ノルマンディーの古戦場を歩き回った一日。それまで読んだ事しかなかった第二次世界大戦のフランス北部での経験を、実際に現地を訪れる事によって映像化できた事に感動していた。その地域の都市 Caen に帰ってからも興奮は収まらず、町全体を見下ろすケン城を見て、その美しさに感動して歩きながら、今回の旅が今後の自分の人生にどう影響するのか考えていた。
ケンの北に位置するウィストレアムに発着している、イギリス南部の都市、サウザンプトン行きの夜行フェリーに乗ったのはその日の深夜。バックパックの旅行中ということもあり、今回も一番安い席だったので、部屋もベッドを与えられず、文字通り船内で雑魚寝する事になった。大きな船の中の一般エリア、つまり他の人が歩いている場所に自分の「陣地」を確保し、そこで体を休めてどうにか夜を越すのである。
もちろんそんな場所でうまく寝れる訳がない。もはや「良い」席は他の人に占領されている。早々と諦め、荷物を持ってデッキに出た。夜の夏風を感じる。北上する船の右側に渡ると、ルアーブル港の夜景が見えた。
綺麗だった。