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朝、いつも通りシブく学部に顔を出すと、今朝のニューヨークタイムズを読んだのか開口一番、「のり、日本はソマリアに派兵するんだって?」と言われた。

「ああ、けどあんな派兵の仕方は気に入らないんよ。」

そう、今月7日の勉強会でも少し触れたが(ブログには書いていない)、私が今回の政策に賛成できる部分は少ない。そしてまたいつもの通り、この派兵の是非に関する国内でのまともな議論が皆無なため、いとも簡単に法案が通り国際政治における「日本の普通化」を推し進める官僚の皆様の大勝利なのである。

そしてネットの新聞に目を通すと

「日本がインド洋で活動する理由 国際テロのない世界を目ざして?政府広報」

とある。私にはインド洋派遣に説得力のある主張はもはや見出せない。ただここで注目して欲しいのは、この政府の「広報」を宣伝している機関は産経でも讀賣でもなく朝日新聞だという事なのである。

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今日、学部の連中に「戦後日本は "militarily neutered" だ」と呼ばれた。「軍事的に去勢された」ですか。アメリカで13年間、日本の恥ずかしい事を幾度と言われ続けてきたけど、今回のは初耳だったよ。周りの同僚も驚いてたよ。ただもちろん、わが国の軍事はアジアを代表するだけの力がある一方、憲法は解釈の部分に頼るところが大きいため(そして大きくなってきている)、どちらかと言うと「政治的に去勢された」の方が近いとは思うけどね。ま、聞いた瞬間は納得してしまったよ。

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先日のその勉強会の後、秋葉原での打ち上げの最中にワシントン時代から色々お世話になっているWさんと話をしていて、「東海岸で日本外交政策の話を聞くたびにテンションが下がるんですよ。だから僕博論のトピックから日本外したんですよ」系の話題で少し盛り上がった。未だに「日本は安保政策面でもっと独立すべき」との理想論を熱く語る私は、Wさんの隣で話を聞いていた人にだが、「のりは日本人を買いかぶってるよ」とまで言われてしまった。私の見解と一般的な日本での安保観に大きなギャップがあるのは分かる、このブログでも何度も書いている通りにね。

ただ、一般の方々がどう思われようが構わないが、あたかも己の考えのみが正しいと勘違いし、日本国民にそれを数十年と垂れ流し信じさせ、血税を払わせ続けている極端に親米派の外交官の方々、私から見れば彼らの主張とワシントンの戦略にこそ、本当に大きなギャップがあるように思える。ワシントンにいる日本の高級官僚は東京にいる高級官僚とはその重要性が極端に違うのである。そして一般の日本人の方々は、彼らが日本で言う事にもう一度疑ってかかるべきなのである。ワシントンの連中の本音を聞けば一発で分かるよ。日本政治を専門にせず、従ってスポイルされていない、一般的な国際政治の専門家に話を聞いても一発で分かるよ。逆に今までなぜそのギャップが日本の国民にもっと強く、明確に伝わっていなかったのほうが興味深い問題だと思う。

untitled.bmp少し国際関係に興味のある方々が、次の駐日アメリカ大使の候補にジョセフ・ナイ(写真)が挙がっている事に興奮を覚えるのは理解ができる。ただ同時にご存知の通り、ナイ、駐インド大使の可能性も高いよ。そしてそちらの方が国務省内で重要な立場であるのは明らか。ナイの名が日本のメディアで挙がって1ヶ月経つ。調整の問題も当然あるけど、まだ決まらないのはなぜだと思う?

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写真上
http://img.timeinc.net/time/asia/magazine/2007/0305/jap_military.jpg

写真下
http://powerfulpeace.files.wordpress.com/2008/07/joseph-nye.jpg