Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2013年07月

テネシーから帰って

テネシーへの小旅行から無事帰宅。充実した三日間だった。

当日は車で3時間ほど北上すると最初の目的地であるチャタヌーガに到着。昼食は Cracker Barrel へ。内装もしかりだが、やはり南部独特の外観もサマになっている。レストランの隣は可愛いお土産屋さんになっている。ここでは牛肉のハンバーガーにホットケーキを食べた。
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その後は車でチャタヌーガの中心部に入り、チャタヌーガ・チュー・チューという昔の汽車がメインの観光名所へ。ここで電車を見たりお土産を見たりして、再び車に乗り込んだ。
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そこから2時間弱でノックスビルに到着。町西部で簡単に買い物をしてから更に東に向かい、その日の宿泊地にチェックイン。

前回のエントリーで書いたように、翌日はスモーキー・マウンテン国立公園へ。車を30分ほど走らせ展望台の駐車場に車を置き、 Laurel Falls という滝に向かって山道を歩くこと20分(1.3マイル)。今回はハイキング用のウェアもシューズもしっかり揃えていたので、予想以上にハードな山道も余裕で楽しむことができた。

その後は50分ほどドライブし、目的地の Cades Cove に到着。レンタルサイクルで全長11マイル(約18キロ!)のループを一回りするのに2時間かかった。園内の所々に野生動物が放牧されており、我々も自転車に乗りながら馬や鹿を近くで見ることができた。
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その日は疲れ切ってホテルで就寝。翌日はホテルをチェックアウトしてからノックスビルを目指して西に向かう。1時間ほどで到着。サンスフィアの塔からノックスビルの町を一望できる。
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最後はノックスビルの中心部、マーケットスクエアでの市場から。週末の朝ということもあり大混雑。市場には野菜の店やら小物の店などが並んでいた。我々はお土産に現地で取れたばかりのトウモロコシを買った。
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その後はアトランタを経由して自宅へ。帰り道は合計6時間ほどで帰宅時にはヘトヘトだった。

スモーキー山脈国立公園

今回の休暇で滞在しているのはテネシー州東部の町。今日は1日かけてスモーキー山脈国立公園を車で走った。

写真はその公園でも特に有名な、Cades Cove というところ。ここで自転車をレンタルし、2時間かけて2人で走った。文字通り山あり谷ありの連続で疲れきって、最後は美味しいアイスクリームで終わり。自然を思う存分楽しめて良かった。
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いざテネシーへ!

今週は後半から休みを取り、5時間かけてテネシー州までドライブ。スモーキー・マウンテンでリラックスしてきます。

写真は先日のハワイにて。ハレ・コアのビーチサイド・バー。
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モガディシオでの話

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職場の同僚は軍人生活が25年を越すのが多い。従ってありとあらゆる戦場の経験談を聞く機会がある。昨日はたまたま同僚教員のオフィスで生徒の個人面談をしていて、休憩の最中に壁にかかっているヘリコプターの絵の話をした。その絵にモガディシオを書いてあったので、彼に聞くと「ああそれはね」という感じで、かつて陸軍レンジャー部隊のユニットで一緒だったと簡単に答えていた。
 
その夜の食後、いつものように家でゆっくりテレビをつけていた。観ていたのはミリタリー・チャンネル(アメリカにはこういうのがある)の陸軍レンジャー部隊のドキュメンタリーだった。偶然、20年前のソマリア侵攻(米兵死者18名を出したモガディシオの戦闘)を報道していたのだが、突然、さっきまで一緒に話していた(20年前の)同僚がその戦闘の際のインタビューを受けていたのが映された。
 
まさかと驚いて調べてみると、彼は事実その作戦に参加し、一番最初のブラック・ホーク、スーパー64が墜落した場所の数十メートル先にいて作戦実行中だったということが分かった。彼は同時に別のヘリコプター(チョーク1)も指揮しており、無秩序極めるモガディシオという危険な場所で大変なミッションをこなしていたのが分かった。
 
