ap_plane_explosive_091225_mn今回のテロ未遂が示唆することを簡単に。

もちろんアメリカ国内には短期的な混乱をもたらし、空港のセキュリティは前より増して厳しくなる。セキュリティ強化のためには多くの予算が新たに投じられ、同時にアメリカ国民に対しては、テロリストに対する戦いはまだ終わっていない、今後もより多くの犠牲を強いられるとの、心理的な影響を強く及ぼす。テロ行為が未遂に終わっても、それが引き起こす連鎖反応のコストは、テロを防ぐ側にとって多大なものになる。

同時に、今回のテロ未遂は、テロ行為の多くは実は失敗に終わる、そしてテログループの多くは実はその政治目的を完遂することなく終わってしまうとの、少しずつだが広まり始めた概念を強化する役割を持つ。今読んでいるクローニンの著書(How Terrorism Ends)によると、政治目的を達成するテログループは全体の5%未満だという。ランド研究所のセス・ジョーンズによると、目的を完遂することなく終わるテロ組織は43%に上り、また警察や諜報により摘発される確立も40%を超えるという。仮に今回の事件の首謀者がアルカイダと(現時点で噂されているように:参照)何らかの関わりがあったとしても、その成功率は驚くほど低く、今回の未遂は逆に驚くべき事ではないのである。

そして今回、この逮捕劇が意味する事はいくつかある。まず今後の取調べにより彼の属する団体の計画、能力、サイズなどがアメリカ側に前より増して知られることになる。得られるインテリジェンスはテロ組織全体の氷山の一角に過ぎないだろうが、それでも重要な知識になる事は間違いない。また、今回の失敗により、テロ行為がいかに難しいかをテロ組織側に対して強く証明することになり、今後のテロ活動と計画が難しくなる一方、テロを防ぐ側にとっても少しずつだが自信になる。テロ組織側にとっては、今回どの程度のインテリジェンスがアメリカに流れるかを把握する事に時間がかかる一方、アメリカ側の対テロ諜報活動に今後力が加わるため、それに対する防衛案も必要になってくる。

テロ活動の成功とは統計的に稀なもので、そのトレンドは今後も続くであろう。そのトレンドは世界各地で展開される軍事活動とはある程度距離を置くものであり、従ってアフガニスタンなどで行われている軍事行為の有効性は、テロ防衛の枠組みの元で再考慮されるべき議題であると思う。同時に、アフガニスタンでの現状を今後も「対テロ活動」と呼ぶことは適切ではなく、対反乱軍戦争、もしくはまた別のラベルが必要になるのかも知れない。

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イメージ:Investigators: Northwest Bomb Plot Planned by al Qaeda in Yemen