことこの上ない。今回招待して下さった方々、また多くの事務面でサポートして下さった関係者に深く感謝している。

ハワイに到着

昨晩東京を出発し同日午前、ホノルルに到着。スムーズなフライトの後、空港からはタクシーで宿泊先の米軍保養施設へ。チェックインしてからすぐにワイキキに赴き、3ヶ月ぶりのカラカウア通りを歩きながらハワイの雰囲気を味わう。

午後、家族が休んでいる間を使ってホテルのレストランに赴いた。入場するのに軍隊の身分証明書が必要だった。そのまま席について初めてのマイタイを楽しんだ。

ここ数日

ただ今日本滞在中です。講義や研究や家族との約束で関東地方を走り回っております。停滞気味のブログの更新は今週後半から最活発化する予定です。

先週は防衛大学校での講義という貴重な経験ができました。明日は古巣の研究所で数時間過ごした後、慶應にて授業を担当します。それらについては後日ここにて記録を残します。

日本に帰国して

日本に戻ってきて1週間ほどが経過。時差ぼけも少しずつ治ってきた。ここ最近は家族と一緒に過ごし久しぶりに再会を楽しんでいる。

時間を見つけては買い物などをして過ごしている。昨日は日帰りだが鎌倉と江ノ島に旅行に行って来た。JRの北鎌倉駅で下車し最初は円覚寺。そしてあじさい寺を回り建長寺、鶴岡八幡宮をそれぞれ歩いた。鎌倉駅前の本店で鳩サブレーをお土産に購入、昼食は駅近くのレストランで地元名物のしらす丼を食べた。ボリュームも豊富で美味しかった。

その後は江ノ電で長谷で下車、観音を見て周り再び江ノ電に。江ノ島で今度は下車し江ノ島に向かって歩き、島を登る。頂上まで到着してからはタワーに乗って神奈川の綺麗な景色を一望した(天気はとても良かった)。その後はゆっくり歩いて下山し今度はモノレールに乗って大船へ。その後は電車で帰宅。楽しい一日だった。

進歩

今日、私のキャリアにおいて大きな進展があった。日本滞在中には家族や会う予定の友人たちに報告できそうで嬉しい。

弛まぬ努力は実るというというのは昔からこのブログのメッセージの一つだが、今回もそれが証明できたと思う。詳細は後ほど。

もうすぐ日本。防大や慶應での講義の合間に、最近始めた日本の安全保障の論文の研究をしなければならない。それでも何とか時間を見つけてプライベートでも楽しみたい。

オバマ・習近平会談後の日本の安全保障

先週末のオバマ・習近平の会談の詳細は今後少しずつ出てくるだろうが、現時点でまとめられる事は、協調できる分野を強調し、本来難しい問題は合意せず今後に持ち込みという、どちらかと言えば中国側が望んでいた結果が見えてくるという事である。中米訪問後にカリフォルニアに「寄る」形で実現した今回の会談は金曜夜から土曜日正午までという予想以上に短い時間で行われ、特に大きなアジェンダを形成したというよりも、オバマ・習近平両氏の個人的な関係を模索する、極めて基本的な内容だったと思えわれる。

もちろん、軍事協力や貿易、そして地球温暖化の面で良い会話ができたと書かれているが、肝心のサイバーの面では進歩がほとんど無かった様だ。結果として米中の間の不信の問題は今後も続き、少しずつ冷戦時の雰囲気が今度は米中間で形成されるのではないかと思える。

日本にとっては何を意味するのか。米中間で特に外交的なブレイクスルーが無かったといって特に東京にとって有益なことではない。日米同盟は今後も続くであろうし、日米中その他各国間の経済依存、日本の領土問題も存在し続け、アメリカが日中両国に自制を促し続ける姿勢も変わらないだろう。

ただ、サイバー問題の発展によっては米中関係が急速に悪化する可能性もある。今回の会談であったように、中国からのサイバー攻撃が米中貿易に与える影響、そしてアメリカ側のサイバー反撃の可能性を考えれば、米中間に置かれている日本の立場のより鮮明な説明が求められるかも知れない。現在の自民党の方向性は明らかだが、その政策が尖閣問題や日中貿易、そして北朝鮮問題に与える意味合いは今後も考えなくてはならない議題だと思う。