なので今朝、彼のオフィスに行きその話しをすると彼本人が少し驚いていたが、その経験が書かれた本(マーク・ボウデンの「ブラック・ホーク・ダウン」、映画版はこちら)について少し語ってくれた。彼によるとその本の中身はほぼ真実に近いが、その中であまり良くないように叙述されているレンジャーとデルタ・フォースの関係は実はとても良かったらしい。その理由はデルタ隊員のほとんどが元レンジャーであり、2部隊の間の結束力は極めて強かっただからとのこと。

そしてその作戦は当時24歳だった彼にとってどうだったかと聞くと、「あれは与えられた任務をこなすだけだった」と素っ気なく言っていた。また、このモガディシオの戦闘の前には7度別の任務をソマリアで行っていたこと、当日は午後3時ごろの任務開始の約2時間前にインテル含むブリーフィングを初めて受け、その任務を理解したということ、そして当時は普段から普通にそのような状況を想定してのトレーニングを受けていたとのことである。
 
その後自分のオフィスに戻り、「ブラック・ホーク・ダウン」を手にとって見てみると、その同僚の名前が至る所に書いてあった。数年前に読了したこの本、また読まなくてはならないと思う。

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上の写真はここから。この戦闘が行われた日に撮影された唯一の写真で、私の同僚もこの一枚をオフィスに飾っている。

今回の選挙が外交にもたらす意味

今回の選挙における自公の圧勝、そして「ねじれ」の解消は誰もが予測する結果だったと思う。それが日本の外交と安保政策に与える意味は何なのだろうか。

まず考えられるのは日米同盟の強化、つまり日本の防衛をアメリカからの抑止に頼りつつ、自国の防衛力を向上させることである。憲法9条と集団的自衛権の議論が今後活発化し、96条を含め改憲を支持する力が国内で強まるだろう。在日米軍との結びつきも強化され、軍事訓練もより頻繁に行われるかもしれない。米韓関係があるため竹島の問題はともかく、尖閣においては中国に対し明確な路線を見せることになるだろう。ただそれはもちろん自民党側の思惑であるところも大きい。

アメリカ側は日米同盟の強化だけでなく、そして時にはそれ以上に、東アジア全体における安全保障面での安定を望んでいる。従って日本側に「引きずり込まれ」ないよう、できるだけバランスを取りながら自民党を折り合うことになるだろう。この流動的な背景において、オスプレイの問題や沖縄の基地問題などが交渉の一部として扱われることになる。今回の自公の圧勝は、日米同盟をある意味一方的に推し進める関係省庁の力を増強させる意味を持つため、必ずしも沖縄含む現地の方にとってはいい報ではないかもしれない。

韓国、そして特に中国にとってはねじれの解消は自民党の安保面におけるより強い政策を意味する。韓国や中国の政策エリートは個人レベルではもちろん、自民党政権の強化が必ずしも日本の右傾化を意味していないことは理解しているが、政治的にはそれが各々の国内における「政治カード」として前にも増して有効になることも理解している。従って今後我々が予測できるのは、韓国や中国が領土問題等で日本の右傾化「の問題」を挙げながら、日本の外交そして安保政策を牽制する動きが活発化するだろう。まずはもちろん、今後数時間のうちに各々の外務省を通して日本の右傾化を再懸念する声明を発表し、日本国内ではこぞって朝日・毎日系統のメディアが必要以上に大体的に報道するだろう。

一方で学問の世界では、日本における多くの外交・安保問題の専門家に取って喜ばしい結果になったと思う。先日、道下徳成・リチャード・サミュエルズ氏の共著論文を読んでいたのだが、2011年の調査で、日本の安保専門家の半分以上が日米同盟路線を支持していたと言う。実務の世界では、外務省のアメリカ・スクール、そして防衛省のアメリカ派の勢力は前にも増して元気づけられただろう。簡単にまとめると、今回の選挙はその同盟路線を強化する意味合いが最も強いことが認識できるのではないかと思う。

