Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

経歴・学術論文等はこちら:https://researchmap.jp/katagirinoriyuki

ツイッターはこちら @norikatagiri1。

執筆、講演等の仕事の依頼は nori.katagiri@slu.edu までお願いします。

研究者の方々へ、Global Studies Quarterly (https://academic.oup.com/isagsq) への寄稿を是非ご考慮下さい。副編集長として編集作業に携わっております。お気軽にお問い合わせください。日本の多くの大学がそうであるように、JUSTICE (https://contents.nii.ac.jp/justice) 所属大学の方々はオープンアクセス出版料金が免除されます。

2017年01月

トランプに対して日本が取るべき態度

トランプ大統領が金曜日に署名した大統領令により、7カ国からの難民に入国制限が果たされることになった。トランプが就任してから僅か一週間でアメリカはここまで混乱している。日本のメディアでは残念ながら報道が遅れているが、こちらでは数時間おきに大きなイベントが重なって起きており、アメリカ国民そして難民関連諸国を悪い意味で刺激している。

ブルックリンの連邦地裁は大統領令の無効を宣言しホワイトハウスとの対決姿勢を鮮明にした。アメリカ自由人権協会はトランプ政権に対して訴訟を起こし、セントルイスを含むアメリカの国際空港では多くの人がデモを行っている。弁護士をしている私のかつての教え子や知り合いも、空港やワシントンで影響を受けた難民のサポートを行っている。

この混乱の中、日本のリーダーシップと意見はどこにあるのか? 安倍政権がトランプ政権の明らかな人権侵害と国際法(1951年ジュネーブ条約及び1964年議定書)違反の可能性に一言も発していないのは、日米同盟の維持、そして日本経済の保持の視点から理解ができる。しかしあまりにも中身が薄すぎないだろうか? イギリスのメイ首相はトランプとの会談直後からこの入国制限政策を批判した。ドイツのメルケルも土曜日にトランプに電話をし、政策を改めるよう忠告した。両国のように同盟関係にある日本の首相がトランプに向かって正論を言えないのはあまりにも悲しく、情けない。他国の人権侵害等、国内問題には何も言わずに黙々と投資をし続け評判を悪くしている中国と重なって見える。

日本が世界の主要国として立ち続けるためには、世界の規範を侵害する行動は率先して批判をし、他国に例を示しつつ引っ張ってゆかなくてはならない。日本は世界でも有数の安定した民主主義国家である。このような時こそ立ち上がるべきである。トランプの報復を恐れ、日米同盟の殻に閉じこもり続ける日本では戦後レジームからの脱却はできない。

若手同僚との飲み会にて

週末は学部の若手同僚らで飲みに行った。学部会議の直後から始まったため、話した内容は学部内のことやら学生のこと、アメリカ各地の政治問題等。私の学部は国際関係学よりもアメリカ政治学のほうが人数が多いため、こうして専門外の人と話をするのも面白い。

20170127_173322

Sinocism China Newsletter に掲載さる

1月26日付の Sinocism China Newsletter に米中関係に関する最新の研究論文が言及されています。参考のため。

今学期の授業が始まった

一ヵ月半の冬休みを終え、セントルイス大学では今学期の授業が始まった。今年は国際関係学の入門コースと大学院コースを1つずつ教えている。どちらも専門分野なので最小限の準備ですむ。

授業では早速トランプ政権の外交政策と国際関係への影響などを話した。学生の興味はいきなり最高潮に達している。それもそのはず、この大学の学生はほとんどがリベラル系のため、トランプの大統領就任をかなり問題視しており、もうとにかく色んなことを話したいのである。

なので初日の授業でもいきなりトランプの外交政策に対する危惧をぶちまけ、いかにアメリカの国際的な立場が危うくなるかを説いていた。

トランプ政権への危惧は学生だけに留まらない。私の同僚の数人は、先週末 Women's March on Washington に参加するためワシントンに飛行機で行っていた。私の元教え子の多くもワシントンやニューヨーク、フィリーなどでデモに参加した。政治活動の重要性、そしてこの国の政治への熱心さに感心する。

セントルイス日本人学校の新年会に参加した

セントルイス日本人学校の新年会に参加した。我々が会場に着いたときにはすでに和太鼓の演奏が披露されており、観客席も満員だった。凄い熱気。

20170121_122849

餅つき大会もあった。胴衣と「必勝」のハチマキをつけてのパフォーマンス。我々はお雑煮と大根餅を購入してその場で食べて帰途に着いた。

20170121_132724

アメリカでは寿司がこうして売られている

今日、ウォルマートで見かけた販売品の寿司。

20170119_104702

トランプ政権の入閣メンバーで考慮すべきこと

先週のワシントン滞在中に、多くの政権利害関係者と話をする機会があった。オバマ政権内での重要人物との話も面白かったが、特に生産的だったのはトランプ政権に入閣すると噂されている人物との話だった。東アジア全体から台湾の専門家、朝鮮半島の専門家などアジアの各部分の担当として名が挙げられている人物と話をすると、さすがトランプ政権移行チームの感触が伝わってくる。例を挙げれば、先日ヒューストンで台湾の蔡総統と昼食を取った人間などである。

