今年のアメリカは大統領選挙の年ということもあってか、2-3年前と比べてアメリカ外交政策の議論が活発化しているように思える。

政治学者のペイプは「Why We Shouldn't Attack Syria (Yet)」と題した論文で緊張感(と死傷者の数が)高まるシリアへの軍事攻撃と人道的国際介入の必要性について否定的な見解を示したが、最後にある yet という言葉を考えればこれが単に現時点での見方というのは明らかである。

シリア介入のタイミングがより早くなるかも知れないとの可能性を強く示唆するのが、政治学者のバイマンの見解。「Finish Him」と題された論文の内容は題名よりもかなり弱いものだが、内容はともかく、その題名だけを読み内容を誤解したままシリア攻撃を容認する考えが広まり始めてしまうという大きな問題点がある。

そのシリアと戦略・作戦上深く関わっているのがイラン。先週書いた通り、アジア・太平洋へのアメリカの「ピボット」はオーストラリアやフィリピンなどへの多少の軍事的フォーカスとローテーションの強化を除いては、現時点ではより外交的な面が強いと私は見ている。

その主な原因の一つがイランであり、ランド研究所のジョーンズは「Al Qaeda in Iran」という論文で、イラン国内に存在するテロ・グループの役割を多角的に分析している。イラン、アルカイダ、そしてアメリカの3つのグループの変化しつつある力学の戦略・政策的意味合いを考えるのは学問的に興味深いだけでなく、今年一年のアメリカの外交政策を考える上で極めて重要なトピックであると思う。

ジョーンズの唱える「イラン国内のアルカイダ分子の存在を露呈する」、「イラン国内のアルカイダ分子の経済資源を減らすよう他国を奨励する」、そして「イランの核施設への攻撃を含む、イランとアルカイダの距離を縮めるような考えには注意を持って望む」という提言には、私は個人的に賛成する。先日書いたイランへの先制攻撃の議論は、イスラエルの安全保障問題とアメリカとの外交の背景を考慮する場合ある程度理解できるシナリオだが、実質的にはイラク戦争を導いた議論と同じ類の、現時点では少し先を急ぎすぎた見解だと思う。

読者の方々がどう思われているのかもとても興味深い。