Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2016年01月

防衛省近くにて

市ヶ谷駅を降りて防衛省の方向に向かう途中にあるビリケンさんの像。今の大学のマスコットということもありつい一枚撮ってしまった。この写真を生徒に見せたら興味深く見ていた。

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ガソリン値段の最安値@1ドル47セント

今月12日はガソリンの値段が安かった。1ガロンが1ドル47セントだった。

ある報道によればそのセントルイスでの値段が、アメリカ全土での最安値だったようだ。記録しておこう。

アメリカの軍人はトランプ候補に投票するか?

共和党候補レースの先を行くトランプ氏に、米軍のメンバーは投票するのだろうか? 共和党レース内では現時点で意見が分かれているため、どの候補に投票するのかは分からない。アイオワ、ニューハンプシャーでの予備選を経て徐々に明らかになろう。

トランプ「大統領」の下のアメリカは今よりもさらに悪くなるのではと感じられるため、教育を受けている軍人、特に将校ならばより冷静に考える可能性は高いと感じる。

しかし共和党の候補としてトランプが選ばれ、民主党候補との最終決戦を迎えるとき、私は米軍人の大半がトランプに投票するだろうと思っている。2012年のオバマ再選の時もそうであったように、アメリカの軍人票の多くは共和党に流れると感じる。選挙の専門家ではない分、自分が間違っていることを望んでいる部分もある。

先日、アメリカ軍に精通する自衛隊OBの方とも話していたのだが、私が米軍で見た限り、トランプのように非常に単純かつ極右的なイデオロギーを持つ軍人は予想以上に多い。私が相手をしていた上級佐官でそうであるのなら、ランクの低い下士官ならもっとそうであろうとも感じる。また、あまり前には出てこない退役軍人の中にも強烈な保守イデオロギーに基づく不満と感情を持つ者は多く、空軍戦争大学で彼らと仕事をしていて驚くような意見を聞くことがよくあった。そして大学の中には、それを容認する空気も十分ある。

そう考えられる背景は重要である。オバマ政権は予想以上に評判が悪く、先日の一般教書演説もより否定的に評価されている。アメリカの現状に不満を持つ、より名誉ある強い米軍、強いアメリカを求める中産階級の白人層の多くは、熟考したのち、悩むことなく共和党に入れるだろう。また、私がいた基地はアラバマという南部にあるため、より広く保守層の意見が反映されて私に映っていたのかもしれない。

アメリカの軍人の数はアメリカ総人口の1%に過ぎない。しかし彼らは1%以上の社会的支持、ステータス、そして予算を持っている。米軍の声が前に出るとき、そしてそれを直に反映するトランプが共和党に選ばれるとき、冷静な頭脳が予想もしなかった結果を導くかもしれない。

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セントルイスで和食を作る

ここセントルイスでも和食は人気の料理である。大きな町なので日本食レストランは数多くあり、和食も普通の生活で足りている。

ただ、自宅で用意する和食は最高だ。先日もある国会議員とお茶を飲んでいて、「和食はやっぱり旨い!」と盛り上がっていたところだった。

ということで、我が家でも作ってみた。今回試してみたのは、ぬか漬けと納豆。

両方ともよくできた。ぬか漬けはキュウリと茄と人参。塩味の効いた、温かいご飯に合う美味しい漬物ができた。納豆は数ヶ月前に手に入れた機械で作った。少しの納豆菌を機械に入れ、それを繁殖させる手法である。ネバネバもしっかり出ていて、味も日本の味だった。

積雪

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テキサスでの講演@サザン・メソディスト大学

来月11日に、ダラスのサザン・メソディスト大学のタワー・センターにて講演をします。

http://blog.smu.edu/towercenter/events/katagiri/

日本の軍事力について話します。翌日金曜日の、同志社大学の村田教授とシャピロ氏の講演にも参加します。当日現地にいる方で、興味のある方はぜひ参加して下さい。

タクシー運転手も避けて通れない「英語」の道

タクシーの運転手への英語教育。観光産業が経済の重要な部分を占めるようになる近い将来の日本には必要なことだと思う。2020年の東京オリンピックへの準備の一段階としても大切。この種のイニシアティブはもっと広まるべきだと思う。

タクシー運転手も避けて通れない「英語」の道
http://toyokeizai.net/articles/-/99714

雪降るセントルイス

セントルイスはこれから降雪の予報。しかしそれより気になるのが明日の気温。最高気温がマイナス7度で最低気温がマイナス12度。

家で暖かくしています。

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空軍を辞めて

空軍を辞めて半年が経つ。

辞表を提出する前に、家族と話し、自分の頭の中で整理をし、得るものは得る、失うものは失うと覚悟を決めていたため、後悔もしていない。むしろ新しい生活が始まり、新しい職場で新しい同僚に迎え入れられ、楽しい毎日を過ごしている。もちろん、どこで働こうが完璧な場所はないように、今のところもプラスとマイナスがある。しかし、この選択をして良かったと思っている。

空軍を辞めることを決めたあたりの時に、航空自衛隊のある人に連絡を取り、その旨を伝えた。彼は立場上は私がマックスウェル空軍基地で担当した学生になるのだが、彼の卒業後も個人的に連絡を取っており、私が帰国する際はほぼ毎回、総武線・山手線沿いの飲み屋でみんなで集まって、アラバマ時代のことを懐かしく話して楽しい時間を過ごす仲が続いている。その彼が私に言ったことは、

「一度決めた以上、後ろを振り向かず前に向かって突き進んで下さい」

である。それを読んだとき、こんなに素晴らしい方と知り合って本当に良かったと感じた。

今まさに、それをしている。空軍での経験は私にとって非常に良いものになった。そこから学んだことは大きい。私はそれを武器として自分をさらに磨くだけである。

Destiny and Power を読んで

ブッシュ元・大統領(父親の方)について書かれた Destiny and Power を読んでいる。幼少の時代の話から2016年までの伝記のような一冊だが、特に興味深いのはブッシュ前・大統領(息子の方)の政権内の力学に関するコメントである。

チェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官とはレーガン政権・ブッシュ(父)政権時に同僚・部下だった関係も、数年を経て変化し、彼らに対する見方も変化しているようだ。

特に、肝心のイラク戦争の背景で彼らに対する批判は強くなっている。その批判的な姿勢は理解できる。しかし私が少し違和感を持つのが、最終的な責任を持つ息子のブッシュに対してはイラクに関して批判的ではなく、逆にその姿勢を賞賛している。あの戦争をどう評価するかは特筆されていないが、実際それはするべきであり、もししていたのであれば、多少は違った結論と評価を導いていたのかも知れない。

1991年の湾岸戦争でのブッシュ父の采配を私は評価している。クウェート奪還を中心的な政治目的とし、バクダッドまで進行せずに限定的な軍事活動を成功させた当時のやり方には批判があるが、あの戦いは一度決めた政治目標に対して有効な軍事戦略を決め、それをしっかり履行した政権を私は評価している。

一方でブッシュの息子が行った2003年のイラク戦争は、正当化されていない政治目的(イラクの大量破壊兵器やアルカイダとの連携)の元、大して有功ではない軍事戦略を用いて多大な被害をもたらせた。1991年に勝利を収めたブッシュなら、2003年以降の息子の政策を評価することなど特に難しいことではないはずである。
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