日本の外交政策はこの数週間のうちに幾つかの局面を迎える。日本の外交は多くの要素が構成しているため、一つ一つの局面のみで評価できないが、今日はその2つを取り上げる。そしてそれらに関して疑問が幾つかある。

まずは安倍首相による真珠湾訪問の予定である。アメリカ大統領選挙の前からこの訪問が計画・準備されていたようだが、訪問の必要性に疑問を感じる。ここ数週間のアメリカ人はトランプ政権の誕生で頭が一杯で、他にもヘルスケア、人種問題、ノースダコタのパイプラインなどが新聞のページをしめている。今冬のアメリカ人はゆっくり日米関係に注目する余裕などない。

そもそも真珠湾攻撃は多くのアメリカ人に批判的に見られていることを理解するべきである。安倍首相の訪問の際はもちろんアメリカでも多少の話題になるだろうが、それが今後の、特にトランプ政権との日米同盟を強化するわけでもない。アメリカ人からしてみれば、もう既に済んでいる過去の問題を掘り繰り出し、日本があたかも謝罪するかのような不透明なジェスチャーを前に、「やはり奇襲は良くないな」と数分考え、別の話題に移るだけである。今回の訪問には他にも理由はあるだろうが、そしてそれは恐らく外務省と官邸の間の内部的なものだろうが、私にとってみればこの訪問は安倍首相の時間と税金の無駄使いである。

もう一つが、プーチンとの会談である。これは来週の結果次第という部分もあるが、現時点での情報では楽観視できない。ここ数週間のうちにロシア側は領土問題に関する交渉を相当嫌がっており、安倍首相の描いているシナリオどおりにサミットが進むとは思えない。北方領土での軍事的挑発など含めて、他にも既にあらゆる所で今回のサミットの失敗を暗示している。

海外での譲歩を一切許されない国内状況を持つプーチンが、日本からの限定的な経済投資で自身と国家のプライドを簡単に捨てるわけが無い。そもそも国際政治においては経済譲歩は日本の低姿勢、つまり弱みを示しているのであり、プーチンのような人間にとっては最高の攻撃材料になるのである。日本がロシアに対して必要なのは譲歩ではなく、より強硬な外交なのである。