先日紹介した、Bus Snodgrass の Holding the Line を読了。



雑感だが、良い点を挙げるのであれば、至る所で正直に著者の気持ちが書かれていることだろう。本人のキャリアを進めていく過程で、辛いときの感情などもそのまま書かれているため、読者として感銘を受ける部分はある。

が、本として読む価値のある詳細は少ない。マティスに関しても、国防総省に関しても、この本から学ぶことは少ない。理由はというと、基本的に書かれていることは著者がペンタゴン入りし、クビになるまでの1年半のいきさつを、マティスの長官時代のネタと絡めて書いているだけであるからである。

著者は海軍航空部隊のパイロットが本業であるため、そもそもワシントンの「住人」ではない。従ってワシントンの政治力学の理解に乏しい。また、スピーチライターとしての仕事が忙しく、ほぼ毎日ペンタゴンの小さな部屋で過ごしているため、ペンタゴンの「他の」部署とのやりとりや、ワシントン全体の人間関係などの面白い叙述が少ない。

この本に関する噂話や出版に至るまでの過程はネットで色々書かれているため特記しない。マティスに関しては他の図書をあたったほうが良いというのが全体的な感想である。