2015年04月
空軍戦争大学の大講堂で今年度最後となるであろう、北東アジアの講義を行った。毎年恒例のこの講義はこれで通算3度目で、250名の佐官を相手に1時間近く話し、その後は質問に答えるというものである。録画もされ、記録として空軍に保管されるため、真剣にならざるを得ない大仕事である。
なので前回同様、その日は朝の3時半に起き、40ページほどのスライドを頭の中に叩きこみながら何度も練習をし、講義に備えた。
内容は去年の講義に近く、東アジアにおける相互経済依存から領土問題、朝鮮半島の状勢から台湾まで多岐に渡った。アジアで駐在しアメリカに戻ってくる学生の多くは日本よりも韓国での印象が強い傾向があり、その多くは北朝鮮問題や在韓米軍の基地のことに興味を持つ。従って私はより多くの時間を日本国内のに費やし、なぜ尖閣などの領土問題が起きるのか、自衛隊は何ができるのか、憲法の問題は何かなど、丁寧に説明した。また、日韓関係の問題なども解説した。
学生からの反応は良く、質疑応答の時間も韓国や台湾からの代表から質問をもらい、それに答えた。日本を含むアジア地域の政治や安全保障は誤解されやすい。それを解くためにもしっかり準備をし、丁寧に、そしてフェアに説明する必要がある。今回はそれが特に実践できて嬉しかった。
なので前回同様、その日は朝の3時半に起き、40ページほどのスライドを頭の中に叩きこみながら何度も練習をし、講義に備えた。
内容は去年の講義に近く、東アジアにおける相互経済依存から領土問題、朝鮮半島の状勢から台湾まで多岐に渡った。アジアで駐在しアメリカに戻ってくる学生の多くは日本よりも韓国での印象が強い傾向があり、その多くは北朝鮮問題や在韓米軍の基地のことに興味を持つ。従って私はより多くの時間を日本国内のに費やし、なぜ尖閣などの領土問題が起きるのか、自衛隊は何ができるのか、憲法の問題は何かなど、丁寧に説明した。また、日韓関係の問題なども解説した。
学生からの反応は良く、質疑応答の時間も韓国や台湾からの代表から質問をもらい、それに答えた。日本を含むアジア地域の政治や安全保障は誤解されやすい。それを解くためにもしっかり準備をし、丁寧に、そしてフェアに説明する必要がある。今回はそれが特に実践できて嬉しかった。
アマ・スカイ女史の The Unraveling を読了。
ここ10年ほどのイラクの軍事・政治的な側面をアメリカ側の視点から見た、とても良い本だった。
スカイ氏はイギリス出身の民間人で、イラクで作戦を行う米軍のトップレベルで働いた、珍しい経歴を持つ人間である。
話の内容も面白く、特に当時のメイビル大佐とオディエルノ陸軍大将との仕事がどう発展しどのような結末に辿り着くのか、という点が興味深かった。
ここ10年ほどのイラクの軍事・政治的な側面をアメリカ側の視点から見た、とても良い本だった。
スカイ氏はイギリス出身の民間人で、イラクで作戦を行う米軍のトップレベルで働いた、珍しい経歴を持つ人間である。
話の内容も面白く、特に当時のメイビル大佐とオディエルノ陸軍大将との仕事がどう発展しどのような結末に辿り着くのか、という点が興味深かった。
答えは8位タイの模様。
このサイトから。
図書館から借りて読んでいた、プレイム氏の Fair Game: My Life as a Spy, My Betrayal by the White House を読了。
バレリー・プレイムはアメリカ中央情報局の元秘密工作員として20年ほど過ごし、2006年の引退後にこの本を書いた。ページをめくって最初に気づくことは、センシティブな内容を多く含むため、CIAの厳しい検閲にあい、多くの文章にモザイクがかけられており、読み通すのが難しいことである。
しかし最後の部分で解説がしっかり書かれているので、それを見てから読み始めることもできる。私はそれに気づかず、モザイクの部分がどの単語を隠しているのか、プレイムはどこでどのような任務を行っていたのか、自分の頭で想像しながら読み通した。
内容は面白い。バージニアの the Farm での経験やギリシャでの諜報活動など話は多岐に渡り学ぶことも多い。
ただ最も大きな take-away point といえば恐らく、諜報員が政治に近付き過ぎると大きな問題が起こる、というものであろう。前述のとおり著者のキャリアは20年ほどでストップしている。Plamegate が無ければ恐らくより長いキャリアがあったはずで、結果としてこの本はCIAの政治問題に部分的にしか入ることができない、ある意味中途半端な内容を含んでいる。
より広く、しかも軍隊との関係なども叙述する内容を含む一冊として挙げられるのが、Robert Grenier 氏の 88 Days to Kandahar だろう。今読んでいる本の一冊である。Grenier 氏のことも、結果として政治に近付き過ぎると問題が起きる点を引き出すことができる。
バレリー・プレイムはアメリカ中央情報局の元秘密工作員として20年ほど過ごし、2006年の引退後にこの本を書いた。ページをめくって最初に気づくことは、センシティブな内容を多く含むため、CIAの厳しい検閲にあい、多くの文章にモザイクがかけられており、読み通すのが難しいことである。