ハワイの予定

来月は1週間ほどハワイで休暇を取るのだが、宿泊するのは米軍保養施設。ワイキキビーチから徒歩10分ほどの一等地のホテルの部屋が、いい値段で、そして一年で最も忙しいはずの独立記念日の週に取れたのが嬉しい。

前回の出張でハワイに寄った際に泊まったのはヒッカム空軍基地。ホノルル国際空港の隣に位置し設備も整っているのだが、ワイキキからは車で片道40分ほど。今回は滞在中に何度か足を運ぶことになるだろうが、基本はワイキキにいる予定。

今回更に楽しみなのが、その保養施設で開かれるディナーショーの予約が取れた事。本場ハワイアンの名物らしい。前回は生徒数名が楽しんだ模様で、トリップアドバイザーでも評価が高い。

前回の出張で乗った飛行機のコックピットから見るオアフ島。
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これは滑走路に入る直前。凄い角度で右に曲がって方向の調整をしていた。着陸前の機内放送なども一切無し。機内の雰囲気とクルーとの会話で察知するしかない。着陸すると戦闘機や輸送機が多く見られたがその部分は写真撮影は禁止された。
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床屋

昨日は整髪のため始業前に基地の床屋に寄った。朝の8時過ぎには既に数名の軍人が待っていた。順番の券を取り自分も待つこと10数分、同僚のショーンが床屋に入ってきて、お互い挨拶。しばらくすると私の番が呼ばれ椅子に座る。

一回千円の基地の床屋はいつも早い。今回も10分ほどで終わり。ただ今回は今までで最高の出来。切ってくれたのは床屋マネージャーのマリアで、次回も頼もうと思う。ただ周囲の人がどう思うかは分からない。3月にあった大使館関係のレセプションでは日本人の方にスギちゃんに似ていると言われたし、もう何度かそう言われているからね。

Vali Nasr の The Dispensable Nation: American Foreign Policy in Retreat

9780385536479最近読んだのが Vali Nasr の The Dispensable Nation: American Foreign Policy in Retreat来年の授業で使おうかと思って図書館で借りてきたものだが、他の書評でもあるように面白い。国務省のアフガニスタン・パキスタン特別事務所で働いた著者のリチャード・ホルブルックやヒラリー・クリントン氏との関係、そして主点の一つであるホワイトハウスと当時の国務省の距離や温度差、そしてオバマのホワイトハウスがいかにして国務省を通さず南アジア政策を進めようとするかが良く書かれている。著者が携わった南アジアの政策や中東問題、そして中国の台頭などを例にあげ、今後のアメリカの政策における外交の中心性が強く伝わってくる。

ただこの本から得られるものはある意味中途半端なものなのかもしれない。質を求めれば、Nasr の考えに特別学問的価値のある見方があるわけでなく、専門家の著書としてはより多くの文献と情報を織り交ぜながら構成されるべきだったと思える。一方でより実務的な情報を求めれば(政権内の人間関係や力関係など)、それが詰まっているのは最初の数十ページのみで、パキスタンの章を越えるとその意味で有益な情報は激減する。また、Nasr の見解はあくまで国務省の南アジア事務所の視点から書かれており、アメリカ外交政策全体のバランスが失われており、結果として政策決定過程の全体的な構造は中々見えてこないのも弱点の一つだと思う。

シャーロック・ホームズ・シャドー・ゲーム

先週の卒業式以来、職場には静かな毎日が戻ってきた。休暇をとる同僚も既にいる。私も研究を一気に進め、日本帰国の準備も始めた。来週からは留学生の授業が始まるため、大学に活気が少し戻る。

今回の帰国では多くの和書にあたることになる。今注目しているのは日本の領土問題と、関連省庁の関係と政策。普段はほとんどはアメリカでの情報に頼っているため、今回はしっかりした文献にあたってみたい。

金曜日の夜に観たのは2011年公開のシャーロック・ホームズ・シャドー・ゲーム。面白かった。舞台もイギリスからフランス、ドイツ、スイスまで変わり話もポンポン進む。推理物語という一面もある一方、アクション系としても取れる部分もありある意味工夫されているとも言える。続編が楽しみだ。
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