初外遊中のトランプが来年度の予算案を提示し物議を醸している。その内容は前もって部分的に公開されていたため今さら特に驚く内容ではない。しかし今後数年間のアメリカ社会を大きく変えることになる内容で、私も色々な面で心配に感じる。

以下のグラフを見て明らかなように、米軍や国家安全保障省など増額する一方で、国内の基盤となる社会保障や農業、環境問題(EPA)、労働環境、そして健康保険(HHS)にはマイナスを示唆している。アメリカ人の知性を長期でサポートする教育に対しても13%の減額である。これには議会の共和党も困惑しているが、これを元に今後議論が進む可能性が高い。

国務省への減額は極めて厳しいもので、トランプ政権の外交の重要性の理解の欠陥が伺える。国務省や国際開発庁(USAID)には元々予算が少なく問題視されていた。911やイラク戦争の経験から、今やアメリカでは軍人でさえも外交により多くの資源を費やすべきだと言っていた。そして私が教えていた米空軍でも、単に軍事力の重要性だけでなく外交、経済、異文化などが国際社会をいかに形成しているのかについて力説していた。

トランプ政権にいる現役軍人(マクマスター)や退役軍人(マティス、ケリー)などはそれをよく理解しているはずだが、政権内にいる民間人で国際問題に疎くイデオロギーで物事を考えている多くの連中が、今回の予算のシフトに影響力を及ぼしている。

アメリカ政権の予算と、日本へのインパクトに関しては、治安フォーラムの6月号への寄稿で論じている。是非ご覧ください。

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