アカデミー賞から今年9つのノミネートを受けた映画、The Hurt Locker を観た。舞台はイラク戦争真っ只中の2004年のバグダッド。主人公は米陸軍のEOD (Explosive Ordnance Disposal、爆発物処理) ユニットに配属されたチームリーダー。

内容はもちろん省くが、この映画の特徴は、戦争とはいえ政治からできるだけ切り離されたいわゆる「戦術」「作戦」レベルでの技術と人間観の精神的葛藤が細かく表現されていること。私にとっては興味のある題材だったし、当時のバグダッドの状況を間接的にだがより深く理解することができてよかった。ただ、爆発物処理班の人間がいきなりスナイパー役になったりと、少し映画ならではの独立性が許容されすぎていたのではないかとも思うが、結果として満足のゆく作品だった。

同じ「戦術」「作戦」レベルの戦争映画では例えば The Black Hawk Down も挙げられるが、この映画は人間関係さえも切り離された、ひたすら軍事面に焦点を置かれた作品であるため、比較的な視点からも、The Hurt Locker は良かったと思う。今後イラク戦争に関する映画がどう発展するのかは分からないが、現時点では must see として扱われるべき一本だと思う。

ふと、コロンビア時代からの友人のマイクを思い出した。彼はイラクのIED処理をトピックに博士論文を書いた。連絡してみよう。