Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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2020年07月

日本の鉄道の将来の変化@週刊エコノミスト

今週の週刊エコノミスト(7月28日版)の鉄道のレポートは、鉄道ファンにとっては悲しい内容だが、質の面では良かった。



特に、テレワークの拡大に伴う、(首都圏から離れた)郊外拠点駅の回復と、今後も予想される拡充は我々も知るべき大切な点。各会社の経営者には大変な時期だが、これをうまく利用すれば成功の鍵ともなるだろう。

合わせてこの記事も有益だ。



また、鉄道レポート直後にある、日本型労務管理の記事も良かった。著者(弁護士)の直接な物言い方は日本の勤労体制の現実と、それが海外企業からどう見えるのか、などの点を非常に分かりやすくさせている。

日本従来の年功主義が斬新主義に抵抗し、それがゆえんで日系企業は卒業するための「学校」として見られている部分など、非常にためになる視点だ。

秋学期の大学の授業の悲観論再び

ニューヨーク大ビジネススクールの教授による分析。秋学期の大学の授業の悲観論を述べている。



文中にあるワークシートでは興味深いデータを用い、アメリカの主要大学のサバイバル率を計算している。が、コメント欄にもあるように、データの不備の問題もあるかもしれない。

総じて、大学教育の専門家や個人の大学教員らの多くでは、秋学期の「開校」に関して悲観論が広まっており、警笛を鳴らす傾向が強い。一方で大学の運営側はビジネスの視点が強く、学内での強力な影響力を用いてコロナ肺炎の真っ只中に突入しようとしている。

消えつつある今回の「敵基地攻撃能力」の議論

イージス・アショアの話が消えた数週間前、それにとって変わる形で「敵基地攻撃能力」の話が再浮上した。日本が抑止力及び防衛力を高める意思があるのなら、その能力は確実に必要な要素である。数ヵ月後にオランダで出版される私の論文の中でも、その点を述べている。



が、恐らく無理だろう。敵基地攻撃能力の議論は戦後数十年の間、多少の形を変えてはいるが、基本的には同じ内容で与野党で何度も議論し、何度も失敗している。特に日本を取り巻く軍事環境がここ数か月で大きく変わったということもないため、日本国民への説得力も前と同じくらい乏しいものだろう。

下記のような議論は続けられるべきだが、ここ数日の間で、もう新聞でも週刊誌でも見ることがなくなってきた。


ATB Beautiful Worlds

このブログでも何度か出ている ATB。「Beautiful Worlds」というタイトルのこの曲は何度聴いても美しい。


アメリカの国際関係学の現実

アメリカの国際関係学の現実を正直に書いている、良い論文。是非読んで欲しい。



こういうのは大学院では教えてくれなかった。アメリカで国際関係学をする日本人は少ないため、この種の議論を一緒にできる同胞も少なく、残念に思うときもある。

日本人にとっても大切なリマインダー

コロナ感染が広まり始めた3月半ば、アメリカで流行ったイラスト。日本人にとっても大切なリマインダー。職場に行かずにできる仕事は予想以上に多い。

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同時に考えるべき点も多い。


秋学期の大学環境の予測

先日、アメリカの秋学期の大学環境に関するある予測が、以下の記事で行われていた。



この記事の主張に大きく賛同する。簡単に言えば、多くの大学長や理事らはビジネスの視点で大学を開校しようとするが、教員や学生への公共衛生的な影響を軽視しているとのこと。

このままゆけば、大学キャンパスにおけるコロナの感染拡大の悲劇から免れることは難しいだろう。

拙稿「コロナ肺炎で増加したサイバー攻撃」が治安フォーラムに掲載されました。

連載させている治安フォーラムの最新号に、拙稿「コロナ肺炎で増加したサイバー攻撃」が掲載されました。



本稿では、コロナ開始直後から増え始めたサイバー攻撃を中心に、アメリカ、オランダ、世界保健機関などへの攻撃について言及します。そしてなぜサイバー攻撃が増えたのか、日本には何を意味しているのか、などについて考察しました。

興味のある方は是非どうぞ。

バイデン大統領候補のパートナーは?

バイデン大統領候補のパートナーとして、オバマ政権時の重鎮スーザン・ライス氏の名が挙がっている。今回読んだこの論文は詳細に詳しく、著者はしっかり勉強されている。経歴を見ると私がワシントンにいた時期とも多少重なっている。



著者はあくまでライスを「急浮上」していると述べているだけであり、彼女が副大統領候補としてノミネートされるとは断言していない。しかし私はより懐疑的である。

ライス氏が著者の言う「経験」を持っているのは確かだが、その「経験」について話すのなら、ライス氏は2つの面で経験不足である。まずは彼女は出馬の経験がない。専門家であり政治家ではないのである。論文で指摘されている通り、バイデンが当選した場合でも一期で辞めるのなら、副大統領のライス氏が次の選挙に大統領候補として出馬するのだろうか? 相当の経験不足に悩まされるだろう。

もう一つは、内政経験の不足である。ライス氏は外交の専門家のため、外交の場で名を馳せてきたバイデンと重なる。ライス氏はアメリカの国内問題にどれほど精通しており、どのような政策を作り、そして最も大事な経済や人種差別問題にどう向き合ってゆくのか、単に不明であるだけでなく、今までの経験がほぼ皆無であるはずだ。経済や人種問題以外にも、国内犯罪、格差、中絶の議論など多くの問題を抱えている。

バイデンのパートナーに選ばれるのは私はカマラ・ハリス氏辺りだろうかと思っている。が、南部票をしっかり押さえ選挙人団で優勢に立つには、カリフォルニア州のハリスでも足りないかも知れないとも感じる。

ただ、私の予想は悲しくなるほど外れるので、あまり信じないで下さいw。

スパイ小説 Damascus Cover 読了

先日書いた、スパイ小説の Damascus Cover を読了。



色々細部を掘り下げてゆくと不明な点が出てくるが、それはほぼ全ての小説と一致する。一方で大らかな内容は単純なのでストーリーを追うのが難しくない。表現もストレートで、更に簡単な英語を使っているので、ネイティブ・スピーカーでも最初から最後まで読むことができる。

日本では映画版が放送されているようだが、小説を翻訳してもよいだろう。
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