この記事は面白い。大学教員市場に関する新しい主張や発見は特に無いのだが、アメリカで博士号取得を目指す人間は読むべきである。幾つか大切なことが書いてある。

まず、過去10年で博士号取得者の数が増えているのに対し仕事の数は追いついていない。従って取得者の多くが就職活動「中」の状態を強いられる。専門関係なく大学教員の市場では、その割合は40%に上るようだ。

この原因のひとつとして、大学側は費用抑制のために非常勤講師の数を増やしていることが考えられる。永住権を持つ人間ならともかく、期間限定のビザ等のサポートが必要な留学生にとっては困難な状況である。

また、博士課程を卒業するまでの年数も長い。教育学などは平均で10年以上かかるようだ。しかしこの数は卒業できた人間がかけた年数であるため、卒業できなかったその数十%の人のデータは入っていない。私の同期らを見ると、博士号を取得し卒業できるだけでも大したことだと感じるときがある。

政治学を含む社会科学の年数は10年以下だが、その数年の間に多くのイベントが起こる。私の先輩でも、同期でも、後輩でも、他の大学の学生でも、最初は良い成績を取り回りを圧倒しながら博士論文を書き始めても、途中で色々なことが起き、結局卒業せずに中退する人間を何人も見てきた。数年かかるというのはあくまでも博士課程に含まれる多くのチャレンジのほんの一部に過ぎないと自覚をし、この業界を考えるべきである。