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土曜夜、発表会から帰宅。

今回の発表会は人生でも限られるほど楽しい、自分のためになる大きな経験になった。

初日の金曜日は朝から政治学者と歴史学者が4人、一人ずつ交代で発表していった。友人のネギーンの発表は国際政治における核拡散の戦略に関わる、ゲーム理論を使った面白いものだった。午後は3人の新しい友人が発表。

夜は6時ごろから、ノースカロライナ大キャンパス近くのイタリアン・レストランにて参加者全員で夕食会。同じ立場の発表者や、今年の博士候補の目玉の一人であるポールやネギーンらと楽しい時間を過ごす事ができた。午後9時過ぎ、ホテルに到着。

翌日土曜の正午からは私の発表の出番。ホテルに到着するや否や準備を開始。先日我が学部で行った発表練習で後輩からもらった意見を元にパワーポイントを再構築しながら練習するのに時間がかかり、午前1時半、ようやく就寝。

土曜朝、4時起床。コーヒーを立て続けに3杯飲み、ひたすら発表の準備。30人ほどの観客を想像して、自分の部屋で一人で何度も何度も話し続ける。こんな隠れた猛練習など、ここに書かない限り誰も分からない。

午前9時、発表会の2日目が開始。今回新しく友人になったポールの発表はやはり高度なもので、恐らく今回一番質の高いものだったと思う。正午近く、私の出番が始まる。何度も練習していたのにも関わらず、最初の数分はなぜか緊張し、思っていた通りの口調で話せなかった。更に、予め準備していた結構重要なポイントもミスして話してしまい、少し後悔の残る発表になってしまった。更には、私の討議者の歴史学の教授からは非常に強い口調で研究内容を批判され、後ほど皆と話してみると、発表者7人の中でどうやら私が最も強く批評されたパネリストだったようである。

今回再び学んだことは、どんなに努力を重ね、人一倍頑張っても、その直後に結果が出ない場合があるという事である。私は自分が背負っている幾つかのハンディキャップを最小限に留めようと、他の人ができない努力を続けているが時にはそれがかなわない場合もある。ただ私のまだ短い人生の中で知っている事は、そんな努力も必ず後で返ってくるし、自分で気付かないかも知れないが、周りの人はそんな努力を密かに評価していたりするものでもある。

同時に実は、幾つかの進歩もあった。私を強く批判した教授には予想以上に上手く対応して質問に答えることができた。私もペンという素晴らしいプログラムの教授陣に質の高い教育とトレーニングを受けている。当然の事である。更に、前回後輩が助けてくれたこともあり、弱点だと思っていた質疑応答(30分間、参加者30人ほどを含む)の時間では予想以上に上手くできた。この博士論文はもう3度ほど公共の場で発表しているので、私が受ける質問にも幾つかのパターンがあるし、私もそれを想定して練習を続けている。これは少しずつだがそのうち、大きな自信に変わるだろう。

今回の発表会では新しい友人ができただけでなく、本当に多くのことを学んだ。実際に研究会やジョブトークに招待されるいわゆる本番では、今回よりももっと上手くやれるだろうという確信が、少しずつだが大きくなってゆくだろう。

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帰りの飛行機で同じだったポールとはいい友人関係が築けそうだ。将来のアメリカでの安全保障の研究の最先端を行くであろう彼と知り合え、そしてネギーンを含む、現在の我々の世代(年)のトップを走る優秀なみんなに一時的とは言え、追いつく事ができて嬉しく思う。

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http://www.pubpol.duke.edu/centers/tiss/programs/reports/nfreportsindex.php

このリストを見てみると、この発表会に参加した日本人の安全保障の研究者の名前は誰一人なかった。何度もここに書いている様に、私は世界に挑戦する日本人研究者の強いサポーターである。自分の名がここに初めて書かれることを誇りに思うのと同時に、これからも毎年のように、邦人が参加できるようになればと思う。