Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2016年02月

週末はニューヨークで

今週末はニューヨークで過ごす。五年ぶりだろうか。今回も行きたい場所がいくつもあるので楽しみだ。

国際政治学会の会場変更(イスタンブル→)

先週末に突然、国際政治学会から連絡があり、今年の年次会の会場がトルコのイスタンブルから変更になるという。新しい開催地はまだ決まっておらず、ヨーロッパの都市から選ぶという。

私はトルコ訪問を楽しみにしていたが、ここ数週間の間に見られた治安の悪化(首都のアンカラやイスタンブル含む)、隣国シリアでの戦争の継続と難民問題、そしてトルコ国内の学問の自由の規制などがあり、学会参加予定者から懸念が出ていたのは想像がつく。私も特に治安の面で心配していたため、代わりの場所がどこになるかでも変わってくるが、ある程度安心している。

ちなみに2012年にスペインのマドリッドで開かれた年次会議は楽しかった。場所も良かったし、現地で休暇も取ったため家族でバルセロナを訪れたりして楽しい時間を過ごすことができた。

Asian Survey 誌に論文が掲載されました

cover-sourceAsian Survey の最新号に論文が掲載されました。

Strategy and Grand Strategy for the Future of Asia


無料のPDF版のコピーを送るので興味のある方はご連絡下さい。

比較政治の授業の代講

木曜日の朝は代講を頼まれたので9時半からの授業に勤しんだ。今回教えたのは比較政治の授業で、トピックは非民主主義レジームだった。

全体主義や権威主義などアジアの授業をしていても頻出する単語だが、それをより広義の比較政治の中で教えるのは中々刺激的な体験で、普段私の授業では多くは語らないエジプトやホンジュラスの例を出して論じる生徒を相手にするのは楽しかった。

授業の中ではいつもどおり、講義と学生による議論をミックスした。学生の中には去年私が教えた国際関係論の授業を取っていた生徒もおり教えやすかった。クラスの半分ほどの学生が発表してくれたので良かったほうかと感じる。

「I apologize for the state of American politics today」

私が日本出身の人間だと知ると、今のアメリカ政治を見てどう思うか、と聞いてくるアメリカ人は多い。ここ数ヶ月の間続いている「荒れた」大統領選挙戦に不甲斐なさを感じているためだろう。先日、テロの授業をした高校の社会科教諭と話していて、I apologize for the state of American politics today と言われた。

普段から謝罪の声を聞くこと自体があまりない国で、しかも自分に責任があるわけでもないのにも関わらずである。もちろん、心の底から謝罪しているわけでもないだろう。どちらかというと初めて会った日本出身の人間との会話を進めるための一言に近い。

ただ私もアメリカ生活十数年である。この大統領選挙戦よりも酷い政治を見ている。オバマの業績も正直言えば大したことがないのであまり比較されないが、2000-2008年のブッシュもかなり酷かった。不必要なイラク戦争から2007年からの財政危機。 今のアメリカ社会はその影響を未だに引きずっている。なのであまり気にしないようにと返事している。

今月の最高気温

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同僚宅での夕食会

金曜日の夜は、学部のアメリカ人の同僚と家族一緒の夕食会を開いた。セントルイスの中央部に位置する同僚の自宅に招待された。お土産に手作りの石鹸と月桂冠の梅酒を持っていったら喜んで、後者は夕食の最中に開けて飲み始めた。実際、美味しかった。

セントルイスに来て以来、空軍の時よりも家族ぐるみの付き合いは減っている。それは私の大学の環境が理由というわけではなく、ほぼ単純に軍隊では家族やグループでの社交の頻度が圧倒的に高いからである。

しかし私の学部は人間関係は非常に良い場所で、別のところであったら間違いなく喧嘩が起きていただろうと思える状況でも、驚くほど平和的に問題が解決されている。従って職場でのストレスはほとんどない。授業を別に考えれば、自分の研究を進める環境が職場にはしっかり用意されている。

そんな中でのこのような夕食会は良かった。我々ではほとんど行かない街の部分を見ることができたのも良かった。

「イスラム国」講演の依頼

セントルイスの国際問題評議会から講演の依頼を受けた。議題はイスラム国。私はこんな組織がここにあったとは知らなかった。しかし向こう側は私のことを知っている専門家(私はその人を知らない)から話を聞きつけ、私のCVや著書を見て依頼することを決めたという。

