今回5年ぶりに就職活動をしてみて思ったことが幾つかあった。過去のエントリーでも似たようなことを書いていると思うが、重複する部分があれば補足や強化する意味で取って頂きたい。

近い将来アメリカで政治学に挑戦してみようと思っている方、もしくは既に入学しており、これから研究トピックを決めようと思っている方に読んで頂きたい。

幾つか大切だと思う点を挙げる。

1.現在のアメリカ政治学会において、日本関係のトピックは研究内容としては残念ながらできれば避けるべきだと感じる。日本問題の専門家を教員として求める大学の数は、同じアジアでも中国・インド関連の専門家の数よりも圧倒的に少なく、アメリカでの就職に際し極めて不利な状況を作り出す。日本人の研究者は一般的に語学の問題があるため(また、最初からそう思われているため)、日本専門家のポジションがあったとしても、日本語を多少話すアメリカ人の研究者にその仕事を持っていかれる。

この傾向はここ数年ずっと続いている。アメリカのトップレベルの大学の博士課程を、優秀な教授に指導してもらって卒業したのにも関わらず、主な研究内容が日本関係でしかないために、アメリカでの就職に失敗し、仕方なく日本に戻る場合が多い。研究テーマの選び方はもちろん、自分の学問的興味に従うのが一番だと思っているが、日本関係のトピックは正直薦めない。

また、将来的に日本政治の研究者になり日本での就職を考えているのなら、わざわざアメリカに来る必要もないと思う。最初から日本での大学教授に弟子入りし、そこから登ってゆくほうが現実的である。

2.一方で比較政治、特にアジアの地域に固執したい場合は、中国、インド、もしくは北朝鮮を混ぜるべきだと思う。他の重要なアジア地域を専門とする研究者としてなら、その事例の一つに日本を混ぜることも可能だと思う。

3.アメリカで就職する日本人の大学研究者を見ると、その多くが日本に関連しない分野を選んでいる。統計学、アフリカ、アジア・中国、国際政治経済などが主な例である。

4.研究手法もトピックを選ぶ段階で大切な要素で、就職活動の際はこれが至る所で威力を発揮する。私の友人を含む、海外で活躍する日本人研究者のほとんどが統計・計量系の手法を用いており、質的手法を使う人間はほとんどいない。例外ももちろんあるが、総合的に見て計量系の研究の方が出版できやすく、就職活動の際に大学側に魅力的に感じられやすい。アメリカの政治学会内では幾つかの対抗勢力もあるが、計量系の研究が圧倒しており、このトレンドは今後も続くように思える。