そして、そのような人物は特にワシントンで、日本の政府関係者や日本のメディア、シンクタンクの人間ともオフレコで頻繁に会合していることも分かった。そして特にメディアやシンクタンクの関係者はオフレコというルールを守り、この種の話は日本のメディアはおろか、英語の記事でも出ていない。公には明かさずとも、機密のケーブルで本社と連絡を取っていることは仮定する。

現時点では次期在京大使の名を除いて、政権内の日本担当の名があまり挙げられていない。理由はそもそもワシントンの共和党員で知日派というと数が限定されるからであり、そしてトランプ移行チームは財界の人間に注目しているため、今までのやり方とは異なるためである。もちろん、考慮される人間の間で重要なのは例のドキュメントにサインしたかどうかだが、結局のところサインをした人間に対する「禁止令」も1年持つかどうかの話である。ある方の話では、そのドキュメントにサインしたのにも関わらず既に入閣のオファーが入っている人もいるという。

私は今回、一般的にジャパン・ハンドとして知られている人の一人と直接話をし、その人物に入閣を強く勧めた。現時点では様々な理由で難しいとのことだが、移行チームとは連絡があり、基本的にはタイミングと契約内容の問題であると感じる。その人物は入閣に強い興味を持っているからである。

このブログの読者なら理解頂けると思うが、私はどちらかというとジャパン・ハンドと呼ばれる人物を含めて、外部から日本の国益をコントロールすると思われている人物に対して懐疑的である。このスタンスは米軍で数年過ごしたのにも関わらず維持している。にも関わらずなぜその個人に入閣を勧めたかというと、トランプ政権で一定のバランスを維持する必要があると強く感じているからである。

そしてここでは書かない別の理由も、ワシントン滞在中に実務に関わる方々数名に提言させて頂いた。社交の席でも私の提言は真剣であり、是非それを真剣に考慮して頂きたいと感じている。

Asian Security にて研究論文が出版されました

Asian Security にて研究論文が出版されました。

What democratization, trade expectations, and military power all mean for the future of Sino-American relations

研究の過程で台湾の国防大学、国立政治大学、そして2016年の中西部政治学会@シカゴで発表しました。

ご興味をある方はメールでコピーを送りますので (katagirin@slu.edu) までお気軽にご連絡下さい。

アメリカ議会を歩いて地下トロリーに乗ってみた

仕事の一環でアメリカ議会も訪れた。朝早い朝食会から始まり、午前中の大半は通商代表部や上院外交委員会からの代表者との会談だったが、短い時間を使って議会を歩くこともできた。

まずは上院外交委員会室にて。

20170113_102045

議会のツアーは地下から始まる。議会ビルを見上げて。

20170113_105618

200年ほど前に最高裁判所として使われていた場所

20170113_111050

議会を歩く我々一行。気分は観光客…というわけでもない。

20170113_111747

20170113_112527

今回は特別許可を得て議会のビルを結ぶ地下トロリーに乗った。写真撮影の許可も得ることができたため、ここに掲載するが、写真の無断転載は厳禁する。

20170113_105341

20170113_105437

20170113_105423

ワシントンを歩くと見かけるもの

先週は一週間丸々ワシントンで仕事をした。朝から晩まで歩き回るという、普段とは違う生活もたまには悪くない。今回のエントリーではワシントンを歩いて見たものを掲載する。

街を歩くと反トランプの広告が至る所に張られている。20日のトランプ大統領就任式でのデモも凄いだろうし、21日に行われる予定の Women's March on Washington も盛り上がるだろう。後者のラリーには私の同僚や友人も参加する予定である。

20170109_114304

ホテルから少し歩いてホワイト・ハウスの入り口まで行ってみた。政治的にセンシティブな時期ということもあり警備は厳しい。

20170112_154101

ラファイエット・スクエアからホワイトハウスの方向を見る。ホワイトハウスの前には右側にあるようなビルが一時的に建っており、就任式の準備のための工事が行われている。普段ならこの角度からホワイトハウスを見ることができる。

20170112_154349

デュポン・サークル近くの有名喫茶店・本屋「Kramerbooks and Afterwards」に6時過ぎに寄ってみると、偶然ブック・トークが行われていた。

20170110_183213(0)

この街で最も美味しいと紹介された寿司「小川」にて夕食を取った。

20170110_184421

上等の「おまかせ」コースをオーダーした。味も良く、もう15年も経つ友人との食事は更に良かった。

20170110_193620

20170110_195601
月別アーカイブ