アンナ・カレーニナ

来月の政治学会のための論文が進んでいる。少し悩んでいた事例の部分の問題が解決できたので安心している。詳しくはバルカン半島の部分で悩んでいて、それを過去に書いたチェチェンの論文を使うとうまくフィットすることが分かった。

学会まではまだ1か月以上の準備期間があるのだが、立場上、学会を含む外部で研究作品を発表する場合、空軍の審査と許可が事前に必要になり、その許可を得るまでも2週間は見ておかなくてはならない。なので研究の内容に注意するのだけでなく、その準備期間の時間の問題もあるため、一定の時間の余裕をもって研究を仕上げなくてはならないのだ。

ようやく仕事の終わった金曜日の夜に観たのは映画のアンナ・カレーニナ。本のほうを10年以上前に大学で読んだだけだったので内容はすっかり飛んでいた。少し安っぽく思えるかもしれないスタジオの使い方など、映画としての問題点はあるかもしれないが、内容は文学にできるだけ近く表現されており、少しずつ思い出しながら楽しむことができた。キャストもキーナ・ナイトレーやジュード・ローなど豪華な俳優が集まっている。特にジュード・ローの演技は迫真で、その演技力に見とれ、正直映画が終わるまで本人だと気づかなかったほどである。

本の山

最近の睡眠不足が祟ったのか、今日は教授会の最中に腹痛になってしまった。幸い大きな問題ではないのだが、少し大事にする必要がありそうだ。

午後、大学の図書室に寄るともう使われていない新品同様の本の山が! 関連書物は我々研究者に取っては宝である。なので両手に入るだけ持ち帰ったらこんな感じになった。税金で買った多くの図書、大切に使わせて頂こう。自分のオフィスにて。

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来年は日本と台湾!

来年3月の海外出張は日本と台湾に決まった。まだ日数は分からないが台湾よりも日本滞在のほうが長くなる見込み。今度は京都への日帰りはあまり考えてはないので、別に訪れるべき場所があれば真剣に考えたい。

この北東アジアの授業では今後もアメリカ外交政策や朝鮮半島、アジアのサイバー問題、そして東南アジアとの関係も扱うが、焦点は日本と台中関係、そして東シナ海の問題に充てられることになるだろう。

ハワイの一週間

今回は日本で2週間過ごした後、家族と1週間ハワイで過ごした。今回泊まったのは米軍保養施設であるハレ・コア。ワイキキまで徒歩10分、アラモアナまで15分、米陸軍のフォート・デラシーに隣接する一等地に位置するこのホテルの予約が取れ幸いだった。ハレ・コアで日本人を見ることはまずないが、10分先のワイキキではその人口の半分が日本人ではないかと疑ってしまうほど日本人が多い。

到着当日はカラカウア通りのチーズケーキ・ファクトリーで昼食を取った後、ワイキキ・ビーチを散歩。時差の問題もあったので早めに就寝。

日曜日は車を借りて朝食後、ホテルから西に向かって爆走。最初の到着地はヒッカム基地。真珠湾攻撃でもターゲットになったこの基地を少しドライブしてから真珠湾へ。アリゾナ記念館、そして潜水艦のボウフィン号をツアーして回る。その後はヒッカムに戻り今度は海軍基地へ。そこで買い物を済ませ、今度は高速に乗って東に向かいダイアモンドヘッドへ。

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20年ぶりのダイアモンドヘッドの記憶はほとんど飛んでいたが、それでも思い出せる景色はあり、楽しむことができた。山登りは大変な場所もあったが、やはりみんなで一緒に山登りをすることに意義があり、家族と一緒に達成感を味わうことができてよかった。

翌日は買い物に出かけた後は午後からワイキキ・ビーチで久しぶりの海水浴。夜は予約しておいたハレ・コア・ルアウと呼ばれるポリネシアン風のディナーショーに参加。まず会場に入るとマイタイ等のカクテルを手渡され1時間ほどフラダンスやレイ(花)を作ったりとハワイの文化を楽しんだ。6時半ごろからは席に着席し夕食を楽しんだ。

