先日の読売の記事に興味を引くのがあった。「韓国系による政治ショー「東海」併記法案可決へ」というもので、アメリカに多い韓国系アメリカ人の政治的役割を示唆する記事だった。

どのグループが韓国系アメリカ人を組織しているかは研究の余地があるが、極めて有効な手段であるのは間違いない。日系アメリカ人コミュニティとのサイズの差を大いに利用した戦術で、似たような戦術が有効そうな州は他にもある。今後もその手を止めないだろう。

記事が示唆するのは、在米日本人コミュニティは存在するが政治的なつながりは極めて弱いことである。原因の一つはもちろん韓国系のと比べて日本人共同体は小さい事。更にそれだけでなく、アメリカに永住する日本人のほとんどが、高等教育でしっかりと日本の領土主張や東アジアの戦後史などを日本で受けておらず、結果として日本の政治力として扇動するのが難しいというのがある。

私が高校生だった時は政治経済は選択科目であり、私は世界史を専攻した。なので高校で戦後日本の領土政策や中国や韓国との歴史問題などを学んだという記憶は皆無に等しく、アメリカの大学院で学び始めた以外は、ほとんど独学である。仮に高校で政治経済や日本史を選んでいたとしても、今の日本人にとって最も重要な戦後日本の知識は比較的乏しかっていたのではないかと思う。

韓国などの隣国を見るべきである。日本政府が好まない種の歴史教育をしているかもしれないが、しっかり国益に沿ってカリキュラムを立てている印象がある。日本の歴史教育制度は難しい問題に目をつむり過ぎで、現実逃避をしているとの感がある。国が主体となって教える日本の歴史に、なぜ国益を直接反映させた内容を取り組まないのか不明である。隣国からの反対などを予め予想し、「気を使っている」のだろうが、国際政治にその種の心配など通用しないのである。ただ問題は、日本の良い大学でさえも、そんな簡単な事実を大学生に十分に教えていないのではないかとも思っている。

関連省庁は数少ない日系アメリカ人のメンバーを少しでも有効に活用するために、幾つかのインセンティブを取り入れたらどうだろうか。そこまでする必要はないと思うかもしれないが、では有効な国策はこの場合具体的に何が挙げられるだろうか。今回のバージニアの件は佐々江大使が直々出たのにも関わらず失敗に終わっている。ここ数週間の間で前にも増した頻度で大使は様々な所で講義を行っているが(それは我々にも伝わってくる)、それが現実的な結果として出てくるかはまだ分からない。