私がこのブログにここ数ヶ月の日本の領土をめぐる問題に関して意見を述べない事に疑問を持つ人がいるかもしれない。それは意図的である。私の意見は特に規制されないが、中途半端な分析をここに載せるほど問題は簡単ではない。ただ言えるのは幾つかの細かい点を除いて、韓国・中国・台湾に対するここ数ヶ月の民主党の強気のスタンスを実は私は評価する。アメリカ重視の外交政策から独立国家としての健全な政策に向かうシフトの表れだと感じる。同時に、今後民主党が同盟国アメリカからの外圧(特に今回の国連総会)にどう反応するのか注目している。

また、これは私のコロンビア時代からの知り合いも言っているのだが、韓国・中国・台湾は海外のメディアや学問の世界を利用して英語で各々の国益を主張しているのに対し、日本人学者やコメンテーターは海外で英語を用いて発信する事はほとんどなく、単に日本国内での議論を高めているだけだとの見方に賛成する。日本国内で沸騰する感情は必ずしも海外では思うとおりに通用しない。例外は海外で発信し続ける数名の外交官だが、彼らの日本の国益の主張は一般から見て数が少なく、その交信の過程も不透明で、ほとんどの場合は韓国・中国・台湾の主張に対して物を言うだけの極めて防衛的な動きでしかない。外交で重要な戦略コミュニケーションの分野で、積極性が痛々しいほど足りないのである。また、今回の領土問題に直結しているはずの日本の安全保障分野の官庁からも、海外のメディアや政策サークルに対して強い主張が見られない。

これは単に日本人の英語能力の問題だけではない。日本の国益に直結するはずの、極めて重要な軍事や領土問題の研究と教育を今まで奨励してこなかった問題でもある。日本の外交・安全保障政策は大きな意味で多くの損をしていると思う。もちろん今後数週間・数ヶ月のうちに大きな変化が起こることもないだろうが、私は今回の対立を通しての方向転換を望んでいる。決まり文句に聞こえるだろうが、日本は本来重要なハード面の安全保障問題に関してその国益を海外でもしっかり英語で発信できる、元気のある若手の民間人の育成により積極的に投資するべきだと思う。