Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

2013年08月

シカゴにて

久しぶりのシカゴ滞在を楽しんでいる。

木曜日の朝は私のパネルの番だった。5時に起きてホテルでコーヒーを飲みながら自分のプレゼンの準備をこなした。今回のパネルは討論者がいなくなってしまったので、パネルのチェアと相談して非公式で私もほかの論文の感想も準備もしておいた。

パネルは時間通り8時に開始。トップバッターとして10分ほどで発表を済ませ、他のパネリストの発表も終えるとパネル・チェアから予想以上に強めの批判を頂いたが、結果としては非常に有益なコメントをだった。なので後ほど別の機会で会った時も、個人的に感謝の気持ちを伝えておいた。

発表後はホテルに戻り、着替えて徒歩で観光名所の Willis Tower へ。今回は私の米軍IDを見せると入場が無料になった(米軍関係者を優遇する事業は多く、これもその一つ)。30分ほど並びエレベーターで103階の展望台へ。そこで見た景色がこちら。

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とても面白いものだった。ミシガン湖にかかる雲がシカゴの摩天楼に入り込み一種の幻想的な景色を作り上げている。土産屋も充実しており、シカゴ観光の一環としてこの場は強く薦めることのできる場所だと思う。

その後はイタリアンの昼食を取り、ホテルに戻ってから学会会場へ。出版社の宣伝エリアで数分過ごしたのち、少し会議をこなした。その後は友人で、アメリカの大学院で博士号を取得した・取得間近の友人2人と近くの喫茶店で2時間ほど久しぶりの再会を楽しんだ。話は日本の学問の世界からアメリカ就職まで多岐に渡り、とても楽しく、私も多くを学んだ。今回会えなかったもう一人の友人とはまた近いうちに機会があるはずなのでその時をとても楽しみにしている。

7時半、私の母校であるペンのレセプションに出席。比較的小さめのレセプションだったが、元指導教官のエイブリーとワイングラスを傾けながら30分以上座って談笑する機会があったので嬉しかった。家族の話から仕事関係の話までしっかり伝えることができ良かった。9時半ごろホテルに戻り、長い一日を終えた。

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昨日飲んだ3杯のコーヒーで良く眠れず、少し腹も壊してしまったので翌日は遅めの開始。昼食のために地下鉄に乗り、家族のリクエストに応え、シカゴでも有名な Hot Doug's へ。このホットドッグ専門店は、公共交通手段があまり発達していない場所に位置しているので準備と注意が必要だが(周囲は必ずしも安全な場所ではない)、行ってみて良かった。我々が食べたのは普通のホットドッグ2つに、フォアグラのホットドッグ。一つ10ドルもするこの食べ物(写真中央)は予想以上に美味しくはなかったが、話のネタには十分なると思う。

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その後はホテルに戻り、再び学会会場へ赴き、予め連絡をさせて頂いていた日本人の教授の方と2人でお話をさせて頂いた。私の知らないアメリカの政治学の世界の話も聞かせて頂き少なくとも私にとっては貴重な時間だった。その後は大雨の中、ペンのブラウン・センターが主催するレセプションのため、The Gage に赴き、国際関係学関係者やペンの教授陣と後輩らと楽しい時間を過ごした。ペンを卒業して3年、私の可愛い後輩たちはもうしっかりとしたベテラン大学院生に成長しており、未だに私のことをしっかり覚えていてくれ嬉しかった。

彼らの成功を祈り、これまた後輩で今はピッツバーグ大学で教鞭を取るライアンと、今度は安全保障・軍縮学科のレセプションへ。ここでは前から知っている教授の方や自己紹介したいと思っていた若手研究者数名、大学出版会関係者との談笑を楽しんだ。時間も遅くなってきたのでそろそろお暇し、徒歩でホテルに戻り、就寝。

シカゴに到着

朝早く家を出て飛行機に乗り、6年ぶりにシカゴに到着。ホテルにチェックインを済ませ、午後から街中を歩きだした。まずは学会会場の一つであるヒルトン・シカゴで学会プログラムをもらう。

