日本が関わる領土問題における日本外交の弱さはこのブログに何度も書いているが(例:在米民族グループの政治的役割)、6月12日にはそれを証明するかのようなイベントがワシントンで開かれるようである。日本海の呼称問題に関するイベントである。
A Workshop on the Naming of East Sea/Sea of Japan
がそれである。この「ワークショップ」は特に得体の知らない The Society for East Sea という団体が中心になって、ジョンズホプキンス大学ワシントン校(サイス)のキャンパスで開かれるようである。韓国によるロビー活動であるのはほぼ間違いない。しかもサイスという場所を考えれば、単に学問的なインパクトを狙ったものではなく、アメリカ議員やアメリカ政府、そして様々な国の大使館を通して世界の外交ルートに影響を及ぼす、日本の国益の視点から見れば非常にマイナスなイベントであることも間違いない。
参加者のリストを見れば、日本を代表する人間は一人も見当たらない。ワシントンには日本人の研究者もおり、日本の大使館には外交官が何人もいるのにも関わらずである。韓国からは大使級の代表が一人参加するようだが、日本の大使館は何をやっているのであろうか? この種のイベントや韓国のアピールによる既成事実の積み重ねは外交上は非常に有効なやり方で、今までは日本の主張が世界で通じていた日本海の呼称も、やがて韓国の言い分が更に強くなるようになろう。イベントのタイトルも、日本側が主張する「日本海」という名前よりも前に、韓国側が主張する「東海」という名前がきているのも、事実を知らずにイベントに参加する多くの人間にとっては重要な心理的効果を発するだろう。
これももちろん私個人の考えだが、日本の外交はまだまだやられている。そしてそれを覆すために必要な政策が十分取られていないのは明らかである。
2014年05月
ギャラップの調査によると、世界で最も幸せな国はパラグアイだそう。それに中南米の国々が続いている。調査対象の138国のうち日本は真ん中よりも上位に付けている。正直意外に思えるが、分からないわけでもない。
People Worldwide Are Reporting a Lot of Positive Emotions
アジアの上位はフィリピン、タイ、オーストラリア、台湾など。これは納得がいく。ちなみにアメリカは19位。
ジャパン・ビジネス・プレスに拙稿が掲載されました(国際関係学会に見る中国、サイバー問題、非対称戦争)。
題名から分かる通り、今回は3月下旬に開かれた国際関係学会での発表を元に感じたことを、学問と政策両方の視点から書きました。興味のある方はどうぞ。
題名から分かる通り、今回は3月下旬に開かれた国際関係学会での発表を元に感じたことを、学問と政策両方の視点から書きました。興味のある方はどうぞ。
金曜日は自衛隊の方々の歓送迎会に参加し、夜遅くまでみんなと夕食を楽しんだ。珍しく日付が変わってから就寝した。
翌日はゆっくり買い物に出かけて映画を借りてきた。今回観たのは The Monuments Men (邦題はミケランジェロ・プロジェクト)。批評家からの評価はあまり高くないようだが、キャストが充実しており、私の好きなヨーロッパ史と戦争のミックスだったので十分楽しめた。
翌日はゆっくり買い物に出かけて映画を借りてきた。今回観たのは The Monuments Men (邦題はミケランジェロ・プロジェクト)。批評家からの評価はあまり高くないようだが、キャストが充実しており、私の好きなヨーロッパ史と戦争のミックスだったので十分楽しめた。
10何年振りにウォルツの Man, the State, and War (邦訳は「人間・国家・戦争:国際政治の3つのイメージ」)を読んだ。来月発表する論文の中で使うのだが、久しぶりに数ページ読み返す機会があった。
思えばこの本は私が大学3年生の時に初めて読んだ一冊で、当時はす2・3週間ほどかけてチャレンジしたのだが、それでも自分一人では内容を理解することがほとんど出来なかったのを覚えている。大学院で再び読む機会があり、その段階で理解が深まった。
ただそれでもこの本で使われる英語は素人では簡単に理解できるレベルではない。国際政治学のある程度の知識と背景があれば難しいが、それはウォルツのもう一つの Theory of International Politics でもそうなのだが、使われる英語を理解するだけでも相当の時間とトレーニングを要する。一方で、国際関係学の分析レベルの習得のためには非常に有益な一冊である。
思えばこの本は私が大学3年生の時に初めて読んだ一冊で、当時はす2・3週間ほどかけてチャレンジしたのだが、それでも自分一人では内容を理解することがほとんど出来なかったのを覚えている。大学院で再び読む機会があり、その段階で理解が深まった。
ただそれでもこの本で使われる英語は素人では簡単に理解できるレベルではない。国際政治学のある程度の知識と背景があれば難しいが、それはウォルツのもう一つの Theory of International Politics でもそうなのだが、使われる英語を理解するだけでも相当の時間とトレーニングを要する。一方で、国際関係学の分析レベルの習得のためには非常に有益な一冊である。
今行っている日本外交の研究の一環で、先月出版されたケント・カルダー氏の Asia in Washington という本を読んでいる。アジアの国々がどうワシントンDCと絡んでいるかを歴史的に考察する一冊で、面白い。
興味深く感じる部分は多いが、その中でも特にワシントンにおけるアジア各国のパフォーマンスを評価する部分が私の研究に役立っている。
日本の外交機関は広い意味でワシントンではなくニューヨークに偏っており、それは中国や韓国の外交スタイルとは種を異にすると著者は論じる。また、日本の外交はワシントンではなく日本寄りであることが指摘されており、結果としてワシントンでのロビー活動が比較的薄いのではないかということが読み取れる。同時に、ワシントンに駐在する外交官の議会やホワイトハウス、他の政府機関との結びつきも疑問点が残る一方、ワシントンにおける日本に関連する企業、研究機関、そして学者ネットワークの手薄さも指摘されている。
アメリカにおける韓国ロビーの強さに関しては数か月前にも書いたが(参照:在米民族グループの政治的役割)、この一冊はそれを更に深く検証する分析と、日本人には中々伝わらない情報を持ち、日本の研究者にも広く読まれるべきだと思う。
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この研究は来月エジンバラで開かれるヨーロッパ政治学会で発表する。
興味深く感じる部分は多いが、その中でも特にワシントンにおけるアジア各国のパフォーマンスを評価する部分が私の研究に役立っている。
日本の外交機関は広い意味でワシントンではなくニューヨークに偏っており、それは中国や韓国の外交スタイルとは種を異にすると著者は論じる。また、日本の外交はワシントンではなく日本寄りであることが指摘されており、結果としてワシントンでのロビー活動が比較的薄いのではないかということが読み取れる。同時に、ワシントンに駐在する外交官の議会やホワイトハウス、他の政府機関との結びつきも疑問点が残る一方、ワシントンにおける日本に関連する企業、研究機関、そして学者ネットワークの手薄さも指摘されている。
アメリカにおける韓国ロビーの強さに関しては数か月前にも書いたが(参照:在米民族グループの政治的役割)、この一冊はそれを更に深く検証する分析と、日本人には中々伝わらない情報を持ち、日本の研究者にも広く読まれるべきだと思う。
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この研究は来月エジンバラで開かれるヨーロッパ政治学会で発表する。
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