面白いものである。そしてこの種の依頼は空軍を辞めて民間の世界に戻ってきてから増えてきた。確かに空軍にいた時は比較的融通の利かないスケジュールや役職で自由が限られていたため、対外活動を自粛していたこともある。

ここ最近は日本を中心とする東アジアの安保問題を中心に研究を続けてきた。先週はサザン・メソディスト大学、そして来月はイェール大学で日本の安保問題について講演する。しかしテロや反乱軍の問題の研究も続けている。去年はサウスカロライナ大学で講演したし、偶然、今日はセントルイス大学で地元の高校教諭を相手にテロリズムの講義をする。

サザン・メソディスト大学を訪問して@ダラス

サザン・メソディスト大学タワー・センター兼政治学部の武内教授のお招きを受け、ダラスを訪問した。前回に続いて、今回は大学キャンパスの模様やイベント、ブッシュ大統領博物館などの様子を伝える。

まずは大学を歩いてみた。とても綺麗なキャンパスである。大き過ぎもなく、重要な建物には歩いていける。滞在したホテルが近くだったこともあり、キャンパスをたくさん歩いた。そして暖かい。この時期セントルイスは大雪で寒いのに、ダラスでは日中は半そで短パン、ビーチサンダルで歩いている学生を見かける。私が滞在したときには最高気温は22度まで達した。

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サザン・メソディスト大学のマスコットはマスタン(野生化した小型馬)である。私の大学のマスコットが戦いを挑んだら数秒のうちに返り討ちにあうだろう。

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大学施設は整っている。キャンパスの一部の建物はまだ新しい。これは学生センターの内部。

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今回の訪問の目的のひとつであった、研究発表。「日本の軍事力」と題したプレゼンを約45分こなし、質疑応答が20分ほどだった。15人ほどの方々が話を聞きにきてくれた。受けた質問も大切なものが多く、日本への関心の強さを実感することができた。忙しいところ時間を作って下さって感謝している。

発表の前には日本語を学んでいる学生からインタビューを受けた。日本を含む東アジアの情勢に精通していて感心した。

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翌日、ダラスのホテルで開かれた日米関係のシンポジウムに参加した。Japan Update と題されたこの会議には多くの日本人、アメリカ人が参加し交流を深めている。同志社大学の村田学長を含め、多くの専門家から大切な話を伺うことができた。この規模のシンポジウムは日米関係者にとっては非常に重要な機会であり、興味の強さを示している。今後はセントルイスでも少しずつ参加していきたい。

下の写真はシンポジウム会場の模様。

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滞在中には時間を見つけて、サザン・メソディスト大学に位置するジョージ・W・ブッシュ大統領の博物館を訪れた。博物館はちょうど良いサイズで、1時間ほどで重要なものを見ることができる。私にとっては大統領博物館を訪れるのは初めてのことで興味が沸いた。今後も少しずつ別の大統領のを見ていきたいと思う。

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ブッシュ前大統領の本の題名にもなった Decision Points。The Surge とは2007年以降のイラクにおける米軍の増員のことを意味する。

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ローラ・ブッシュ氏の貢献についても多く展示されている。

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また、小泉前首相がブッシュ大統領に送った弓矢も展示されている。

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これは執務室のレプリカ。大統領当時に使っていたものをそのまま再現している。
写真 2

最後は今回のテキサスお土産。

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ダラス市内の模様

サザン・メソディスト大学タワー・センター兼政治学部の武内教授のお招きを受け、ダラスを訪問した。まずはダラス市内の模様を伝えたい。次のエントリーではサザン・メソディスト大学でのイベントについて書く。

大学近くから地下鉄に乗り一路ダウンタウンへ。今回泊まったホテルから中心部までは約30分ほど。

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まずは腹ごしらえと、予め見つけていたアメリカ南部風のレストランを訪れた。左下のはグリッツ、メインディッシにはハッシュ・ブラウンとスクランブルエッグ、ソーセージなどである。場所は中々評価の高い Ellen's Southern Kitchen

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その後は観光地のひとつであるレユニオン・タワーに登った。そこから見るダラス中心部の景色は圧巻である。

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タワーを降りると、徒歩圏内にジョン・F・ケネディ殺害に使われたとされるビルが残されている。そこに向かって歩くと公園がある。

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そしてその向こうにある建物が、Six Floor Museum である。

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