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メインともいえるポリネシアのダンスもハワイからタヒチ、サモア、ニュージーランドのダンスまで幅広く、われわれ含む観客のノリもとても良い。最後はもちろん米軍人とその家族に対する感謝の気持ちの表現で締めくくられた。

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極めて完成度の高いルアウだと思った。初めて見る人にはほぼパーフェクトに近いパフォーマンスに正直言って度肝を抜かれるだろう。このルアウは米軍関係者以外には見るのが難しいが、機会があればぜひ試して欲しい。一人50ドルで最初のカクテルパーティ、夕食、そしてポリネシアンダンスのショーが3時間ほど楽しめる。他のホテルと比べてもとても良いディールだと思う。

翌日はワイキキ周辺のショッピングエリアを探索し、夜は Duke's Waikiki へ。ワイキキビーチに隣接するこのレストランは良い席が取れれば完璧の場所で、食事の中身もとても良い。ハワイのドリンクをオーダーしてからメインディッシュへ。ここのサラダバーはとても充実しておりそれだけでも立派な食事ができるほど。また、食事中にはレストランのバンドが一つ一つの席を回って演奏してくれ、サービス面でも満足が行く。

翌日は空港で家族に一時のお別れをしてから、一度ホテルに戻り、今度はタクシーでハナウマ湾へ。昼過ぎだったので入場するのに多少の行列があったがそれでも時間的には十分楽しめた。簡単なビデオ上映のあとは坂を下ってビーチへ。久しぶりにシュノーケルを装着し透明度の高い場所を探しながら泳いでいった。ビーチから海を見て左に近い部分ではサンゴもきれいで海水の透明度も比較的高く、やはりここ独特の「魚と一緒に泳ぐ」ということができた。もちろん、20年前と比べると環境の面での変化が感じられるが(当時は海につかった瞬間から魚が足の回りを泳いできていた)、家族旅行の一環としても楽しめた。

木曜日はアメリカでは独立記念日。日中はワイキキエリアを楽しんでから、夕方はビーチに面するホテルのバーでブルー・ハワイアンとハワイアン・パンチで乾杯。夕食にはラーメンをワイキキで取り、ホテルに戻る。日が沈むと、アラモアナで行われた大きな花火大会をホテル前のビーチで鑑賞。最中に流れている音楽もアメリカ国家を祝うものが多く、最後は国歌が流れていた。

短い時間だったが、家族との絆を大切に感じる、自分にとっては大きな意味で成長のできる良い休暇だった。ハワイという熱帯の場所を選んだのも正解だったと思う。ここ最近はキャリアの面でもいくつか進歩することができたので、今後も楽しい生活を送れるよう頑張りたい。

休暇を終えて

日本とハワイでの休暇を終え、今週から職場復帰。とは言っても知っている人は知っているだろうが、ここ国防総省では furlough と呼ばれる休暇が数回一時的に強制されている。なので仕事のペースに少しの支障が出るのだが、不満など言っていられない。

なぜかというと、来月の終わりにはシカゴでアメリカ政治学会が開催され、そこで論文を発表することになっているからだ。今回は進めてまだ間もない世界の文明と戦争の関係について研究しており、自分でも遣り甲斐のある仕事で楽しいのだが、決して簡単ではない題材である。なので他の論文と同時に進めながら自分に気合を入れている。

とは言っても、久しぶりのシカゴ訪問をとても楽しみにしている。今回は Willis Tower に上ったり、ミュージカルも観たいと思っている。友人と再会するのも楽しみだ。そして再来週には furlough を使って、世界遺産のスモーキー・マウンテンでハイキングをするためにテネシー州までドライブする。片道5時間ほどの長い距離だが、気分転換もかねて2泊3日の旅を楽しんでこようと思っている。
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