その後は中心部のハードロックカフェで遅めのランチ・夕食。その後は買い物をしながら Magnificent Mile を歩いた。

明日は朝8時から自分のパネルが始まるので、今夜は準備をして早めに就寝の予定。

シリアに備えよ2

シリア攻撃のタイミングは私の想像よりも早くなりそうだ。化学兵器を一般市民に使ったアサド政権に対するいわゆる「懲罰」としての攻撃との見方だが、それがこの内戦を止めるかは疑問が残る。注目すべきは今後の数週間、数か月でシリアの情勢がどう変わり、それに対して国際社会がどう反応するかであろう。

制限的な軍事攻撃の準備は整っているようだが、その戦争の中で最も大切な政治目的の定義が現時点でははっきりせず、アメリカ国内の世論、国際世論、そして欧州のパートナーとの協議を経て、攻撃の目的と手段がこの数日で決まることになるだろう。

シリアに備えよ

s_s05_RTX1105Uシリアの情勢が悪化している。これはいつも通り私個人の意見だが、次の戦争はシリアになる可能性が高くなってきた。今週から始まった国連査察団がシリア政府による化学兵器使用の証拠を見つけ、正式に発表する前にすでに、ケリー国務長官が強い声明を発表した。

今後はシリア介入を求めるフランスと、中々決めかねないアメリカが中心となり国連での決議を進め、おそらく一定の軍事侵攻の方向になるのではないかと私は見ている。このままのペースで進めば時間的に見てあと数か月か。

軍事介入が始めるまでの問題は多い。このサイト(要注意)で見れるように人道的問題は山積みである。すでに失われた命と財産は多く、戦後も国の再興までは数年を要する。アサド政権が窮地に立たされ、国際社会からの非難が増大し、オバマ政権のオプションが減るにつれ、戦争の可能性は高まる。

だが開戦までの政治問題も多い。国連安保理理事国であるロシアと中国の反対姿勢を崩すには時間と長い交渉と辛抱を要す。国連内外での説得と対シリア同盟網の建設にも多大なる政治・経済的資本が必要になる。アメリカ国内でも、ここ数か月で進んでいる軍事縮小の枠組みの中で、シリア介入の予算を計上する必要が生じ、健康保険やら経済問題を抱えながら、遥か彼方のシリアで戦争をする必要性をアメリカ国民に説得するには、相当の政治資本が必要である。

s_s15_RTX12EU7また、シリア国内の反乱軍の内部問題も深刻である。反乱軍同士の内部割れも報告されている通り、反乱軍内の指揮には多くの問題があり、西洋諸国との協力に大きな障害を起こしている。アルカイダと繋がるグループも存在し、国外勢力との活動には一定の限界もある。

軍事的な問題も様々である。アメリカ独自の軍事計画と並行させる形で北大西洋条約機構(NATO)を中心に同盟軍の形成と協議が進む。開戦の初期段階では恐らく国連軍の空爆が中心となりシリアが誇るロシア製対空ミサイルを破壊し、シリア国内の反乱軍と一定の協力をしながら、通常戦争の段階では介入軍に有利に働く可能性が高い。ただもちろん最も大きな問題の一つに地上軍の投入がある。10年前のイラクを繰り返さないよう、必要最小限の兵力でアサド政権の転覆と新政権の形成に努めるが、難しいのは兵力の数、種類、兵站、そして撤退のタイミングである。

これらの問題が全てではないだろうが、これらを解決するには相当の時間と政治力が必要になる。今後西洋諸国が軍事介入の方向に進むに連れ、日本へのある程度の役割も期待されることになる。国連内での協議の円滑化、アサド政権への外交・経済的的圧力、戦後復興の財政的役割など期待される可能性がある。憲法改正で揺れる安倍政権が今後シリア問題でどう出るかが、日本の外交・安保政策の大切な所となろう。

夕食会

昨晩は今年基地に来られている自衛隊員ご家族と一緒に夕食をとる機会があった。場所は寿司カフェ。頼んだちらし寿司も美味しく、家族同志6人でとても楽しい金曜日の夜を過ごすことができた。

今週末は採点の仕事が山盛りだ。担当している選択の授業の提出物が返ってきたので5ページの論文を10人分採点する。来週はシカゴに出発するのでそれまでには終わらせたい。
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