先週のワシントン滞在中に、多くの政権利害関係者と話をする機会があった。オバマ政権内での重要人物との話も面白かったが、特に生産的だったのはトランプ政権に入閣すると噂されている人物との話だった。東アジア全体から台湾の専門家、朝鮮半島の専門家などアジアの各部分の担当として名が挙げられている人物と話をすると、さすがトランプ政権移行チームの感触が伝わってくる。例を挙げれば、先日ヒューストンで台湾の蔡総統と昼食を取った人間などである。

そして、そのような人物は特にワシントンで、日本の政府関係者や日本のメディア、シンクタンクの人間ともオフレコで頻繁に会合していることも分かった。そして特にメディアやシンクタンクの関係者はオフレコというルールを守り、この種の話は日本のメディアはおろか、英語の記事でも出ていない。公には明かさずとも、機密のケーブルで本社と連絡を取っていることは仮定する。

現時点では次期在京大使の名を除いて、政権内の日本担当の名があまり挙げられていない。理由はそもそもワシントンの共和党員で知日派というと数が限定されるからであり、そしてトランプ移行チームは財界の人間に注目しているため、今までのやり方とは異なるためである。もちろん、考慮される人間の間で重要なのは例のドキュメントにサインしたかどうかだが、結局のところサインをした人間に対する「禁止令」も1年持つかどうかの話である。ある方の話では、そのドキュメントにサインしたのにも関わらず既に入閣のオファーが入っている人もいるという。

私は今回、一般的にジャパン・ハンドとして知られている人の一人と直接話をし、その人物に入閣を強く勧めた。現時点では様々な理由で難しいとのことだが、移行チームとは連絡があり、基本的にはタイミングと契約内容の問題であると感じる。その人物は入閣に強い興味を持っているからである。

このブログの読者なら理解頂けると思うが、私はどちらかというとジャパン・ハンドと呼ばれる人物を含めて、外部から日本の国益をコントロールすると思われている人物に対して懐疑的である。このスタンスは米軍で数年過ごしたのにも関わらず維持している。にも関わらずなぜその個人に入閣を勧めたかというと、トランプ政権で一定のバランスを維持する必要があると強く感じているからである。

そしてここでは書かない別の理由も、ワシントン滞在中に実務に関わる方々数名に提言させて頂いた。社交の席でも私の提言は真剣であり、是非それを真剣に考慮して頂きたいと感じている。