Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

2016年12月

今年一年を振り返ると

今年一年を振り返ると、当然ながら様々なことがあった。今回は仕事がどう進んだかを考えてみる。

まず大学では国際関係学、アジアの政治、そして国際安全保障の授業を行い、自分の専門分野をいかして学生の教育に貢献することができた。大学では国際関係学の主要教員ということもあり、学部内外でそれに関する依頼などが増え、大学への貢献も増えてきている。

一方で研究の面では、2月に Asian Survey で米中関係の論文が掲載された。今年後半には別の専門誌からも論文合格の連絡を受け、今まさにその出版準備を行っている。アメリカ国内での研究発表でも成果を挙げることができた。2月にはサザン・メソディスト大(写真下)、3月にはイェール大、4月にはワシントン大、9月にはカリフォルニア大バークレー校で講演した。主に日本の防衛政策と防衛力の研究について話をした。それに加えて4月にはアメリカ中西部政治学会、そして9月にはアメリカ政治学会の年度学会でもアジア回帰の研究を発表した。

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夏休みを利用して訪れた東南アジアと日本では貴重な時間を過ごすことができた。短い期間だったがミャンマーを訪問したのは自分の中では大きい。ヤンゴンと首都ネピドーの移動も印象深い。この国は様々な面で発展の最中であり、注目に値する。投資や観光の機会も徐々に増えてきているが、多くの国内問題を抱えており、発展のペースはまだ遅い。また、ヤンゴンでは北朝鮮レストランを訪れ(写真下)ウェイトレスによるダンスショーを楽しむことができた。それに加えてシンガポールとインドネシアを歩いたのも良かった。

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日本を訪れた際は、航空自衛隊幹部学校の客員研究員としての名誉を頂いた。大切な機関からこうして招聘されるのは嬉しいことである。加えて3月より「治安フォーラム」誌に連載させて頂くことになり嬉しかった。8月には出版社を訪問してご挨拶させて頂いた。

また、今年3月からはアメリカ陸軍士官学校の近代戦争研究所の客員研究員となり、11月にはウエストポイントでの会議に出席した。年半ばにはワシントンのマンスフィールド財団の「日米次世代パブリック・インテレクチュアル・ネットワーク」のメンバーとして加わり、ワシントンやモンタナでの会議(写真下)に出席した。来月上旬にもマンスフィールド財団の会合でワシントンを訪れる。

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スタバのキャンペーン

アメリカのスタバではクリスマスから10日間に渡って、エスプレッソの無料キャンペーンを行っている。今日は買い物を済ませた後に偶然近くを通りかかったので、そのキャンペーンをしているスタバに入ってみた。

キャンペーンが始まる午後1時の店内の様子である。

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カウンターでオーダーしてみると本当に無料でくれた。右のが私がオーダーしたホワイト・チョコレート・モカ。こってりと、甘く、私の好みの味だった。

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1時10分ほどになると店内はキャンペーン利用客で満員になっていた。2時までは飲み放題なので何度もオーダーしている強者もいた。

そしてこれが今日のニューヨークタイムズ。安倍首相の真珠湾訪問が一面に出ていた。

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セントルイス美術館で戦前日本の美術特別展を観てきた

冬休みを利用して、セントルイス美術館を訪れた。ここ3ヶ月に渡って日本の戦前アートが特別出展されているからである。そのタイトルも Conflicts of Interest: Art and War in Modern Japan である。

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入館すると、クリスマスの装飾は最小限に抑えられながらも、趣味の良さが所々に出ていた。

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では特別展示場へ。中々広いスペースを贅沢に使っていた。

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掛け軸など多数に渡った。

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これは彫刻のセクションで、家族連れの訪問者が遊べるスペースになっている。私が小学・中学校時代に使った「やすり」なども展示されていた。

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今回のテーマは明治時代から戦前までの日本が国際社会でどう台頭し「自信」を強めていったか、というものらしい。そのため国際政治に関するものが多かった。これは日本がどうロシアを見ていたか、というもの。今回の日露サミットの結果も含めて参考になる。

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アメリカの船を沈めた時の模様。一般では中々観れない。ちなみに靖国神社の遊就館に関する記述もあった。

日本に関しては特に否定的には書かれておらず、今回の展示全体を見ても反日というイメージは全く無く、むしろ戦前日本の芸術をみんなで知ろう、という主旨を感じることができた。この特別展のスポンサーの中にはミズーリ州も名を連ねているため、州の税金が使われているのである。事実、アメリカ国民のほとんどはどちらかというと日本に対して良いイメージを持っており、反日教育を徹底する韓国と中国の見方とは大きく異なる。

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展示場の最後のセクションではこの通り。最後に「キモノ」を出して強い印象を残すという考えか。

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美術館の土産屋でも日本美術やアニメ系統のもので一杯だった。

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今年のクリスマスのご馳走

今年のクリスマスの我が家の料理はこちら。頑張ってくれた妻に感謝している。私はサポート役に徹した。サンクスギビングの際もうまく行ったが今回も素晴らしかった。一週間後のお節料理も楽しみだ。

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政治問題に対する「期待」の役割

政治問題に対する「期待」の役割は大きい。

私はトランプ新政権の運営を見ていて期待と言える期待はほとんどしていない。国務長官にノミネートされたティラーソンから国防長官のマティス、そして国家安全保障補佐官のフリンに関しても、あまりに多くの問題がこの時点で既に見え隠れしている。一見良さそうに見えるトランプの約束や声明も後になってみれば簡単に裏切られる可能性を高く感じている点もある。

しかし一方で、期待が低ければ低いほど、後になってそれほど悪くなかったと感じることになるかも知れない。もしもトランプが今考えられるほどプーチンに迎合せずに堂々とやり、サイバー攻撃も鎮圧され、中国に対してバランスを取り、そして中東問題も理想的な形で安定の方向に向かうのならば、4年後のトランプは本来値するよりも高く評価されるかもしれない。

逆も然りである。今年はヒラリー・クリントンに対する期待が高かった分、実際に大統領選挙で負けた時のショックは大きかった。私の同僚や元同僚で未だに不満を口にする者は多い。なにせアメリカのほとんどの学者とメディアが彼女の当選を予想し、期待していたからである。

日本も同様である。ここ数ヶ月の安倍政権の外交政策には大きな問題を感じている。先日述べた真珠湾訪問と対露政策もそうである。真珠湾訪問はまだ先だが、先日のプーチン訪日での日本の失態は数年前から修正していれば防ぐことができた分、大きく感じられた。北方領土返還への期待をあれほどメディアや専門家が高めた分、今回の結果に落胆した者は多かったのではないか。

プーチンのような政治家に経済協力に対する reciprocity を期待するほうが本来間違いなのにも関わらず、多くの日本人は政府のハイプに乗せられ、失望した。これは国際政治の力学に関する知識が日本国内であまりに浸透していない結果でもある。簡単に避けられた結果をまんまと引き起こしてしまったのである。

政策の成功を盲目的に期待する前に、より現実的な政策を出すよう、国民一丸となって再考する必要があると感じる。
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