時は遡り、ウクライナのルボブからポーランドのクラコウへ向かう夜行バスの中。入国審査で数時間待たされ、パスポートがようやく戻ってきて一息ついていた。深夜、バス後部の座席でうとうとしかけていると突然、左方向の外からバスにめがけて投石が。窓ガラスが一枚バーンと大きく割れ、大音で起こされた乗客数名が少し騒ぎ始める。私の荷物にはガラスの破片が散らばった。バスは何事もなかったのかのようにそのままポーランドの闇の中を走り続けた。

午前2時ごろ、地図にも載っていない停車場で休憩中、私はバスを降りて窓を見に行った。大きな穴がポカッと空いていた。もちろん乗客も、運転手も、そして私も特に気にしない。10分ほどの休憩の後、バスに戻り、残り数時間の旅を続けた。

クラコウ駅前に到着したのは午前4時半。突然叩き起こされ、降車したのは私を含む3名。その人たちはすぐに闇夜に消えていった。道行く人はもういない。地図も持っていない。空腹と戦っていたがコンビニも見当たらない。そもそも特に「店」が見つからなかった。

仕方なく駅前のベンチに一人座って、その日の日記を書き始めた。