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論文のドラフトを提出後、金曜日からはイラク戦争の章の執筆を開始。実質的には結論の章となるこの部分、数ヶ月時間をかけてゆっくり仕上げられる余裕がある。現在進行形の紛争であるため短絡的な分析を避けるよう注意して研究・執筆したい。

イラク戦争に関しては既に多くの専門書が書かれているが、その中でも数冊を厳選。今読んでいるのがコブラ2だが、自分のリストには他にも、

On Point
On Point II
The Gamble, Tom Ricks
The Iraq War, Williamson Murray and Robert Scales

などがある。

私の博士論文はここに書いてある通り、世界レベルにおける軍事史の長期パターンの比較分析に基づくものであり、歴史分析を元に、現代の一戦争を直接、タイムリーに分析することもできるが、残念ながらそれを主な目的としていない。その分このイラクの章は現実味をより強く感じられとても楽しい。



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新聞を読んでいると、近い将来また日米同盟のネタで盛り上がりそうである。日米同盟の再定義が日本側から提案され、アメリカ側もその考えに応じる姿勢でいるようである。日米関係の将来に関しては、オバマ政権からは既に何度も reassurance のシグナルが出されているのにも関わらず、今後のワシントンの東アジア政策があまりに不安に感じるのだろう、同盟関係を文書の上で何が何でも維持しようとする必死さがよく伝わってくる。

このブログの定期的な読者の方々はご存知のはずであるが、日本の安全保障政策の中心的役割を担っている意味でいう、極度の同盟依存論は大きな問題であると認識している。先月の防衛大学での経験もそうだったが(参照:防衛大での講義から学んだ事)、そしてもちろん、防衛大内部でのヘゲモニーは当然として否定するが、どこを見ても、同盟関係への依存心はあまりにも強く日本社会に根付いている。

そして今回の動向に関しても問題点は多い。

その中の一つを挙げると、一番下の読売の記事が強調するように、日米安保条約締結50周年という単純に記念的な意味で同盟戦略の在り方を考慮するという考え方は鳥肌ものである。同盟関係という重要な決断は、時間的な機会にコントロールされるべきものではなく、本来実在する軍事脅威に対等する政治知覚に基づくはずである。政府は50年前の冷戦期の戦略視点が今日の東アジアの軍事バランスにどう関係しているかを明確にし、それを我々に的確に説明し納得させる必要があると思う。そして一方で、なぜその考え方に対抗する姿勢を政治家や政治を専門とする学者が持たないのかも思う。

日米同盟、再確認の必要性示す 米国務次官補
http://www.asahi.com/politics/update/0717/TKY200907170219.html

米国務次官補と朝日新聞会見 要旨
http://www.asahi.com/politics/update/0717/TKY200907170418.html

日米安保50年に新文書…米国務次官補が意向表明
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090717-OYT1T01131.htm



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よくいくスタバで必ずかかっている曲。

Jason Mraz - I'm Yours [Official song]

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