しかし最後の部分で解説がしっかり書かれているので、それを見てから読み始めることもできる。私はそれに気づかず、モザイクの部分がどの単語を隠しているのか、プレイムはどこでどのような任務を行っていたのか、自分の頭で想像しながら読み通した。
内容は面白い。バージニアの the Farm での経験やギリシャでの諜報活動など話は多岐に渡り学ぶことも多い。
ただ最も大きな take-away point といえば恐らく、諜報員が政治に近付き過ぎると大きな問題が起こる、というものであろう。前述のとおり著者のキャリアは20年ほどでストップしている。Plamegate が無ければ恐らくより長いキャリアがあったはずで、結果としてこの本はCIAの政治問題に部分的にしか入ることができない、ある意味中途半端な内容を含んでいる。
より広く、しかも軍隊との関係なども叙述する内容を含む一冊として挙げられるのが、Robert Grenier 氏の 88 Days to Kandahar だろう。今読んでいる本の一冊である。Grenier 氏のことも、結果として政治に近付き過ぎると問題が起きる点を引き出すことができる。
今日は学部会議が開かれ、来週行われる北東アジアの授業に関する打合せが行われた。日本を含む北東アジアの授業は私の担当なので、資料やプレゼンなどの準備をしっかりこなし会議に出席した。私の学部の教員陣は民間の博士号取得者と軍人のミックスしたグループである。
今回は珍しく、私と別の教員の間で火花が散った。私はアジア担当の教官として、アメリカ政府の政策と戦略にとってできるだけ公平かつ効果的にに授業をこなすべく、日韓関係を含む様々な地域の問題をバランスよく、いつも通り説明した。
どうやらその内容が気に入らなかったのだろう。朝鮮半島での経験を豊富に持つ別の教員が発言し、日本の政策を一方的に攻撃する、極めて韓国寄りのコメントをまくし立てた。ここ最近の日韓関係の問題は歴史問題にしろ、安倍政権が一方的に問題ある行動をとっているからだという、定番の意見である。
ここで引き下がってはいけないと直感し、私は反撃した。こちらが言ったのは、単に一方的に韓国のみの視点で物を語っては進歩しないということ、ここ数年の間に日本に非があるなら韓国にも非があろうということ、そしてこの授業は単に一国の話ではなく、北東アジア地域全体のアメリカの国益の話をするべきだ、ということである。
彼は悟ったのか、引き下がった。
私はその後、学部全体にメールをし、彼の名前を使わずに、この大学でしっかり授業を行うためには、我々はより広い戦略的な視点で複雑な政治問題を語るべきだ。そして韓国など一方的な視点のみで物事を語るのではなく、あくまで何を生徒に伝えるべきかを考えながら授業をするべきだ、と同僚全員に伝えた。
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日本人は今まで国益が直接関わる大事な場面の多くで、不必要に妥協をし、不必要に正義を譲渡してきた。それは変えなくてはならない。それを信じて、今回の立場を取った。
同僚と異なる意見を持つことは自然だが、人前で同僚と戦うのは単純なことではない。今後の人間関係に響くのは理解している。しかし正しいことだと信じて行動を取れば、特に後悔することもなく、本来の自分でいられるはずである。
今回は珍しく、私と別の教員の間で火花が散った。私はアジア担当の教官として、アメリカ政府の政策と戦略にとってできるだけ公平かつ効果的にに授業をこなすべく、日韓関係を含む様々な地域の問題をバランスよく、いつも通り説明した。
どうやらその内容が気に入らなかったのだろう。朝鮮半島での経験を豊富に持つ別の教員が発言し、日本の政策を一方的に攻撃する、極めて韓国寄りのコメントをまくし立てた。ここ最近の日韓関係の問題は歴史問題にしろ、安倍政権が一方的に問題ある行動をとっているからだという、定番の意見である。
ここで引き下がってはいけないと直感し、私は反撃した。こちらが言ったのは、単に一方的に韓国のみの視点で物を語っては進歩しないということ、ここ数年の間に日本に非があるなら韓国にも非があろうということ、そしてこの授業は単に一国の話ではなく、北東アジア地域全体のアメリカの国益の話をするべきだ、ということである。
彼は悟ったのか、引き下がった。
私はその後、学部全体にメールをし、彼の名前を使わずに、この大学でしっかり授業を行うためには、我々はより広い戦略的な視点で複雑な政治問題を語るべきだ。そして韓国など一方的な視点のみで物事を語るのではなく、あくまで何を生徒に伝えるべきかを考えながら授業をするべきだ、と同僚全員に伝えた。
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日本人は今まで国益が直接関わる大事な場面の多くで、不必要に妥協をし、不必要に正義を譲渡してきた。それは変えなくてはならない。それを信じて、今回の立場を取った。
同僚と異なる意見を持つことは自然だが、人前で同僚と戦うのは単純なことではない。今後の人間関係に響くのは理解している。しかし正しいことだと信じて行動を取れば、特に後悔することもなく、本来の自分でいられるはずである。
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