Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2018年05月

テニュア獲得に際して

先日大学から、テニュア(終身雇用)を獲得したとの連絡が来た。テニュアはどの大学教授にとっても大きな名誉であり、素直に嬉しい。経済的な安定にもつながる、本人の家族にとっても大切な部分である。

私の場合は博士号を取得した直後はテニュアのない、政府の機関に就職したため、特に強く意識することはなかった。アメリカ政府の仕事は日本の官僚とも似ている部分があり、私の当時のポジションを含む、一定のレベルの職であれば事実上のテニュアが付いて来ることも理由の一つである。テニュアに関しては賛否両論があるが、米軍の戦争大学ではどのサービスであれ(陸海空)、よほどのことがない限りは終身雇用が続いている。詳細は述べないが、一定の不法行為を行った人間でさえも、クビになることはなく教授として仕事を続けることができるのである。

米軍を辞め、現在の民間大学に移ってからは私も多少はテニュアの審査について考えることがあったが、審査の内容を精査するうちに、心配する必要がほとんどないことに気付いた。家族はもちろん様々な面でサポートをしてくれた。それもあり、眠れない夜を過ごすこともなく、普段の仕事をし、適切にテニュアの審査を受け、普通に終身雇用のオファーを受け取った。

こう書くとテニュア獲得は簡単なのではないかと勘違いをさせてしまうので、改めて強調したい。このブログで数年前に書いていたように、ここまでたどり着くのはとても大変な道のりであり、アメリカの大学院から始めてテニュアを得るのは、博士課程に入学したうちのほんの数%の人間に過ぎないという点を忘れないで欲しい。

1.博士課程に奨学金付きで合格することの難しさ(数百人の応募者のうちのほんの数十名)

2.博士課程の授業をしっかりやっていく難しさ(入学者のうちの数名はここで脱落する)

3.博士課程の総合試験に合格する難しさ(この時点で入学者の半数がいなくなる場合もある)

4.博士論文を無事に完成させ、それをディフェンドする難しさ(入学者の半数は脱落している)

5.教授職に就職する難しさ(入学者のほんの数%)

6.就職し、研究を十分に出版し、しっかり授業とサービスをこなす難しさ

7.大学外からの専門家の推薦(手紙)を受け、大学内での審査に合格する難しさ

などを考えれば、もちろん運も関係するが、アメリカでやっていくための相当の努力が必要になることが分かる。私にとってはテニュアはキャリアの一部分でもあるが、大学教授としての大きな達成感を生み出す最高の機会の一つでもある。今後をこれを元に更なる発展をするよう毎日頑張り続けるのみである。

ノリッチ大学の平和戦争研究センターのプロジェクト

ノリッチ大学の平和戦争研究センターのプロジェクトに参加している。アメリカで教職に就く数人の北朝鮮専門家と一緒に紀要を書くものである。先日そのメンバー5名と初めて電話会議を行い、今後の予定と論文の内容の打ち合わせを行った。

電話会議とは中々面白いものだ。アメリカ国内でも時差があるため、会議開始の時間は各々異なる。ましてや今回はメンバーの一人がドバイにいたため、その人にとっては現地時間の深夜での会議となっていたようだ。

今後はこの論文を7月末までに完成させ、9月に学会を開き、来年前半には紀要として発表される見通しだ。

セントルイス日米協会のイベントで

セントルイス日米協会のご好意でイベントに家族で参加してきた。

会場は初めて訪れるピューリッツァー基金の美術館。セントルイスの公共施設のほとんどがそうであるように入場無料なのが嬉しい。

目的の講演会場に向かって美術館を歩く。
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まず目に付いたのがこれ。
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娘と一緒に会場で講演を聴く。
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その後は参加者に寿司が振舞われた。ミズーリ州日本名誉総領事のスティーブに色々な人を紹介してもらい、知り合いができた。同僚のモーガンも旦那のジェイムズと一緒に参加。楽しい時間を過ごすことができた。
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NPRの1Aから声がかかり

今週に入り突然連絡があり、NPRで毎日放送されている1Aの国際版にゲストとして出演してくれないかとの依頼が来た。残念ながら条件が合わず今回は見送ったが、相手方との話しを通して、アメリカの全国ラジオの世界の一片を少し見ることができて良かった。

ラジオを含むメディアへの出演は、学者としての評価には中々直接つながらないため、私の同僚たちの間でも特に高く評価されることはない。結局はどの研究をどう発表するかによるかである。

ただ、少しずつ時間が取れるようになれば様々な媒体で貢献したいと感じている。政治学や国際関係学の学会での研究発表はもちろんのこと、治安フォーラムでも連載を続けているのはそのためである。
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