Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2016年01月

東南アジアの思い出

アメリカ空軍戦争大学時代のアメリカ人の元生徒から連絡があった。今春で退役するという。私が期待したいた大佐だったため悲しい部分もあるが、良い思いでも一緒に作った。特にフィリピン、マレーシア、タイでの出張での印象が強い。

タイの空軍司令部にて、当時の学生たちと。5年前。
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マレーシア南部のポート・ディクソンにて。マラッカ海峡までは歩いていける。
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Arthur Ross Book Award にノミネート

15296先日連絡があり、今年の Arthur Ross Book Award私の本がノミネートされたらしい。

結果はどうであれ、それ自体が非常に名誉なこと。今進めている2冊目の本も認められるよう頑張ろう。

友人の大学訪問

来週、ポーランド出身の友人のボイテクを我が大学に招聘して講義をしてもらうことになった。彼はクラコウの大学で国際関係学を教えている。当日はヨーロッパにおける難民問題を中心に話をしてもらう。

彼とは4年ほど前の夏休みに、ジョンズホプキンズ大学のSAISが主催する安全保障教授法のワークショップで知り合った。それ以来連絡を取り続けている仲である。久々の再会を楽しみにしている。
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セントルイス大学の1818プログラムで教える

アメリカの多くの大学でもあるように、私の大学では、大学で通用する単位を出す高校の教師をトレーニングする過程がある。 日本の教育界には存在しない、Advanced Placement というシステムである。

1818 と呼ばれるこのプログラムは中々面白い。そのプログラムを受講する高校教諭が大学を訪れ、大学教授が教える授業を履修し、一定の成績を収めれば数ヶ月後に 1818 で教える権利を得るということである。

今回私に依頼が来て、その教授役をすることになった。私が担当する日は政治学を中心とした社会の先生を相手にする。トピックはテロリズム。英語では Global Terrorism and Insurgency: Causes and Consequences である。去年出版した自著を使ってビシビシ鍛えようと思っている。

カークウッドを探索する

金曜の夜は学部会議の後、若手同僚と飲みに行った。頻繁にはできないが、こういうのも中々よい。

翌日はセントルイス市内のカークウッド地域を探索した。繁華街には面白そうな店が結構ある。
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ここにはアムトラックの駅がある。中に入って少し見てみた。
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そして食材を買いに行く前に寄って休憩したのが、Great Harvest Bread Company。人気店であることがすぐに分かったのは、お客さんがひっきりなしに入ってきていたためである。コーヒーやマフィンを購入してリラックスした時間を過ごした。
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イェール大学での講演

0968ada33月にイェール大学の東アジア研究所で講演する。

今回の議題は日本の安全保障政策と軍事力。私の二冊目の本の研究発表になる。

このような機会を与えられてとても嬉しい。期待に応えるよう頑張ろう。ちなみにイェール大学への訪問は7年ぶりになるようだ。

日本の大学教育に関する一考察

日本の大学教育に関する、とても良い文章を読んだ。大学教育の主な問題点を指摘したあとで、いかにそれが政治、経済、行政、海外などと複雑につながっているかが分かる。

特に共鳴を覚える点は、文型大学教育の改革の一環で、

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文部科学省は、高大接続改革の議論を精力的に行っており、2015年8月に、課題発見・解決力養成を目指したアクティブ・ラーニング導入と高校教員の質と数の改善が必須との方向を示した。 また、知識・技能偏重、マルチプル・チョイス形式偏重の大学入試を改め、思考・判断・表現力を評価する記述式重視などの方針を打ち出した。
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という点。従来の「記憶」に頼る教育方法ではなく活発性と議論を中心とするアクティブ・ラーニングは賛成である。教員側にとってはどう採点すべきかが問題になるが、世界で成功する学生を育てるには必要なことである。また、私が提案したいと思うのは、授業中に先生が黒板に書いて生徒が書き写す時間を省くために、先生がその日の授業内容を全てパワーポイントで準備をしてゆくことである。それをベースに授業すれば、効率的に教えることができる。

また、

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文系教育への予算投入増、民間寄付増、授業料増などが必要となるが、大学=レジャーランドという何十年も前のステレオタイプが世の中には根強く残っており、日本の文系大学教育に対する投資拡大・負担増について関係者の理解を得られていない。

一方で、企業も寄付先として日本の文系大学をパッシングし、一部の優秀な高校生も文系大学をパッシングし、優秀な日本人教員・研究者も文系大学をパッシングし、米国の大学に行ってしまう動きが加速している。

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とも書かれている。最初の段落の点には共感を覚える。このステレオタイプを払拭するには相当の時間が必要だろうが、価値はあることだと感じる。メディアをうまく使い、文型でも大きく貢献できるというイメージを日本社会で立て直す必要がある。

2段落目の点。文型大学のパッシングは残念なことだが、理解はできる。また、日本の大学をパッシングし海外留学に挑戦したいと思う気持ちも理解できる。例えばアメリカに留学する日本人の数はここ20年で低下し続けているが、能力の高い人間が世界の最高峰を狙いたいと思うのは共鳴する。そして私はそういう人間を応援している。

私は特に海外に渡る日本人学生はマイナスだと感じていない。逆に、日本政府は海外で努力する人間を社会的にも財政的にもサポートするべきだと思っている。裕福な家の子供のみが留学できると思ったら大間違いである。中産階級からも多く、限られた予算を持って、厳しい競争のなか、奨学金を勝ち取って博士課程にチャレンジする生徒は何人もいる。彼ら・彼女らをサポートして将来国民に還元させるべくインセンティブを与えるべきだと思っている。そしてそれは日本の国益の一部であることに気付くべきである。

と、小さな異論はあれどとても良い考察であることは否定しない。次はぜひ総合的な分析を読んでみたい。

軍人への政治教育は今も続く

今学期教えているもうひとつのクラスが、大学院レベルの国際関係論である。4年生などの上級の学部生も許可を出して国際関係学で重要なトピックを教えている。このクラスは週に一度のゼミのようなものである。私の専門である国際安全保障だけでなく、国際経済、国際機構、アメリカの大戦略を教える日もある。

先週始まったそのゼミには13人の生徒がいるのだが、その中でも少なくとも3人が米軍に所属していることが分かった。それぞれ陸軍、海軍、そして海兵隊の幹部候補である。軍人だからといって特別扱いはもちろんしないが、こうして私の授業を取ってくれるのは嬉しいことである。

空軍を辞め、軍人への授業がなくなると覚悟していたがそうではなさそうだ。将来のアメリカの安全保障政策に携わる人間の教育に関わることは名誉なことだと思っているし、今後も色々な形で続けたい。

外の気温、そして積雪

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武田信玄と孫子の兵法

今学期は2つの授業を担当しているのだが、その中のひとつが「アメリカのアジア戦略」である。そこで使う教材のひとつに、孫子の兵法がある。

孫子の兵法に出てくる風林火山という概念は、武田信玄の話でも出てくる。昔、NHKの大河ドラマ「武田信玄」を観て以来覚えていた言葉だが、孫子を読み、元々は中国から来ていることを知った。

数ヶ月前に山梨を訪れた。甲府駅から北へ10分車で向かうと、信玄を祀った武田神社がある。この神社の中の資料館にも、風林火山が言及されている。
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武田神社から徒歩で約15分。目立たない民家に囲まれたところに武田信玄の墓がある。
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甲府駅南口の信玄。
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